
痔だと思って放置しがち…|「自己判断が危ない」出血パターンと検査の選び方
目次
「痔だから大丈夫」という思い込みが招くリスク
排便時に出血があると、多くの方が「痔だろう」と自己判断してしまいます。
確かに、肛門からの出血の原因として痔は多い疾患です。しかし、その出血が本当に痔によるものなのか、それとも大腸がんなど他の重大な疾患のサインなのかを見極めることは、専門医でも見た目だけでは困難な場合があります。
実際、大腸がんの手術を受ける患者さんの中には「以前から血は出ていたけれど、痔だと思ってそのままにしていた」という方が少なくありません。もし最初に出血したときにすぐ検査を受けていれば、もっと早い段階で、あるいはポリープのうちに発見できたかもしれないのです。
大腸がんは日本において女性の死亡原因第1位、男性でも第2位となっており、決して他人事ではありません。初期症状がほとんどないため、出血という明確なサインを見逃さないことが重要でしょう。

痔と大腸がん…出血パターンの違いを知る
大腸がんによる出血の特徴
大腸がんの出血は、初期には量が少なく気づかないこともあります。
しかし、症状が進行すると便のまわりに血が付着するようになり、少量の血が常に出るようになるのが特徴です。直腸がんは肛門に近いため頻繁に血便がみられ、結腸がんでは血と便が混ざることがあります。
痔による出血の特徴
痔には「いぼ痔(痔核)」「切れ痔(裂肛)」「あな痔(痔ろう)」の3種類があり、このうち出血を伴うのは主にいぼ痔と切れ痔です。
いぼ痔の出血は鮮やかな赤色で、肛門から少量の血が垂れる場合や、便器が血で染まるほどの量が出る場合もあります。いぼ痔の場合、通常は痛みを伴いません。一方、切れ痔の出血は紙に付く程度で量はあまりありませんが、排便時に強い痛みを伴うのが特徴です。
見分けるポイント
出血の色や量、痛みの有無など、いくつかの違いがあります。しかし、特に肛門に近い直腸がんの場合、痔の出血と症状が非常によく似ているため、自己判断は危険です。
「血の色が鮮やかだから痔だろう」「痛みがないから大丈夫」という思い込みが、重大な疾患の発見を遅らせる可能性があります。
また、大腸肛門病学会のガイドラインでも、痔と診断するためには、大腸内視鏡検査で大腸がんなどの重大な疾患ではないことを確認することが強調されています。
こんな症状があったら要注意!受診すべきサイン
繰り返す出血は速やかに受診を
市販の坐薬を使用しても出血が繰り返される場合は、速やかに医療機関を受診してください。
痔核ではなく大腸がんの場合もあるからです。実際に、痔核出血も認めるが大腸がんからも出血していたというケースは珍しくありません。大腸がんは年々増えている疾患ですので、自分は痔だと思い込まないことが大切です。
その他の注意すべき症状
出血以外にも、以下のような症状がある場合は早めの受診が必要でしょう。
- 便秘または下痢が続く
- 腹痛や腹部の張りが続く
- 便が以前よりも細い
- 急な体重減少がみられる
- 黒い便が出る
これらの症状は、大腸の病変を示唆する可能性があります。特に、複数の症状が同時に現れている場合は、速やかに消化器内科を受診することをお勧めします。

便潜血検査が陽性…次にすべきこと
便潜血検査の意味を正しく理解する
健康診断などで行われる便潜血検査は、目には見えない微量な血が便に混じっていないかを調べる検査です。
この検査で「陽性」と結果が出ても、「どうせ痔だろう」と考えて精密検査である大腸内視鏡検査を受けていない方が少なくありません。痔があるとご自身で思っているかどうかと、便潜血検査陽性で大腸がんが見つかる確率には差がないことが報告されています。
参考:「痔だから大丈夫」は危険!便潜血検査陽性で見過ごされがちな大腸がんのリスク
便潜血検査の限界を知る
便潜血検査は、便に血が混ざると陽性反応が出るため、切れ痔やいぼ痔から出た血液でも反応してしまいます。
反対に、出血がない早期の大腸がんの場合は便に血が混ざらないため、検査結果は陰性になります。このことから、便潜血検査のみでは万全な大腸がん検診とは言えないため、陰性だとしても大腸内視鏡検査は欠かせません。
大腸内視鏡検査までがワンセット
便潜血検査は、あくまで大腸がん検診の「入口」です。
陽性という結果が出た場合は、大腸内視鏡検査を受けるところまでが「ワンセット」だとご理解ください。40歳を過ぎたら、便潜血検査の結果に関わらず、年に1回は大腸内視鏡検査を受けることをお勧めします。
大腸内視鏡検査…医療機関の選び方
まずは肛門科・消化器科を受診する
出血があった際には、肛門科か消化器科でご相談いただくのが良いと思います。いずれにせよ、大腸内視鏡検査を行える医療機関でご相談いただくのをおすすめします。
もしも、ご自身が痔ではないと思っているのであれば、肛門科受診をおすすめします。
専門医資格を持つ医師がいるか
大腸内視鏡検査を受ける際は、「日本消化器内視鏡学会専門医」の資格を持つ医師が在籍しているかを確認することをお勧めします。
この資格は、日本消化器内視鏡学会が定めた様々な要件を満たすことにより保有できる資格であるため、内視鏡検査に精通しているかどうかを判断する一つの指標となります。また、消化器病専門医の資格を有している医師の場合、消化器疾患に対する知識や経験がある程度担保されていますので、選ぶときの参考にしていただければと思います。
鎮静剤の使用について確認する
内視鏡検査で生じる苦痛には個人差があります。
胃カメラ検査では咽頭反射を起こしてしまう方がいる一方で、全く起こらない方もいます。大腸カメラ検査でも痛みに苦しむ方もいる一方で全く痛みを感じない方もいます。したがって、鎮静剤使用のあり・なしを選択できる医療機関を選ぶことをお勧めします。
必要に応じて、必要なものを正しく説明してくれたうえで使用してくれる医療機関が安心でしょう。
参考:痛くない鎮静剤実現のための軸保持法と鎮静剤

下剤の選択肢があるか
検査前に使用する下剤は、患者さんの体質やご希望に合わせて数種類用意している医療機関を選ぶと良いでしょう。
初めて検査を受ける方で下剤服用が不安な方、過去内視鏡検査の下剤服用でつらい思いをされた方も安心できます。また、院内で下剤を服用できるスペースがあるかどうかも確認ポイントです。
当院の大腸内視鏡検査…安心して受けていただくために
鎮静剤を用いた苦痛の少ない検査
当院では、検査時に患者さんへの負担や苦痛をできるだけ軽減できるよう、鎮静剤を使用しています。
半分眠ったようなぼんやりとした状態で、リラックスしたまま検査を受けられます。また、検査後は専門のリカバリールームでしっかりと休んでからお帰りいただけます。当院では作用時間が短く、患者さんの負担の少ない鎮静剤を使用しております。
経験豊富な専門医による検査
当院には「日本消化器内視鏡学会専門医」「日本大腸肛門病学会専門医」「日本消化器外科学会専門医」の専門資格を持つ医師が所属しており、専門性の高いチーム診療をご提供しております。
一人ひとりの患者さんのお話しを丁寧にお伺いした上で、適切な検査を提供しております。大腸内視鏡検査の実績は25,093件に上り、豊富な経験を活かして痛みや負担を抑えながら検査を進めさせていただきます。
最新のAIシステムを導入
当院では、最新AIシステムを導入したことで、これまで見つけるのが難しかった微細な早期がんや炎症、その他の病変なども、より高い精度で発見できるようになりました。
複数の高出力LED照明を使用し、血管や粘膜の表面を詳細に観察することで、病気の早期発見・早期治療へと繋げることができます。また、光の波長を変えて腸粘膜の表面や色調がはっきり見える「画像強調」を導入しています。
検査と同時にポリープ切除が可能
一般的に大腸内視鏡検査中に、ポリープが発見される確率は530%と言われています。
当院では検査の利便性を上げるために、入院が不要な場合は日帰り大腸ポリープ切除に対応しています。ポリープのない状態を作ることで、大腸がんを約86%予防することが可能とされています。お仕事などが忙しくて通院が難しい方や、負担の少ない検査をご希望の方はお気軽にご相談ください。
参照:大腸ポリープ切除による大腸がん予防効果について

女性医師による検査にも対応
女性の患者さんの中で、男性医師による内視鏡検査に対して抵抗感を持っている方は多くいらっしゃいます。
当院には女性医師も在籍しており、恥ずかしさや怖さから内視鏡検査をためらっている女性の方も安心してご来院いただける診療体制を整えております。男性医師による検査に抵抗感や恥ずかしさ・恐怖や不安をお持ちの方は、お気軽にご相談ください。
検査の流れと費用について
検査の流れ
大腸内視鏡検査をご希望される場合は、WEBまたはお電話でご予約いただき、一度ご受診いただくようお願いいたします。
初回受診の際は問診や医師による診察を通して、腹部の症状や状態を把握していきます。医師の診察後、大腸内視鏡検査にご同意いただけた場合は、下剤をお渡しします。検査前の準備や下剤の飲み方については当院スタッフがご説明しますので、わからないことがございましたらお声がけください。
検査前2〜3日はなるべく消化に良いものを食べていただき、前日には当院でお渡しする検査食を召し上がっていただきます。検査当日は、指定された時間に来院し、下剤を服用していただきます。便が透明な状態になったら検査を開始します。
費用について
3割負担の場合、大腸内視鏡検査が7,500円、内視鏡的大腸ポリープ切除術(2cm未満)が30,000円、病理組織検査が1臓器4,000円、2臓器7,500円、3臓器11,000円となっています。
お支払方法は現金とクレジットカード(VISA/JCB/Mastercardなど)に対応しています。費用は目安ですので、詳細は診察時にご確認ください。
アクセスについて
当院はつくば駅から徒歩5分と便利で、つくば市内だけでなく、つくばエクスプレス沿線や常磐線・関東鉄道常総線沿線、茨城県全域から多くの患者さんが来院されています。
遠方からでも安心して検査を受けられるよう、プライバシーに配慮した下剤服用スペースを完備し、検査開始時間も柔軟に対応しています。
まとめ…自己判断せず、早めの受診を
排便時の出血を「痔だろう」と自己判断して放置することは、大腸がんなどの重大な疾患を見逃すリスクがあります。
大腸がんと痔の出血には違いがありますが、特に直腸がんの場合は症状が非常によく似ているため、専門医でも見た目だけでは区別がつかないことがあるほどです。繰り返す出血や、便秘・下痢が続く、便が細い、急な体重減少などの症状がある場合は、速やかに消化器内科を受診してください。
便潜血検査で陽性が出た場合は、確実に大腸内視鏡検査を受けることが重要です。便潜血検査は大腸がん検診の「入口」であり、精密検査までがワンセットです。40歳を過ぎたら、年に1回は大腸内視鏡検査を受けることをお勧めします。
大腸内視鏡検査を受ける際は、専門医資格を持つ医師が在籍し、鎮静剤の使用や下剤の選択肢がある医療機関を選ぶと良いでしょう。当院では、鎮静剤を用いた苦痛の少ない検査、最新AIシステムによる高精度な観察、検査と同時のポリープ切除、女性医師による検査など、患者さんが安心して検査を受けられる体制を整えております。
「どうせ痔だろう」という思い込みが、命に関わる病気の発見を遅らせる可能性があります。少しでも気になる症状があれば、恥ずかしがらずに早めにご相談ください。早期発見・早期治療が、あなたの健康を守る最善の方法です。
参考文献: