【医師監修】胃カメラは鎮静剤を使う?鎮静剤が選ばれる理由をつくばの内視鏡専門医が解説|辻仲つくば胃と大腸内視鏡・肛門外科クリニック|茨城県つくば市の大腸・肛門外科 消化器内科 内視鏡検査

〒305-0032 茨城県つくば市竹園1-4-1 南3パークビル2階
つくば駅から徒歩5分の大腸・肛門外科 消化器内科 内視鏡検査

トピックス TOPICS

診療時間
9:00~11:30
14:00~16:30

休診日:日曜、祝日
※予約がなくても外来診察をいたしますが、予約していただかない場合は、受付も含めて大幅にお待たせしてしまうことがあります。
※診察医師の希望がある場合は、担当医表をご確認のうえ電話でご予約ください。予約がない場合は、医師の希望をお受けできないことがあります。
※午前・午後とも初診を受け付けております。
※NEWSにて担当医表のご案内をしております。

【医師監修】胃カメラは鎮静剤を使う?鎮静剤が選ばれる理由をつくばの内視鏡専門医が解説



胃カメラを受ける際に、鎮静剤を使って楽に検査することに対して、「普通はやらないのに恥ずかしい」「つらいのは耐えて当たり前」と思っていませんか?

結論を先にお伝えすると、そのような心配は全く不要です。

なぜなら、胃カメラは定期的に検査を行うことで胃がんによる死亡を抑制する効果があることが示されており、一度検査をして終わりではないため、できるだけつらくない検査を選ぶことが重要だからです。

辻仲つくば胃と大腸内視鏡・肛門外科クリニックで胃内視鏡検査を受ける方の92%が鎮静剤を使用しており、これは決して特別なことではありません。

この記事では、胃内視鏡検査で鎮静剤を用いることは、決して恥ずかしいことではなく、辛かったり不安な場合は使用することができることをご説明します。
ちなみに、当院では、経鼻内視鏡検査(鼻からの内視鏡検査)も行っています。




1. 胃カメラがつらいと思うのは自然なこと

胃カメラの検査について、知り合いの方が「そんなにつらくなかった」とおっしゃったり、「それぐらいは耐えるべき」という声を聞いたりして、胃カメラへの不安を恥ずかしく感じている方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、2024年のオリンパスの内視鏡検査に対する大規模アンケート調査によると、鎮静剤なしで経口内視鏡検査を受けた人の中の63.8%、鎮静剤なしで経鼻内視鏡検査を受けた49.1%の方が胃の内視鏡検査をつらかったと答えたことが明らかになっています。

つまり、大半の方が胃内視鏡検査をつらいと思っており、胃カメラがつらいと思うのは自然なことです。
これは、あなただけの問題ではありません。




2. つらくない検査が重要な理由

辛くない検査を選択することは重要ですし、不可能ではありません。

2-1. 胃内視鏡検査は定期的な検査が重要

残念ながら、胃カメラは人生で一回受けて終わりという検査ではありません。

胃がん検診において、胃内視鏡検査は定期的に行うことで胃がんによる死亡を減らすことができるため、胃がん検診マニュアルでも定期的な検診の重要性が強調されています。

2-2. ガイドラインも推奨する対策

検査がつらい、または不安が強い場合の解決方法として、以下の2つが推奨されています:

  1. 経鼻内視鏡検査(鼻からの検査)
  2. 鎮静剤の使用

内視鏡鎮静ガイドラインでも、検査がつらい場合はこれらの方法を選択できることが明記されています。

通常の口からの胃カメラでは定期的な検査が難しいと感じる場合は、迷わずこれらの選択肢を検討することをお勧めします。
当院ではど経鼻内視鏡検査も鎮静剤の使用もどちらも選択できます。
(鎮静剤を使う際は口からの検査をお勧めしますが、鎮静剤を使って鼻からの検査も可能です。)

3. 鼻からの検査だけで十分?

鼻からの検査(経鼻内視鏡)で十分であり、鎮静剤を使うのは検査医師のレベルが低いからだという意見もあります。
私はその主張は正しくないと考えています。
実際先ほどの報告でも、経鼻内視鏡検査でも約半数の方が辛いと思っており、解決策として十分でない実態があります。
また、同じWEBアンケートの結果でも、結局は経鼻内視鏡検査で満足度が上がっておらず、検査自体が辛い実態が確認されています。



3-1. 経鼻内視鏡検査の効果

経鼻内視鏡は確実に検査の苦痛を軽減します。検査の質についても、口からの内視鏡よりもやや劣るものの、最近の経鼻内視鏡は画質も使い勝手も向上しており、ガイドラインでも十分な質があると評価されています。
また、先程のWEBアンケート調査でも、経鼻内視鏡検査の方がわずかに満足度が高い結果となっています。

3-2. すべての方に適用できるわけではない

しかし、以下のような課題もあります:

  • 鼻が狭くて内視鏡が入らない場合がある
  • 通っても鼻が痛んだり、出血することがある
  • 経鼻内視鏡でも苦痛が強い方がいる
  • そもそも検査自体が不安で、カメラを見るだけで恐怖を感じる方もいる

このような実際の苦痛の訴えや調査結果を踏まえると、「鼻からの検査があるから鎮静剤は不要」という主張は適切ではないと考えます。

4. 鎮静剤の使用は一般的

いままで述べてきたように、経鼻内視鏡は内視鏡検査の苦痛を軽減する重要な要素ではありますが、不十分であることも明らかです。
しかしながら、鎮静剤を用いることは大げさなのではないかと考えている方も多いと思います。

4-1. ガイドラインに基づいた標準的な選択

各種ガイドラインでは、胃カメラがつらかったり不安だったりする場合、鎮静剤を使用してもよいとされています。

鎮静剤を使用した場合の効果:

  • 不安や苦痛が改善される
  • 再度検査を受ける意向が高くなる
  • 適切に使用すれば検査自体を覚えていない方も多い

4-2. 多くの患者さんが選択している現実

2021年の同様のアンケート調査でも、胃カメラを「つらくない」と答えた方の半数近くが「鎮静剤を使用するから」と回答しています。

実際に、辻仲つくば胃と大腸内視鏡・肛門外科クリニックでもほとんどの方が鎮静剤を使用しており、次回の検査でも鎮静剤の使用を希望される方がほとんどです。

特に当院で使用する鎮静剤は、検査後すぐに効果がなくなり、吐き気などもほとんどありません。
「目をつぶって開けたら、他の部屋にいた」といって笑い出す患者さんもいらっしゃいます。
欧米ではむしろ、「鎮静剤なしで胃カメラを行うことは、大道芸の方が剣を飲むのとさして変わらなく、そんなことを患者さんにさせるのか?」と驚く医者もいるようです。
これは言い過ぎではありますが、患者さんの苦痛に寄り添う気持ちは大事かなとは思います。



5. 安全性への配慮

ただし、安全性について十分な配慮をしている医療機関かどうか、豊富な経験があるかどうかを確認することが重要です。

鎮静剤を使用すること自体が重要なのではなく、十分な鎮静剤を安全に使うことが重要であるため、豊富な経験がある施設で行うことをおすすめします。

また、検査後は自動車・自転車などの運転の制限があります。

当院で使用する鎮静剤は効果時間が短いものであるため、当日運転を禁止はしていませんが、一定の時間休んでいただく必要があります。
当院では、安全のために、タマゴ・大豆アレルギーのない方は6時間、タマゴ・大豆アレルギーのある方は終日運転を控えていただいています。

当院での運転制限についての詳細についてはこちら

6. 専門医の本音

これはエビデンスに基づくものと言うよりは、私の現場での感覚みたいなところですが以下のように考えて、辻仲つくば胃と大腸内視鏡・肛門外科クリニックを運営しています。

6-1. 現場で感じること

地方で内視鏡検査を行う際、内視鏡を見るだけで過呼吸になってしまったり、検査前に気分が悪くなって検査を受けられなくなる方にしばしば遭遇します。

「検査医が上手なら鎮静剤は不要」「鼻からの内視鏡があれば十分」と主張する医師もいますが、このような現状を見ると疑問を感じざるを得ません。

辛い検査を鎮静剤なしで耐えてくれてありがとうと思うべきことであり、自分の技術レベルが高いからと考えるのは、検査が不安で医療機関にたどり着いていない方が相当数いらっしゃることへの配慮が足りないように思います。

私達は、辛いと思っているから医療機関にそもそも到達していない方々に、苦痛なく検査を受けてもらいたいと思っています。

6-2. 適切な選択を

安全性の問題もあるため、すべての医療機関で鎮静剤を用いた検査を行うべきだとは思いません。
また、運転の制限などで鎮静剤を使わない選択肢もあってよいものだと思っています。

しかし、胃カメラがつらい、不安だと思うのであれば、鎮静剤を用いることは全く恥ずかしいことではありません。

なくても検査ができるという考えもあるかもしれませんが、本当に辛いと思っている医療機関受診をためらっているような方に適切な選択肢を提供するのが我々の使命と思っています。

 

7. まとめ

胃カメラは定期的に検査することで効果が発揮される検査です。

一方で苦痛が強く、ほとんどの人が不安に思っていることも事実です。

鎮静剤は不安解消のための有効な手段であり、ガイドラインにも記載されている標準的な選択肢です。使用することは決して特別なことではありません。

ただし、安全性への配慮や、検査後の運転制限などの注意点もあります。

辻仲つくば胃と大腸内視鏡・肛門外科クリニックでは、AI技術を活用した最新機器豊富な経験を持つ専門医により、安全で確実な鎮静剤を用いた胃内視鏡検査を提供しております。

つくば市をはじめ、土浦市、牛久市、つくばみらい市、常総市、石岡市、阿見町、守谷市、龍ケ崎市のみならず、茨城県外も含めて広い地域から多くの患者様が来院されています。

胃の症状があるけれど検査自体に不安をお感じの方、ピロリ菌除菌後などで定期的な検査が苦痛と感じている方、胃がん検診後の精査の内視鏡検査がご不安な方は、お気軽にご相談ください。
あなたに最適な検査方法をご提案いたします。

8. よくある質問項目

  1. 鎮静剤は安全ですか?
    個人的には鎮静剤を使って危ないと思ったことはありませんが、ガイドラインにしたがって、細心の注意を払って検査を行っています。脈拍、酸素飽和度のモニターを用いながらやることはもちろん、看護師とともに呼吸の状態を常に観察しています。また、救急カートを準備して、緊急の事態があったときには対応ができるようにしています。

  2. 鎮静剤はどこでも同じですか?
    鎮静剤は施設により異なるものを使っています。また、鎮静剤が同じであったとしても使い方によって効果が全く違います。当院で使用する鎮静剤は一般的に使われている鎮静剤と異なるものであり、眠る可能性がかなり高いものとなっています。先程のアンケート調査では、鎮静剤を使用したけれど辛かったと答えた方が25%程度いることがわかっています。他の施設で鎮静剤を使って辛かったなどでよく当院へ来院されていますが、当院の鎮静では楽で驚いたという声もよく聞きます。


参考:
オリンパス社 胃・大腸がん検診と内視鏡検査に関する意識調査白書2024
オリンパス社 胃・大腸がん検診と内視鏡検査に関する意識調査白書2021

【作成・監修】  

辻仲つくば胃と大腸内視鏡・肛門外科クリニック   院長 森田 洋平(日本消化器内視鏡学会 専門医)