「内視鏡検査は痛そう」「以前受けた時に苦しかった」……そんな不安から、検査を先延ばしにしていませんか。
大腸がんや胃がんは、早期発見すれば治療可能な病気です。しかし、内視鏡検査への恐怖心が、命を守る機会を遠ざけてしまうこともあります。消化器内視鏡専門医として、私は日々多くの患者さんの不安に向き合ってきました。
現在の内視鏡検査は、技術の進歩により大きく変わっています。鎮静剤を用いた検査や、無送気軸保持短縮法という新しい挿入技術により、「眠っている間に終わった」と感じる方がほとんどです。
この記事では、内視鏡検査の痛みを軽減する最新の対策について、専門医の視点から詳しく解説します。検査を控えている方、過去の経験から不安を感じている方に、安心して検査を受けていただくための情報をお届けします。

【参考】苦痛の少ない大腸内視鏡検査への道
目次
内視鏡検査で痛みを感じる主な原因
内視鏡検査の痛みには、いくつかの明確な原因があります。
大腸内視鏡検査では、腸管にスコープを挿入する際に腸が伸ばされることで痛みが生じます。特に、従来の方法では空気を注入しながら挿入するため、お腹の張りや圧迫感が強くなりがちでした。また、腸の形状は人それぞれ異なり、曲がりくねった部分を通過する際に不快感を感じることがあります。
胃内視鏡検査では、スコープが喉を通過する際の嘔吐反射が主な原因です。「オエっ」となる感覚は、多くの方が最も恐れる部分でしょう。口から挿入する場合、舌の付け根や喉の奥に触れることで、この反射が起こりやすくなります。

腸管への負担が痛みの主因
大腸は約1.5メートルの長さがあり、複雑に折れ曲がっています。
従来の検査方法では、この曲がりくねった腸を観察するために空気を注入しながらスコープを進めていました。しかし、空気で腸を膨らませる方法は、腸壁を過度に伸展させ、痛みや不快感の原因となっていたのです。特に、腹部手術の既往がある方や、便秘がちで腸の動きが悪い方は、痛みを感じやすい傾向にあります。
検査への不安が痛みを増幅させる
痛みの感じ方には、心理的要因も大きく影響します。
「痛いのではないか」という不安や緊張は、筋肉を硬直させ、実際の痛みを増幅させてしまいます。過去に苦しい経験をされた方は、特にこの傾向が強くなります。また、検査中の体の力みが、スコープの挿入を困難にし、結果的に検査時間が長くなることもあります。
鎮静剤を用いた内視鏡検査の実際
鎮静剤は、内視鏡検査の苦痛を大幅に軽減する重要な選択肢です。
当院では、患者さんの負担を最小限にするため、鎮静剤を使用した検査を標準的に行っています。鎮静剤を使用することで、半分眠ったようなリラックスした状態で検査を受けることができ、多くの方が「いつの間にか終わっていた」と感じられます。鎮静剤の適切な使用が検査の質と患者さんの満足度を大きく向上させることを実感しています。
鎮静剤による「意識下鎮静」とは
鎮静剤を使用した検査は、完全に意識を失う全身麻酔とは異なります。
「意識下鎮静」と呼ばれるこの方法では、患者さんは軽く眠ったような状態になりますが、呼びかけには反応できる程度の意識レベルを保ちます。これにより、検査中に医師の指示に従って体位を変えることができ、より安全で精度の高い検査が可能になります。鎮静の深さは、患者さんの状態や希望に応じて調整できます。

鎮静剤使用時の安全管理
鎮静剤を使用する際は、厳格な安全管理が行われます。
検査前には、患者さんの病歴や全身状態を詳しく評価します。心疾患や呼吸器疾患、服用中の薬剤などを確認し、鎮静剤の種類や量を慎重に決定します。検査中は、血圧、心拍数、酸素飽和度などのバイタルサインを継続的にモニタリングし、異常があればすぐに対応できる体制を整えています。
当院の看護師は学会での講習、救急の講習会への参加など、内視鏡中の全身状態の管理のサポートについて日々勉強しています。ガイドライン上も、こういったスキルがある看護師による専任のサポートが必要とされています。

【参考】無痛内視鏡の安全性を支える看護師の救急対応力
検査後は、専用のリカバリールームでしっかりと休んでいただき、意識が完全に回復してからご帰宅いただきます。
鎮静剤使用後の注意点
鎮静剤を使用した場合、いくつかの注意事項があります。
検査当日は、車やバイク、自転車の運転に制限があります。鎮静剤の影響が完全に消失するまでには時間がかかるためです。当院はつくば駅から徒歩5分という立地にあり、公共交通機関でのアクセスが便利です。
無送気軸保持短縮法による苦痛軽減
大腸内視鏡検査の痛みを軽減する技術として、無送気軸保持短縮法があります。
この方法は、従来の空気を注入する方法とは根本的に異なるアプローチです。当院では、この高度な挿入技術を採用することで、腸粘膜への負担や痛みを大幅に軽減しています。日本消化器内視鏡学会専門医として培った技術と経験により、患者さん一人ひとりの腸の形状に合わせた最適な検査を提供しています。
従来法との違い
従来の大腸内視鏡検査では、曲がりくねった大腸を観察するために空気を注入していました。
しかし、この方法では腸にガスが溜まり、お腹の張りや痛みの原因となっていました。無送気軸保持短縮法では、空気をほとんど使わずに、大腸の自然な走行を邪魔することなくスコープを挿入します。腸を伸ばさずに、むしろ短縮させながら進めることで、腸壁への負担を最小限に抑えることができます。

自動送水と炭酸ガスの活用
当院では、さらなる苦痛軽減のために最新技術を導入しています。
「自動送水」機能により、必要最小限の水を使って腸内を観察しやすくしています。水は空気よりも腸壁への刺激が少なく、検査後の不快感も軽減されます。また、観察時には炭酸ガスを使用しています。炭酸ガスは体内に吸収されやすいため、検査後のお腹の張りが早く解消されます。これらの技術の組み合わせにより、検査中だけでなく検査後の快適性も向上しています。
技術が鍵
無送気軸保持短縮法は、高度な技術と経験を要する検査方法です。
腸の形状を立体的に把握し、適切な角度とタイミングでスコープを操作する必要があります。当院では、経験豊富な医師が検査を担当することで、この高度な技術を確実に提供しています。患者さんの腸の状態に応じて、細径内視鏡や拡大内視鏡など、豊富な機器を使い分けることも、苦痛の少ない検査につながっています。
最新技術による検査精度の向上
苦痛の軽減だけでなく、検査の精度向上も重要です。
当院では、最新のAIシステムと画像強調技術を導入し、微細な病変の早期発見に努めています。高精度な検査により、大腸がんの前段階である大腸ポリープを確実に発見し、その場で切除することが可能です。ポリープのない状態を作ることで、大腸がんを約86%予防できるとされています。
AIシステムによる病変検出
最新のAIシステムは、内視鏡検査の精度を飛躍的に向上させています。
これまで見つけるのが難しかった微細な早期がんや炎症、その他の病変も、AIの支援により高い精度で発見できるようになりました。複数の高出力LED照明を使用し、血管や粘膜の表面を詳細に観察することで、病気の早期発見・早期治療へと繋げることができます。AIは人間の目では見落としがちな微細な変化も検出し、医師の診断をサポートします。
画像強調技術の活用
光の波長を変えて観察する「画像強調」技術も重要な役割を果たしています。
この技術により、腸粘膜の表面構造や色調の変化がはっきりと見えるようになります。特に、構造や色調が均一ではないSSL(sessile serrated lesion)と呼ばれる病変の早期発見に役立っています。SSLは従来の方法では見つけにくい病変ですが、画像強調技術により発見率が向上しています。

日帰りポリープ切除の利便性
検査中にポリープが見つかった場合、その場で切除できることは大きなメリットです。
一般的に、大腸内視鏡検査中にポリープが発見される確率は50%と言われています。当院では、入院が不要な場合は日帰りでポリープ切除に対応しています。これにより、検査と治療を1回で済ませることができ、再度の前処置や検査の負担を避けることができます。お仕事などで忙しい方にとって、通院回数を減らせることは大きな利点となります。
検査前の準備と当日の流れ
内視鏡検査を快適に受けるためには、適切な準備が重要です。
当院では、患者さんが安心して検査を受けられるよう、丁寧な説明とサポート体制を整えています。初回受診時には、医師が検査の必要性や方法について詳しく説明し、不安な点があればお答えします。検査前の準備についても、スタッフが分かりやすくご案内します。
下剤の選択と服用方法
大腸内視鏡検査では、腸内をきれいにするために下剤を服用します。
当院では、患者さんの体質やご希望に合わせて数種類の下剤をご用意しています。初めて検査を受ける方や、過去に下剤服用でつらい思いをされた方も安心してください。下剤は自宅で服用することも、院内のプライバシーに配慮した個室で服用することも可能です。院内で服用される場合は、スタッフが常にサポートしますので、体調の変化があればすぐに対応できます。
検査前日の食事制限
検査の精度を高めるため、前日からの食事制限が必要です。
検査前2〜3日は、なるべく消化に良いものを食べていただきます。白米、お粥、うどん、白身魚、豆腐など、食物繊維の少ない食品を選びます。前日には当院でお渡しする検査食を召し上がっていただきます。野菜、海藻、きのこ類、種子類など、消化しにくい食品は避けてください。検査当日の朝は食事を控え、水やお茶などの水分補給のみとなります。
検査当日の流れ
検査当日は、指定された時間にご来院いただきます。
下剤を服用し、便が透明な状態になったら検査が可能です。検査前には、楽な検査着にお着替えいただきます。鎮静剤を使用する場合は、点滴の準備をします。検査時間は通常15〜30分程度ですが、ポリープ切除を行う場合はもう少し時間がかかることがあります。検査後は、リカバリールームでお休みいただき、体調が安定してから結果説明を行います。
女性医師による検査対応
女性の患者さんの中には、男性医師による検査に抵抗感を持つ方もいらっしゃいます。
当院には女性医師も在籍しており、恥ずかしさや不安から内視鏡検査をためらっている女性の方も安心してご来院いただけます。女性特有の悩みや不安にも、同性の医師として共感しながら対応させていただきます。検査の質は変わらず、経験豊富な専門医による精度の高い検査を提供しています。
プライバシーへの配慮
当院では、プライバシー保護にも細心の注意を払っています。
検査室や下剤服用スペースは半個室となっており、他の患者さんを気にすることなく検査を受けていただけます。リカバリールームも個室をご用意していますので、検査後もゆっくりとお休みいただけます。女性医師による検査をご希望の場合は、予約時にお申し出ください。
胃カメラと大腸カメラの同日検査
胃と大腸の両方の検査が必要な場合、同じ日に受けることができます。
当院では、患者さんのご希望や症状に合わせて、医師の診察により必要があれば同日検査に対応しています。2つの内視鏡検査を一緒に受けることで、通院回数の削減や下剤服用などの身体的負担を抑えるメリットがあります。鎮静剤を使用すれば、両方の検査を眠っている間に済ませることも可能です。
同日検査のメリット
同日検査には、複数のメリットがあります。
まず、通院回数が1回で済むため、仕事や家事への影響を最小限に抑えられます。また、前処置や鎮静剤の使用も1回で済むため、身体的・精神的な負担が軽減されます。検査後の食事制限や安静期間も1回分で済みます。ただし、同日検査が適しているかどうかは、患者さんの全身状態や検査の目的によって異なりますので、医師とよく相談することが大切です。
まとめ
内視鏡検査の痛みへの不安は、適切な対策により大幅に軽減できます。
鎮静剤を用いた検査により、多くの方が「眠っている間に終わった」と感じられます。無送気軸保持短縮法という高度な挿入技術により、腸への負担を最小限に抑えることができます。最新のAIシステムと画像強調技術により、微細な病変も見逃さず、早期発見・早期治療につながります。
当院では、一人ひとりに合わせた最適な検査を提供しています。女性医師による検査や、患者さんの体質に合わせた下剤の選択、プライバシーに配慮した検査環境など、安心して検査を受けていただける体制を整えています。
大腸がんや胃がんは、早期発見すれば治療可能な病気です。内視鏡検査への不安から検査を先延ばしにせず、まずは一度ご相談ください。つくば駅から徒歩5分という便利な立地で、茨城県全域から多くの患者さんにご来院いただいています。あなたの健康を守るために、私たちが全力でサポートいたします。