
便潜血検査で陽性と言われたら|精密検査(大腸内視鏡)の必要性と最短の動き方
目次
便潜血検査で陽性と言われたら|精密検査(大腸内視鏡)の必要性と最短の動き方
健康診断で「便潜血検査が陽性」と言われたとき、多くの方が不安を感じます。
「大腸がんかもしれない」「精密検査は痛いのではないか」「仕事が忙しくて時間が取れない」……不安を感じる方が多いでしょう。しかし、便潜血検査で陽性と判定されたことは、決して悪いことではありません。むしろ、大腸の病気を早期に発見できるチャンスなのです。
この記事では、便潜血検査で陽性と言われた方が知っておくべき情報と、精密検査(大腸内視鏡検査)を受けるための最短の動き方について、消化器内視鏡専門医の立場から解説します。
参考:便潜血検査陽性について
便潜血陽性
便潜血検査で陽性と言われたら、まず知っておくべきこと
便潜血検査は、便に微量の血液が混じっているかどうかを調べる検査です。
大腸にがんやポリープがあると、便とこすれることで出血し、その血液が便に混じることがあります。多くは目で見てもわからない程度の微量な出血ですが、この検査ではそれを検出できます。日本では「2日法」という方法が一般的で、2日間にわたって便を採取します。

便潜血検査の精度と意味
便潜血検査で陽性と判定された場合、実際に大腸がんが見つかる確率は約2~3%です。
一方、大腸ポリープが見つかる確率は50%以上と言われています。つまり、陽性と判定された方の多くは、大腸がんではなく、大腸ポリープや他の良性疾患である可能性が高いのです。しかし、だからといって精密検査を受けなくてもよいということにはなりません。
大腸ポリープは放置すると将来的に大腸がんに進行する可能性があり、早期に発見して切除することで、大腸がんを約86%予防できるとされています。
参照:大腸ポリープ切除による大腸がん予防効果について
「1回だけ陽性」でも精密検査が必要な理由
2日法の検査で「2回中1回だけ陽性」だった場合、「1回だけなら大丈夫では?」と考える方もいらっしゃいます。
しかし、これは大きな誤解です。大腸がんがあっても毎日出血するわけではないため、たまたま1回の便では潜血が検出できないこともあります。2日法を採用しているのは、このような見逃しを減らすためです。そもそも便潜血検査は、進行がんになって命に関わるまでに、数年かかるため(6年と想定)、その間に一度でも引っかるといいなという設定です。
そのため、1回でも陽性と判定されたら、必ず精密検査を受けることが推奨されます。実際、便潜血検査陽性で大腸内視鏡検査を行わずに、後日大腸がんが見つかった際は、大腸がんによる死亡リスクが4倍とする報告があります。
参考:便潜血陽性を放置したら、大腸がん判明後の死亡率は4倍に
便潜血陽性で考えられる疾患とリスク
便潜血検査で陽性と判定された場合、様々な疾患が考えられます。
大腸がん
最も警戒すべき疾患が大腸がんです。がんによる死亡数では、女性で1位、男性では肺がんに次いで2位という多さです。しかし、大腸がんは早期に発見すれば治癒率が高いがんでもあります。
ステージが低いほど5年生存率は高く、早期段階で発見できれば治療による身体への負担も小さく済みます。
Stage Iの大腸がんにおける相対死亡率(大腸がんを治療後の大腸がんがない人と比べた死亡率)は97%とされており、大腸がんは早期発見の意義が大きい疾患と言えます。
大腸ポリープ
大腸ポリープは、大腸の粘膜にできる良性の腫瘍です。
40歳以上の成人では、40%以上で大腸ポリープが見つかると言われています。大腸ポリープ自体は良性ですが、放置すると一部は大腸がんに進行する可能性があります。そのため、検査時にポリープが見つかった場合は、その場で切除することが推奨されます。
その他の疾患
便潜血検査で陽性となる疾患には、潰瘍性大腸炎、クローン病、虚血性腸炎、直腸カルチノイド、過敏性腸症候群などがあります。
また、痔がある方が「便潜血の原因は痔の出血だろう」と思い込まれて精密検査を受けないケースもありますが、これは危険です。便潜血検査は痔の有無では陽性率に差がなかったとされる研究結果があり、自己判断で放置すると大腸がんの発見が遅れる可能性があります。
参考:「痔だから大丈夫」は危険!便潜血検査陽性で見過ごされがちな大腸がんのリスク
精密検査(大腸内視鏡検査)の必要性
便潜血検査で陽性と判定された場合、精密検査として大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を受けることが推奨されます。
なぜ大腸内視鏡検査が必要なのか
便潜血検査は、あくまで「出血があるかどうか」をスクリーニングする検査です。
出血があることは判明しますが、どこから、何の病気による出血なのかという判断はつきません。大腸内視鏡検査は、肛門から内視鏡を挿入して、盲腸までの大腸と小腸の一部を直接観察し、病変を見つけるために行います。もし病変が見つかれば、良性の病変とがんを区別するため、一部をとって顕微鏡で調べる検査(生検)を行います。
早期がんなら検査と同時に治療(手術)することもできます。
大腸内視鏡検査の精度
大腸内視鏡検査は、便潜血検査よりもはるかに高い精度で大腸内部の病変を直接確認できる検査です。
カプセル内視鏡・大腸CT検査・大腸バリウム検査など、他の大腸検査もそれぞれ有用な方法ではありますが、精度の点で大腸カメラに軍配があがります。特に5mm以下の大腸がん・ポリープを見つけることにおいては、大腸カメラより優れた検査はありません。また、検査中にポリープが見つかった場合は、その場で日帰りポリープ切除も可能です。
大腸内視鏡検査のメリット
大腸内視鏡検査の長所は、5mm以下の小さなポリープを見つけやすいこと、病変の切除や組織の採取が可能なこと、粘膜面の色調や細かい模様を観察できることです。
最新のAIシステムを導入することで、これまで見つけるのが難しかった微細な早期がんや炎症、その他の病変なども、より高い精度で発見できるようになりました。複数の高出力LED照明を使用し、血管や粘膜の表面を詳細に観察することで、病気の早期発見・早期治療へと繋げることができます。
大腸内視鏡検査を受けるための最短の動き方
便潜血検査で陽性と判定されたら、できるだけ早く精密検査を受けることが重要です。
ステップ1:肛門科・消化器科・内視鏡専門クリニックを予約する
まずは、肛門科・消化器内科や内視鏡専門クリニックに予約を入れましょう。
WEB予約や電話予約が可能な施設が多く、初回受診時に医師の診察・説明を受けた上で、検査を実施するかどうかを決めることができます。予約の際には、「便潜血検査で陽性だった」ことを伝えると、スムーズに対応してもらえます。
ステップ2:初回受診で診察を受ける
初回受診の際は、問診や医師による診察を通して、腹部の症状や状態を把握していきます。
医師の診察後、大腸内視鏡検査にご同意いただけた場合は、下剤をお渡しします。検査前の準備や下剤の飲みかたについては、クリニックのスタッフが丁寧に説明してくれますので、わからないことがあれば遠慮なく質問しましょう。

ステップ3:検査前の準備を行う
腸内をしっかり観察するために、検査前2~3日はなるべく消化に良いものを食べていただき、食べ物が残らない状態へと整えていきます。
前日にはクリニックでお渡しする検査食を召し上がっていただきます。また、検査時間に合わせて、数日前から下剤を服用していただくこともあります。当院では、患者さんの体質やご希望に合わせて数種類の下剤をご用意しており、初めて検査を受ける方や過去に下剤服用でつらい思いをされた方も安心して受けられるよう配慮しています。
ステップ4:検査当日の流れ
検査当日は、起床後から検査を受けるまで食事を控えていただきます。
水やお茶などの水分補給は可能です。検査の3~5時間前から下剤をお飲みいただき、腸内をきれいにしていきます。自宅で前処置薬を内服される方は、事前の指示に従ってください。院内で下剤を服用される方は、指定された時間に来院し、服用をお願いいたします。
大腸内視鏡検査は、便が透明な状態になったら可能です。
ステップ5:検査を受ける
検査時には、鎮静剤を使用することで、半分眠ったようなぼんやりとした状態で、リラックスしたまま検査を受けられます。
当院では、経験豊富な医師が検査を担当することで、一人ひとりに合わせた検査・治療をご提供いたします。また、女性医師も在籍しており、男性医師による検査に抵抗感を持っている女性の方も安心してご来院いただける診療体制を整えております。
検査が終了した後は、専門のリカバリールームでしっかりと休んでいただき、体調の変化がないか確認させていただきます。
ステップ6:結果説明と今後の対応
体調や意識状態が問題ないことを確認できましたら、検査の結果や今後の治療についてご説明いたします。
ポリープを切除した場合は、検査結果説明のために再度ご来院いただく必要があります。当院ではオンライン診療での説明も可能です。
当院の大腸内視鏡検査の特徴
辻仲つくば胃と大腸内視鏡・肛門外科クリニックでは、患者さんの負担を最小限に抑えた大腸内視鏡検査を提供しています。
苦痛の少ない検査のための工夫
当院では、鎮静剤を使った痛みや不安に配慮した検査を行うための院内設備・環境を整えています。
参考:痛くない鎮静剤実現のための軸保持法と鎮静剤
「内視鏡検査は怖い」というイメージから受診が遠のいている方も、安心して検査を受けていただけます。検査後は専門のリカバリールームでしっかりと休んでからお帰りいただけます。また、プライバシーが守れる半個室スペースも完備しており、駅徒歩5分という通いやすい立地も特徴です。
高精度の技術を取り入れた検査
当院では、大腸内視鏡検査の精度を高めるために、光の波長を変えて腸粘膜の表面や色調がはっきり見える「画像強調」を導入しています。
また、腸を観察しやすくするために空気ではなく「自動送水」を実施し、腸への負担軽減に努めております。最新AIシステムを導入したことで、これまで見つけるのが難しかった微細な早期がんや炎症、その他の病変なども、より高い精度で発見できるようになりました。
日帰りポリープ切除に対応
大腸内視鏡検査中に、ポリープが発見される確率は50%と言われています。
当院では検査の利便性を上げるために、入院が不要な場合は日帰り大腸ポリープ切除に対応しています。ポリープのない状態を作ることで、大腸がんを約86%予防することが可能とされています。お仕事などが忙しくて通院が難しい方や、負担の少ない検査をご希望の方はお気軽に当院までご相談ください。
豊富な内視鏡機器を用いた負担の少ない検査方法
当院では、患者さんの腸の形状や状態に合わせて、チューブが細い細径内視鏡や、腸粘膜を拡大観察できる拡大内視鏡などを使用し、検査しています。
また、無送気軸保持短縮法と呼ばれる検査方法を採用し、腸粘膜への負担や痛みの軽減に努めております。従来の大腸内視鏡検査では、曲がりくねった状態の大腸を正確に把握するために空気を注入しながら検査チューブを挿入していましたが、この方法はお腹に空気が溜まるため、張りや痛みを感じやすく、腸粘膜に負担がかかります。
無送気軸保持短縮法は、大腸の走行を邪魔することなくチューブが挿入できる検査方法であり、安全性が高く、患者さんの苦痛が少なく済みます。

検査費用と支払方法
大腸内視鏡検査の費用は、保険適用の場合、3割負担で以下のようになります。
大腸内視鏡検査が7,500円、内視鏡的大腸ポリープ切除術(2cm未満)が30,000円、病理組織検査が1臓器4,000円、2臓器7,500円、3臓器11,000円となっています。支払方法は現金とクレジットカード(VISA/JCB/Mastercardなど)に対応しています。
大腸に症状や病変がみられた場合は保険証をお使いいただくことが可能です。
なお、保険診療範囲内になるかどうかは医師の診察により判断いたしますので、保険適用や料金に関するご質問は、事前にクリニックスタッフまでご相談ください。
まとめ:便潜血陽性は早期発見のチャンス
便潜血検査で陽性と言われたことは、決して悪いことではありません。
むしろ、大腸の病気を早期に発見できるチャンスです。大腸がんは早期に発見すれば治癒率が高く、大腸ポリープを切除することで将来の大腸がんを予防することができます。便潜血検査で陽性と判定されたら、自己判断で放置せず、できるだけ早く消化器内科や内視鏡専門クリニックを受診し、精密検査(大腸内視鏡検査)を受けることが重要です。
当院では、経験豊富な日本消化器内視鏡学会専門医が、患者さん一人ひとりに合わせた検査・治療をご提供いたします。
鎮静剤を使った苦痛の少ない検査、女性医師による検査対応、選べる下剤、最新AIシステムを導入した高精度な検査、日帰りポリープ切除など、患者さんの負担を最小限に抑えた検査を実現しています。つくば駅から徒歩5分という便利な立地で、茨城県全域から多くの患者さんが来院されています。
便潜血検査で陽性と言われた方、大腸内視鏡検査を受けたい方、不安がある方は、一度お気軽に当院までご相談ください。
あなたの健康を守るために、私たちが全力でサポートいたします。
よくある質問と不安の解消
検査は痛いですか?
当院では、鎮静剤を使用することで、半分眠ったようなぼんやりとした状態で検査を受けられます。
多くの患者さんが「検査を受けたことすら覚えていない」とおっしゃるほど、苦痛の少ない検査を実現しています。また、無送気軸保持短縮法を採用することで、腸粘膜への負担や痛みを軽減しています。
下剤が不安なのですが大丈夫でしょうか?
当院では、患者さんの体質やご希望に合わせて数種類の下剤をご用意しております。
初めて検査を受ける方で下剤服用が不安な方、過去内視鏡検査の下剤服用でつらい思いをされた方もご安心ください。また、院内にはプライバシーに配慮した下剤服用スペースを完備しており、遠方からお越しの方でも安心して検査を受けていただけます。
胃の内視鏡検査と大腸の内視鏡検査を同時にできますか?
患者さんのご希望や症状に合わせて、医師の診察により必要があれば同じ日に胃内視鏡と大腸内視鏡を受けることができます。
2つの内視鏡検査を一緒に受けることで、通院回数の削減や下剤を飲むなどの身体的負担を抑えるメリットなどがあります。当院では専門性の高い医療チームによるクオリティの高い内視鏡検査を実施しています。
内視鏡検査後は車を運転して良いですか?
鎮静剤を使用した場合、検査後にフラつくことがありますので、基本的にはマイカー・バイク・自転車などは避けてください。
電車・バス・タクシーでお越しいただくことをお勧めします。検査当日は、ご家族やご友人に付き添っていただくか、公共交通機関をご利用ください。
どうしても運転が必要な場合はご相談ください。
参考:内視鏡は辛くて当たり前時代の終焉
参考文献:
参考文献:独立行政法人国立がん研究センターがん研究開発費「地域がん登録精度向上と活用に関する研究」平成22年度報告書(大腸がん相対死亡率のデータを参照)
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/cancer/67_colorectal.html
日本消化器がん検診学会(編)『大腸がん検診マニュアル 2021年改訂版』
https://www.jsgcs.or.jp/files/uploads/d_manualbook2021.pdf

【作成・監修】
辻仲つくば胃と大腸内視鏡・肛門外科クリニック
院長 森田 洋平(日本消化器内視鏡学会 専門医、MPH(公衆衛生大学院))
MPHは予防医学、疫学、統計のスペシャリストの学位です。大腸がんの予防的なデータを実践するスペシャリストといえます。