
健康診断で「胃カメラと大腸カメラの両方を受けてください」と言われたことはありませんか。
忙しい日々の中で、それぞれの検査のために何度も病院に通うのは大変です。食事制限も検査ごとに必要となり、仕事や家庭の予定調整も負担になります。
実は、胃カメラと大腸カメラは同じ日に検査を受けることが可能です。同日検査を選択することで、通院回数や食事制限の回数を減らすことができ、時間的・経済的な負担を軽減できます。
この記事では、内視鏡専門医の視点から、胃カメラと大腸カメラの同日検査について詳しく解説します。同日検査のメリットやデメリット、検査の流れ、準備方法、費用まで網羅的にお伝えしますので、検査を検討されている方はぜひ参考にしてください。
後述するように、保険診療で胃カメラ、大腸カメラを同日で行う場合には、それぞれの検査をする理由などを詳細にお聞きすることがあります。
目次
胃カメラと大腸カメラの同日検査は可能です
結論から申し上げますと、胃カメラと大腸カメラを同じ日に受けることは可能です。
両方の検査は、食事制限や鎮静剤の使用、検査後の休憩など、多くの場面で共通する流れがあります。胃腸の内部に食事や便がない状態にしていただくことで、同時に検査を行うことができるのです。

ただし、すべての医療機関で同日検査を実施しているわけではありません。同日検査には専門的な内視鏡技術や特殊な設備が必要であり、認められた機関でしか実施できないという制約があります。内視鏡のスペシャリストが常駐し、リカバリールーム等の環境が整った限られた機関のみが、同日検査を提供できるのです。
また、高齢の方やハイリスクな病気を抱えている方は、身体の負担を考慮して、別の日に実施をおすすめする場合があります。患者様の安全を最優先に考え、個別の状況に応じて最適な検査方法を提案させていただきます。
検査の順番について
同日検査では、一般的に胃カメラを先に行い、その後大腸カメラを実施します。
検査台に横になって鎮静剤を用いる場合は、点滴の注射を受けた後、まず胃カメラ検査を5〜10分程度で行います。終了してすぐに、同じ検査台で大腸カメラ検査に移ります。大腸カメラも15-20分程度で終了するため、結果的に大腸カメラ検査に5〜10分加えれば、両方の検査ができることになります。
一部の医療機関では、大腸カメラから先に実施する場合もあります。麻酔を使用するかどうかや患者様の状況によって、検査の順番を調整することがあります。
同日検査の3つのメリット
胃カメラと大腸カメラを同じ日に受けることには、大きく分けて3つのメリットがあります。
時間的・経済的な負担が軽減される
最も大きなメリットは、通院回数が減ることです。
胃カメラ検査には事前受診、検査、結果説明の最大3回医療機関に受診する場合があります。大腸カメラ検査も同様です。これらを別々の日に受けると、合計で最大6回の受診が必要になります。
同日検査を選択すれば、この受診回数を半分に減らすことができます。仕事や家庭の日程調整をする回数も減り、待ち時間も短縮できます。忙しい現役世代の方でも、スケジュールを調整しやすくなるのです。
経済的な面でも、初診料や再診料、薬代、検査で使用される麻酔薬(鎮静剤)の料金など、2つの検査で重複している費用が節約できる可能性があります。また、来院回数が減るため、交通費の負担も抑えられます。

食事制限が1回で済む
検査前の食事制限は、意外と負担に感じるものです。
胃カメラや大腸カメラは、前日からお食事時間の制限が必要です。前日は21時までに夕食を終え、当日の朝は絶食する必要があります。また、内視鏡治療後は、検査後も食事制限を要する場面も生じます。
検査を別々の日に受ける場合、こうした食事制限が2回必要になります。しかし、同時に検査を受けることで、食事制限は1回で済み、時間と手間が軽減されます。特に忙しい方にとっては、大きなメリットといえるでしょう。
検査回数が減る
検査回数が減ることで、検査時の緊張や、点滴のための注射を穿刺するといった負担を減らすことができます。
また、鎮静剤を使用すると、当日は車やバイクなどの運転ができなくなります。同時に検査を行うことで、運転の制限も1度で済むことが可能です。検査台に上がっていざ検査となると、慣れている方でも緊張するものです。胃カメラ検査、大腸検査前の緊張が1回だけで終わるのは、精神的な負担軽減につながります。
同日検査のデメリットと注意点
メリットが多い同日検査ですが、いくつかのデメリットや注意点もあります。
鎮静剤の使用が推奨される
同時に検査を受ける場合、鎮静剤を使用することが望ましいです。
鎮静剤を使用せずに検査を受けると、患者様によっては苦痛と感じる場面があります。胃カメラでオエッとなる嘔吐反射が強く苦しんだ場合、大腸検査するときにおなかのガスが増え、大腸検査が行いづらい環境になります。すなわち、同時検査によって、お身体への負担は増えます。
また、患者様が苦しくて動いてしまった場合、正確な診断を行うことが難しくなります。そのため、鎮静剤によってリラックスしていただくことで、患者様の負担を軽減しながら、質の高い検査を行うことができるのです。

使用する鎮静剤の量が増える可能性
胃カメラのみ、大腸カメラのみと比べると、使用する鎮静剤の量は増えます。
単独での検査と比べると検査時間が長くなり、眠りが浅くなると鎮静剤を追加するからです。検査時間が長くなる分、麻酔薬(鎮静剤)の適切な調整が求められます。患者様の体質によっては、血圧の低下や呼吸が弱くなるなどの副作用が生じる可能性があります。
もちろん適切に鎮静剤を調整しますが、このようなリスクがあることは理解しておく必要があります。高度な内視鏡挿入技術や麻酔薬(鎮静剤)の管理が必要になるため、実績豊富な病院で熟練した医師やスタッフによる対応が求められます。
症状がない時は保険適応にならない
内視鏡検査は、無症状の場合は自費となってしまいます。
症状がある、医師から定期検査を指示されている方は検査が保険適応になります。しかし、症状がない方は自費での検査になります。また、都道府県によって胃カメラ、大腸カメラの同日検査が保険診療で認められないことがあります。
大腸カメラをやるからついでに胃カメラもというよりは、どちらも必要だから同日に行うということを確認してからの検査の適応の相談となります。
消化器症状を感じる場合は、一度医療機関にご相談ください。場合によってはどちらか一方だけでも保険適応で対応できることがあります。
実施できる病院が少ない
胃カメラと大腸カメラの同時検査は、専門的な内視鏡技術や特殊な設備を完備し、認められた機関でしか実施することができません。
内視鏡のスペシャリストが常駐し、リカバリールーム等の環境が整った限られた機関のみ、同時検査を提供することができます。このような条件を満たす病院は限られているため、同じ日に胃カメラ検査と大腸カメラ検査を受けられる病院を見つけるのが難しいといえるでしょう。
同日検査の流れ
実際の同日検査は、どのような流れで進むのでしょうか。
ここでは、一般的な同日検査のスケジュールをご紹介します。医療機関によって多少の違いはありますが、基本的な流れは同じです。
検査前日の準備
前日は繊維の少ない食事を召し上がっていただきます。
夕飯は20時ぐらいまでに済ませてください。何を食べればよいかわからない方には、検査食もご準備しております。できる限りスムーズな検査ができるように、消化に良いもの(素うどんやおかゆ、豆腐、たまご、やわらかく煮た大根や人参、プリン、ゼリーなど)を食べるようにおすすめしています。
消化に悪いもの(ゴボウや葉野菜、トマト、ゴマ、とうもろこし、海藻類、ひじき、切り干し大根、こんにゃく、納豆など)は避けるようにしましょう。夜9時頃に緩下剤を服用します。便中に浸透して、便を軟化させ、腸運動を緩やかに高めることで、自然の排便を促す効果があります。
検査当日の朝
朝8時ぐらいから下剤を内服していただきます。
12時頃までにお通じがきれいになるので、きれいになったら指定された時間に来院していただきます。お通じがきれいにならない場合は医療機関にご連絡いただければ対応させていただきます。下剤を服用し、飲み進めていくと強い便意をもよおしてきます。透明な水のような排便となれば検査可能な状態です。
当日朝の心臓や血圧の内服薬は、通常どおり服用してください。当日の朝の糖尿病の薬やインスリン注射は中止してください。事前に主治医に検査を受けることを伝え、了承を得て、薬の飲み方等の指示をもらってからお越しください。
来院後の流れ
受付が終わったら検査着に着替えて検査室に入室します。
生体モニター装着後に鎮静剤を使用し検査を開始します。鎮静剤は2〜3分で効いてきますので、楽な状態になったら検査を開始します。患者様がウトウトした状態で胃カメラを開始します。食道、胃、十二指腸を細かく観察し、必要であれば生検も行います。
胃カメラ終了後、検査台に寝ていただいたまま速やかに大腸カメラを開始します。盲腸まで挿入したあとに上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸をしっかりと観察し、必要であれば生検を行い、ポリープがあれば可能な範囲で切除を行います。

検査後の流れ
検査後は鎮静剤の効果を拮抗する薬を投与後にリカバリールームへ移動し30分程度お休みいただきます。
鎮静剤の効果が切れてきたところで着替えていただき、医師から検査の結果説明を受けます。生検やポリープを切除した場合は後日に病理結果の説明があるため再診予約をとり帰宅していただきます。検査自体は、30分前後ほどで行われますが、検査開始時間は排便状況に応じて個人差がございます。
検査前後に気をつけたいポイント
同日検査を安全に受けるために、いくつか注意していただきたいポイントがあります。
事前準備について
検査の1週間前までに一度ご来院いただき、看護師より大腸内視鏡検査の必要性や偶発症などの説明、問診の確認を行います。
前処置(検査に必要な食事・検査食・薬の調整・下剤の服用方法)についてもご説明します。
現在内服しているお薬を確認するために、お薬手帳や内服薬一覧表もしくは薬を当日ご持参ください。検査2〜3日前から、検査前日までは、できるだけたくさんの水をお飲みください。また、日頃より便秘の方は、2〜3日前から下剤の服用をお勧めいたします。
検査後の過ごし方
検査後は食事できますが、鎮静剤を使用した場合は注意が必要です。
鎮静剤の効果が完全に切れるまで、車やバイクなどの運転は控えてください。また、大腸ポリープ切除を行なった場合は、検査後に1週間程度の生活制限が必要になります。治療後の出血リスクを高める激しい運動を控えて、旅行や出張など遠出を避けることが必要です。
特に飛行機による移動の場合は、出血した際に対応が遅れることとなりますので、スケジュール調整を要します。スケジュールが許さない場合は、検査中に見つけたポリープをあえて切除せずに、別の日に改めて切除することとなります。
辻仲つくばでの同日検査
辻仲つくば胃と大腸内視鏡・肛門外科クリニックでは、専門医による安全で質の高い同日検査を提供しています。
辻仲病院グループに所属し、グループ内で培った知識や技術をもとに専門性の高い治療を提案しています。外科専門医、消化器外科専門医、大腸肛門病専門医が在籍しており、専門的な診療を提供しています。
つくば駅から徒歩5分の立地にあり、土曜診療も実施しています。運転できない検査でも通院しやすい環境です。下剤を院内で服用する体制が整っており、トイレは十分な数が準備され清潔に保たれています。下剤を飲んでいる間は看護師が頻繁に確認を行い、患者のストレスを軽減する配慮がなされています。
検査後の医師による説明は丁寧で、患者が安心して検査や治療を受けられる環境づくりに注力しています。入院が必要な治療・手術については、グループ病院の辻仲病院柏の葉と連携して治療にあたる体制を整えています。
大腸カメラ検査については事前診察が必須となっており、WEB予約またはLINE予約で事前診察と検査仮予約を取得できます。検査自体の苦痛の少なさ、便利に検査や治療を受けられる体制、安心して検査や治療を受けていただくための情報提供を追求している点が特徴です。
まとめ
胃カメラと大腸カメラの同日検査は、時間的・経済的な負担を軽減できる有効な選択肢です。
通院回数や食事制限の回数が減り、忙しい方でもスケジュールを調整しやすくなります。ただし、鎮静剤の使用が推奨されることや、実施できる医療機関が限られることなど、いくつかの注意点もあります。
同日検査を検討される場合は、内視鏡専門医が在籍し、適切な設備が整った医療機関を選ぶことが重要です。事前に医師とよく相談し、ご自身の状況に合った検査方法を選択してください。
辻仲つくばでは、専門医による安全で質の高い同日検査を提供しています。検査についてご不明な点やご心配なことがあれば、お気軽にご相談ください。

【作成・監修】
辻仲つくば胃と大腸内視鏡・肛門外科クリニック
院長 森田 洋平(日本消化器内視鏡学会 専門医、MPH(公衆衛生大学院))
MPHは予防医学、疫学、統計のスペシャリストの学位です。大腸がんの予防的なデータを実践するスペシャリストといえます。