「昨日から何度も下痢が出て、赤い血が混じっている」
「体調が悪くて心配だけど、どんな病気が考えられるのだろう?」
こうした急な下痢と出血で不安を抱えながら来院される方は少なくありません。
中には「ただの痔かもしれない」と考えて様子を見る方もいますが、下痢と血便の組み合わせには注意が必要です。
この記事では、つくば市の消化器内視鏡専門医である院長が、下痢と血便が同時に現れるときに考えられる疾患と、当院で行っている緊急対応の取り組みについて解説します。
この記事を読めば、あなたの不安が少しでも軽くなり、適切な行動が取れるようになります。

目次
1. 下痢+血便で考えられる代表的な疾患
比較的頻度が高い疾患を以下のように挙げます。
1-1. 虚血性腸炎
腸の血流が一時的に悪くなることで、腸の壁がダメージを受けて炎症・出血が起きる病気です。
中高年に多いとされますが、意外と若い方にも発症します。
腹痛、下痢、下血が突然出るパターンが多いです。
発症機序をみると怖い感じがしますが、ほとんどは経過観察して2-3日で症状が治まります。
1-2. 大腸憩室出血
大腸の壁にできた憩室(小さな袋状のくぼみ)から動脈が露出し、突然出血することがあります。
痛みを伴わずに「バケツをひっくり返したような鮮血の下痢」が出ることもあり、患者さん自身が非常に驚かれることもあります。
憩室から血管が露出して出血することが病態です。
今日からとか昨日からとかの急激な出血の際に緊急内視鏡検査を行う主目的は、この大腸憩室出血の評価をすることにあります。
1-3. 痔核(いぼ痔)・裂肛(切れ痔)
最も一般的な理由は、胃腸炎や下痢が続いたことによる刺激で、もともとあった痔の出血が悪化するケースです。
便器が赤く染まるほど出血することもありますが、基本的には一過性で直腸内に血液が貯まることは少ないのが特徴です。
これを診断することが重要です。
なぜなら、大腸からの出血ではないため、緊急での大腸内視鏡検査が不要だからです。
診断のためには肛門科による肛門鏡診察が重要です。
2. 除外すべき疾患
以下の疾患は、頻度が高いわけではありませんが、長期的には進行したり、正しく診断しないと改善しないもので注意が必要な疾患です。
2-1. 大腸がん
出血が便に混ざるような場合や、慢性的に下痢と便秘を繰り返す場合には、大腸がんの可能性も考慮する必要があります。
特に40歳以上で家族に大腸がんの方がいる場合、精密検査が必要です。
昨日からの下痢・血便などで、大腸がんである可能性は少ないですが、経験上たまに経験するので、出血がある場合は大腸内視鏡検査をお勧めすることがあります。
2-2. 潰瘍性大腸炎
粘血便(ねばっとした血の混じった便)を繰り返す場合には、炎症性腸疾患のひとつである潰瘍性大腸炎の可能性があります。
比較的若い方でも発症し、放置すると長期的な管理が必要な慢性疾患になるため、早期診断が重要です。
これも、慢性的な疾患であり、昨日からの症状ということであれば、可能性として高くはないです。
当院では肛門科医師が診察しているため、肛門鏡などで、直腸(大腸の出口)を観察することで、内視鏡検査をしなくても潰瘍性大腸炎を疑う所見を発見することがあります。
3. 感染性腸炎はまれなケース
「血便」というと感染性腸炎を連想される方もいます。
出血があったからO-157が心配だとおっしゃる方も少なくありません。
実際には下痢と血便の同時出現で感染性腸炎が原因であることはそれほど多くありません。
発熱や強い腹痛、海外渡航歴、動物との接触歴などがある場合は考慮されますが、それ以外ではかなりまれなケースです。
4. 当院だからできる緊急性の評価と対応
臨床医としての立場で結論をお伝えすると、下痢と出血が続いている場合に最も重要なことは、特に憩室出血のような出血が現在も続いているのかを評価して、治療を行うことです。
そして、この両方を両立させるためには「肛門科医師」の診察と「院内下剤」スペースが必要になります。
4-1. 肛門診察で出血量を確認
当院は肛門科も併設しており、まず肛門鏡を用いた直腸診で肛門の奥に血液が貯留しているかを目視で確認します。
痔による出血の場合、直腸に血液がたまらないことが多いです。
一方、憩室出血などの大腸の急性疾患では直腸内に多量の血液が溜まっていることがあり、緊急性の判断に極めて重要な情報となります。
大腸からの急性な出血の場合は、緊急の内視鏡検査を行うかどうかをご相談します。
緊急内視鏡検査を検討したい場合は午前の受診をお願いします。
4-2. 院内にトイレ8室+広い下剤スペース
緊急で内視鏡検査を行う際は、下剤を飲んで大腸をきれいにする必要があります。
当院はトイレが8つ、下剤スペースも広く設計されており、緊急内視鏡にも対応可能な環境を整えています。
院内で下剤を内服している患者さんも多く、調整して緊急の内視鏡検査を行う時間的余裕を作ることができるわけです。
4-3. 緊急内視鏡による止血対応
直腸診で出血が確認された場合、必要に応じて当日中に内視鏡検査を行い、憩室からの出血箇所を特定し、クリップなどで止血する処置も可能です。
実際に、入院が必要と判断されるような出血の患者さんに対して、当院で緊急止血を行い入院を回避できたケースも多くあります。
Googleの口コミでも、当院の緊急内視鏡検査による止血についていくつかご評価をいただいています。
🗣️ てつ様(Google口コミより引用)
不安でいっぱいでしたが、その日のうちに検査まで…本当に助かりました!
便に大量の血が混じり「大腸がんでは?」と焦りましたが、予約でいっぱいのところを診てくださるという神対応にまず救われました。
スタッフの方も先生も本当に親身で、検査も鎮静剤で全く苦痛なく一瞬でした。不安な気持ちに寄り添ってくれる、とてもいい病院です!
また、必要に応じて、二次医療機関と連携し、迅速に紹介・搬送する体制も整えています。
もし、下痢と血便の症状があり、緊急性が疑われる場合は、当院へご相談ください。
当院では、迅速な初期評価と緊急対応が可能です。
まとめ
「昨日から下痢と血便が続いている」という症状は、軽く見られがちですが、中には緊急の内視鏡検査が必要な疾患や、放置すると重症化する病気が隠れている場合もあります。
この記事でご紹介したように、
症状の背景にはさまざまな可能性があります。
一番重要なのは、緊急で内視鏡検査を行って、止血する必要があるかどうかです。
当院では、下痢や血便のような急性症状に対しても、肛門科による肛門鏡を用いた肛門・直腸の診察を行い、緊急性に応じて経過観察、緊急内視鏡検査、入院などの判断を的確に行うことが出来ます。
当院では、「いま不安を抱えている方」の力になれる診療を心がけています。
少しでも不安を少なくご自宅で過ごしていただきたいと思っています。
当院には、つくば市をはじめ、土浦市、牛久市、つくばみらい市、常総市、石岡市、阿見町、守谷市、龍ケ崎市のみならず、茨城県全域の広い地域から多くの患者様が来院されています。
特に急な出血でいらっしゃる方も多いです。
当日の緊急内視鏡検査でも、鎮静剤を用いた無痛検査に対応しています。
気になる症状がある方は、お気軽に当院までご相談ください。
【作成・監修】
辻仲つくば胃と大腸内視鏡・肛門外科クリニック 院長 森田 洋平(日本消化器内視鏡学会 専門医)
よくある質問
当院の診療時間外の場合も、これらの症状があれば救急病院での対応が必要です。診療時間内であれば、まずはお電話でご状況をお知らせください。緊急性を判断し、対応をご案内します。
出血の原因が明らかに痔である場合や、出血がすでに止まっていると考えられる場合は、緊急での内視鏡検査は不要と判断し、お薬での治療や後日の検査計画をご提案します。診察で大腸からの出血が疑われる場合に、緊急内視鏡検査をご案内しますので、まずはご相談ください。
また、市販の下痢止めを自己判断で飲むのはお控えください。 感染性腸炎など、病原体を早く体外に出すべき場合に下痢を止めてしまうと、かえって症状を悪化させることがあります。必ず医師の診察を受けてから、適切な薬を処方してもらってください。
【参考】下痢止めを使って良い胃腸炎について
【参考】茨城県の大腸内視鏡おすすめ医院として掲載されました
あくまで目安ですが、3割負担の方で、