「すぐに病院に行った方がいいの?」「胃がんや胃潰瘍になるリスクがあるの?」「どこで、どんな検査を受ければいいの?」
このような不安を抱えている方にまずお伝えしたいことがあります。ピロリ菌は適切に検査・治療すれば除菌できるものであり、慌てる必要はありません。
ただし、次のステップを間違えると、せっかく来院いただいても「今日は検査できません」となってしまうことがあります。この記事では、二度手間を防ぎ、効率的に検査・治療を進める方法を解説します。

目次
1. 【重要】ピロリ菌の検査・治療を保険で受けるための絶対条件
ピロリ菌感染は胃がん、胃・十二指腸潰瘍の原因として極めて重要な疾患です。ピロリ菌感染が疑われる場合は精密検査や治療が強く推奨されます。
日本の保険診療では、ピロリ菌の精密検査や除菌治療を受けるには「胃内視鏡検査(胃カメラ)で、ピロリ菌感染による胃炎が確認されること」が必須条件となっています。
つまり、採血やバリウム検査だけでは保険診療での精密検査や治療を受けられません。これは国が定めたルールで、全国どこの医療機関でも同じです。
1-1. なぜ胃カメラが必要なのか
現在の胃の状態を直接目で見て確認できる唯一の検査方法です
胃がんや胃潰瘍などの重要な病気の有無も同時に確認できます
現在のピロリ菌感染状況と胃炎の程度を正確に判断できます
※ピロリ菌は一度除菌すれば、再度感染する可能性はかなり低いです。基本的には除菌治療が成功した場合の再検査は不要です。
2. あなたの次のステップは?まず確認してください
🔍 あなたの検査結果はどちらですか?
採血・バリウム・ABC検診で
ピロリ菌陽性を指摘された
クリックして詳細を確認 →
胃カメラで既に
ピロリ菌感染疑いと診断された
(検査結果をお持ちの方)
クリックして詳細を確認 →
3. パターンA:胃内視鏡検査(胃カメラ)以外で指摘された方
3-1. このパターンに当てはまる方
採血検査・ABC検診で指摘された方
「ピロリ菌抗体 陽性」
「ペプシノゲン異常」
「ABC分類 B群、C群、(D群)」
バリウム検査で指摘された方(胃がん検診や人間ドックなど)
「ピロリ菌感染疑い」
「慢性胃炎」
「萎縮性胃炎」
症状から感染を心配されている方
胃もたれ、胸やけ、胃痛、食欲不振の症状
家族にピロリ菌感染者がいる(よく言われるように、井戸水からの感染であるため)
3-2. あなたの次のステップは…【胃内視鏡検査(胃カメラ)】の予約です
まずは、胃内視鏡検査でピロリ菌感染胃炎疑いであることを診断する必要があります。
外来にご来院いただいたとしても、胃内視鏡検査を行っていない状態では、除菌治療はできません。
当院の胃内視鏡検査の特徴
初診でも直接予約可能 – 外来受診なしで、いきなり胃カメラの予約ができます
苦痛の少ない検査 – 鎮静剤(静脈麻酔)でウトウトした状態で検査を受けられます
胃内視鏡検査を行った後に、同日ピロリ菌の検査を行います。
結果が出たら、ピロリ菌の治療についてご相談します。
4. パターンB:胃内視鏡検査(胃カメラ)で指摘された方
4-1. このパターンに当てはまる方
人間ドックや他院の胃カメラ(胃がん検診含む)で、以下のような診断を受けた方:
「ピロリ菌感染胃炎」
「萎縮性胃炎」
「慢性活動性胃炎」
「鳥肌胃炎」
(※胃底腺ポリープはピロリ菌感染を疑う所見ではありません。)
4-2. あなたの次のステップは…【(一般)外来】の予約です
すでに保険診療の条件をクリアしているため、直接ピロリ菌検査・治療へ進めます。
当院では予約なしでも診察可能ですが、予約していただいたほうがお待たせする時間が減るため、おすすめします。
4-3. 外来受診時の流れ
ピロリ菌の精密検査 – 採血や呼気試験による検査(もう一度胃カメラをやるわけではありません)
除菌治療の開始 – ピロリ菌が確認されたら、お薬による治療開始(1週間内服)
除菌判定 – 治療後、尿素呼気試験で除菌できたか確認(治療後8週間後)
4-4. 必要な持ち物
胃カメラの結果報告書(必須)
保険証
お薬手帳(あれば)
まとめ
正しい手順でご来院いただくことが、皆様の貴重な時間や手間を省くための最も効率的な方法です。
1. 自分がどちらのパターンか確認
胃カメラ以外で指摘 → 【胃カメラ検査】を予約
胃カメラで指摘 → 【外来診察】を予約(結果持参)
2. 早めの予約を
ピロリ菌は早期に除菌するほど、将来の胃がんリスクを効果的に減らせます。
3. 正しい手順で進める
保険診療のルールは全国共通です。二度手間を避けるため、この記事の手順に従ってください。
クリニック・サービス紹介
当院では、患者様の不安に寄り添い、丁寧な検査・治療を心がけています。一緒に、あなたの胃の健康を守っていきましょう。特に、ピロリ菌陽性の場合は、治療後も定期的な内視鏡検査をおすすめしています。当院では鎮静剤を用いた苦痛の少ない内視鏡検査を行っています。つくば市をはじめ、土浦市、牛久市、つくばみらい市、常総市、石岡市、阿見町、守谷市、龍ケ崎市のみならず、茨城県全域の広い地域から多くの患者様が来院されています。
よくある質問
当院では希望者に鎮静剤を使用します。確実に寝ることをお約束できるわけではないのですが多くの方が「寝ている間に終わった」とおっしゃいます。
鼻からの内視鏡検査(経鼻内視鏡検査)の選択も可能です。鼻からの検査を楽としている医療機関も多いですが、統計上は約半数の方がつらいと答えています。運転などの制限がある方は経鼻内視鏡検査も選択肢となります。
保険診療(3割負担)の場合:
胃カメラ検査:約6,000円
ピロリ菌検査:約1,500円
除菌治療薬:約2,000円
程度の費用がかかります。
原則として6ヶ月以内の結果をお持ちください。それ以上空いているものでも、所見などによっては考慮するのでご持参ください。
つくば市以外の方でもピロリ菌の検査や除菌治療を行っています。ご安心ください。当院では、土浦市、牛久市、つくばみらい市、常総市、石岡市、阿見町、守谷市、龍ケ崎市など、つくば市外の方も受診されています。
除菌により胃がんリスクは大幅に減少しますが、ゼロにはなりません。除菌後も1-2年に1回の胃カメラ検査をお勧めします。除菌したときの年齢やピロリ菌による胃炎の程度にもよります。
はい、もちろんです。当院は「胃と大腸の消化器内視鏡」を専門としており、各種検診や精密検査に幅広く対応しております。
胃がんリスク検診(ABC検診)
大腸がん検診(便潜血検査)
便潜血検査陽性となった場合、精密検査(大腸内視鏡)に対応しています。精密検査については、つくば市外の方についても対応しています。
保険診療では胃カメラが必須です。自費診療も可能ですが、費用が高額(総額5万円以上の可能性)になることもあります。また、保険外となった場合には、薬剤による副作用について、製薬企業からの補償が受けられない可能性があります。ガイドラインでも、採血やバリウム検査だけでは診断として十分ではないことが明記されています。
H. pylori感染の診断と治療のガイドライン 2024 改訂版
日本ヘリコバクター学会ガイドライン作成委員会 編
先端医学社、2024年
学会ホームページ:https://www.jshr.jp/medical/guideline/index.html#sup2024
出版社URL:https://www.sentan.com/shopdetail/000000001006/
概要:本ガイドラインでも、ピロリ菌検査についてはバリウムや採血などでは不十分であることが記載されています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。