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便が細くなる症状は、体からの重要なサインです
「最近、便が細くなった気がする」「排便後もスッキリしない」……そんな症状を感じたことはありませんか?
便の太さは通常3~4センチほどですが、何らかの原因で1センチ程度の細い便が続く場合があります。一時的なものであれば心配ありませんが、この状態が続くときは注意が必要です。
便が細くなる背景には、大腸がんや大腸ポリープといった重大な疾患が隠れている可能性があります。また、残便感や血便を伴う場合は、より慎重な対応が求められます。
消化器外科・内視鏡の専門医として多くの患者さんを診てきた経験から、便の変化は決して軽視できないサインだと考えています。早期発見・早期治療が何より大切です。
便が細くなる主な原因とは
便が細くなる原因は、大きく分けて3つのパターンに分類されます。

腸の通り道が狭くなっている場合
大腸がんや大腸ポリープが発生すると、腸管の内側が狭くなります。
狭くなった部分を便が通過する際、圧迫されて細くなってしまうのです。特にS状結腸や直腸など、肛門に近い部位に腫瘍ができた場合、この症状が現れやすくなります。
大腸がんは早期段階では無症状であることがほとんどです。しかし、進行すると腫瘍が大きくなり、便の通過を妨げるようになります。血便や腹痛を伴う場合は、特に注意が必要です。
便の性状が変化している場合
便秘や下痢といった便通異常も、便が細くなる原因となります。
便秘の場合、腸内に便が長時間留まることで水分が過剰に吸収され、便が硬く細くなります。一方、下痢の場合は、腸の動きが過度に強くなり、便が十分に形を整える前に排出されてしまうため、細い便となるのです。
過敏性腸症候群では、下痢と便秘を繰り返すことが特徴です。ストレスが原因で自律神経のバランスが乱れ、腸の機能が低下することで、便が細くなったり残便感が続いたりします。
肛門が狭くなっている場合
切れ痔を繰り返すと、傷が治る過程で肛門が狭くなることがあります。
肛門が狭くなると、そこを通過する便も細くなります。排便時や排便後に痛みがある場合は、切れ痔の可能性を考える必要があります。
更年期と便通異常の関係
年齢を重ねると、排便に使われる筋肉は徐々に衰えていきます。
特に女性の場合、更年期を迎えるとエストロゲン(女性ホルモン)の分泌量が急激に減少します。この変化が自律神経のバランスを乱し、腸の機能に影響を与えるのです。
更年期には便秘・下痢・残便感・便が細くなるといった便通異常が起こりやすくなります。これは加齢による自然な変化ではありますが、症状が続く場合は専門医への相談をおすすめします。
便が細い症状で考えられる疾患

便が細い状態が続く場合、以下のような疾患が疑われます。
大腸がん
大腸がんは、大腸表面の粘膜から発生する悪性腫瘍です。
進行すると腫瘍が大きくなり、便の通り道を狭くします。特にS状結腸や直腸に発生した場合、便が細くなる症状が現れやすくなります。
その他の症状として、血便、排便習慣の変化(便秘や下痢)、残便感、貧血、腹痛、嘔吐などが挙げられます。ただし、早期の段階では無症状であることがほとんどです。
40歳以上の方は大腸がんのリスクが高くなります。早期発見のため、年に1度は大腸内視鏡検査を受けることが推奨されています。
大腸ポリープ
大腸ポリープは、大腸粘膜に生じる腫瘍です。
初期段階ではほとんど症状が現れませんが、サイズが大きくなると便の通過を妨げ、便が細くなることがあります。ポリープと便が擦れることで、出血を伴うこともあります。
大腸ポリープの一部にはがん化するものもあるため、注意が必要です。大腸内視鏡検査で発見された場合、その場で摘出手術を行うことができます。
過敏性腸症候群
過敏性腸症候群は、腹痛を伴った便秘や下痢などの便通異常を繰り返す疾患です。
明らかな腸の病気がないにもかかわらず、症状が慢性化します。特徴的な症状として、下痢と便秘を繰り返すことが挙げられます。
下痢の際は、排便時に肛門が十分に開かず、便が細くなることがあります。ストレスが主な原因と考えられており、心理的社会的要因と腸内環境の両面からアプローチする必要があります。
直腸瘤
直腸瘤は、直腸の一部が瘤のように飛び出る現象です。
身体の構造上、女性に見られる現象であり、男性に起きることはまれです。中高年以上に多いですが、若い人にも見られます。
直腸瘤が大きくなると、便秘がひどくなったり、残便感や膣に物が挟まっているような不快感が生じたりします。重症の場合、膣に指を入れて押さないと便が排泄されないこともあります。
大腸内視鏡検査の重要性
便が細い状態が続く場合、大腸内視鏡検査が必要です。

大腸内視鏡検査でわかること
大腸内視鏡検査では、大腸の粘膜を直接観察できます。
大腸がん、大腸ポリープ、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)などの診断が可能です。また、検査中にポリープが見つかった場合、その場で摘出手術も行えます。
当院では、患者さんの負担や苦痛をできるだけ軽減できるよう、鎮静剤を使用しています。また、細径内視鏡や拡大内視鏡を使い分け、無送気軸保持短縮法という検査方法を採用することで、腸粘膜への負担や痛みの軽減に努めています。
内視鏡AIによる診断精度の向上
当院では、内視鏡AI(内視鏡画像診断支援システム)を使用しています。
光の波長を変えた強調画像とAIを組み合わせることで、ポリープやがんを鑑別し、的確な診断へとつなげています。これにより、見落としのリスクを減らし、早期発見・早期治療を実現しています。
受診すべきタイミングと危険なサイン
一時的に便がやわらかくなって細くなっている場合は、それほど心配する必要はありません。
しかし、以下のような症状が見られる場合は、早めの受診をおすすめします。
すぐに受診すべき症状
- 便が細い状態が1週間以上続く
- 血便や粘血便が出る
- 排便後も便が残っている感じ(残便感)が続く
- 便秘や下痢を繰り返す
- 腹痛やおなかの張りがある
- 体重が減少している
- 排便時や排便後に痛みがある
特に注意が必要な危険なサイン
以下のような症状は、重大な疾患のサインである可能性があります。
- 血便(特に黒っぽい便や鮮血が混じる便)
- 体重減少
- 夜間の便意促迫など、便意による睡眠障害
- 腹部にしこりを触れる
- 発熱、関節痛など腸管外症状
- 便が鉛筆のように細い
これらの症状がある場合は、すぐに専門医を受診してください。
日常生活でできる予防と対策

便通異常を予防するために、日常生活で心がけたいことがあります。
食生活の改善
バランスのよい食事を心がけましょう。
食物繊維は、野菜・海藻・果物・きのこ類などに多く含まれます。水溶性食物繊維と不溶性食物繊維をバランスよく摂ることが大切です。
一方、脂質やアルコールの過剰摂取は控えめにしましょう。アルコール摂取は、1日46g以上(ビール約900ml、ワイン約400ml)で大腸がんのリスクが2倍に増加するというデータがあります。
運動習慣の改善
適度な運動は、胃腸の働きを整え、便通の改善に役立ちます。
ストレスにならない、楽しめる運動を継続しましょう。また、骨盤底筋を鍛えることも効果的です。
ストレスの解消
ストレスを溜め込まない、小まめに解消することも大切です。
規則正しい生活を送り、十分に睡眠をとりましょう。1日の中でリラックスタイムを作り、家族や友人など、何でも話せる相手を見つけることも重要です。
排便習慣の改善
毎日決まった時間にトイレに行く習慣をつけましょう。
便意を感じたら我慢せず、すぐにトイレに行くことが大切です。また、排便時に長時間いきむことは避けましょう。
辻仲つくばでの専門的な診療
当院は、国内トップクラスの診療実績を持つ辻仲病院グループに所属するクリニックです。
グループ全体の2023年度実績として、肛門手術件数2,856件、胃内視鏡検査数23,886件、大腸内視鏡検査数25,093件という豊富な経験を持っています。また、鎮静剤使用率は92%と高く、患者さんの苦痛を最小限に抑える検査を提供しています。
出典辻仲つくば 胃と大腸内視鏡・肛門外科クリニック公式サイト(2023年度法人実績)より作成
専門資格を持つ医師による診療
当院には「日本消化器内視鏡学会専門医」「日本大腸肛門病学会専門医」「日本消化器外科学会専門医」の専門資格を持つ医師が所属しています。
日本大腸肛門病学会認定施設でもあり、専門性の高いチーム診療を提供しています。一人ひとりの患者さんのお話しを丁寧にお伺いした上で、適切な検査・治療を提案いたします。
痛みや負担に配慮した検査
当院では、内視鏡検査に伴う痛みや負担に配慮した診療に特に力を入れています。
検査前に使用する下剤は、患者さんの体質やご希望に合わせて数種類ご用意しています。検査前後にゆっくりお過ごしいただけるよう、半個室スペースと個室休憩室もご用意しています。
検査中の苦痛をできるだけ抑えるために鎮静剤も使用しており、痛みに敏感な方や恐怖感の大きい方でもリラックスした状態で検査に臨んでいただけます。
女性医師による診察・検査
内視鏡検査と聞くと、痛い・苦しい・恥ずかしいイメージが先行し、受診を先送りする方は少なくありません。
当院では、受診をためらっている女性の患者さんでも不安なく診療を受けられるように、女性医師による検査・診察日を設けています。女性医師の診察を強くご希望の場合は、お電話でご予約ください。
同日検査と日帰り手術
患者さんの症状やご要望に応じて、胃内視鏡検査と大腸内視鏡検査を同じ日に受けることも可能です。
また、内視鏡検査中にポリープが見つかった場合は、その場で摘出手術も行っています。痔の日帰り手術にも対応しており(2023年実績151例)、忙しく検査や治療のために時間を取りづらい方も、お気軽にご相談ください。
まとめ:便の変化を見逃さず、早めの受診を
便が細くなる症状や残便感は、体からの重要なサインです。
一時的なものであれば心配ありませんが、1週間以上続く場合や、血便・腹痛・体重減少などの症状を伴う場合は、早めに専門医を受診することが大切です。
大腸がんは早期発見・早期治療が何より重要です。特に40歳以上の方は、年に1度の大腸内視鏡検査を受けることをおすすめします。
当院では、痛みや負担に配慮した検査を提供しています。つくばおよび茨城県南の方が、胃腸の症状や肛門の症状について、気軽に受診できるクリニックづくりを目指しています。
便の変化が気になる方、大腸内視鏡検査を受けたい方は、ぜひ一度ご相談ください。24時間WEB予約やLINE予約にも対応しています。
辻仲つくば 胃と大腸内視鏡・肛門外科クリニックで、安心して検査を受けていただけます。

【作成・監修】
辻仲つくば胃と大腸内視鏡・肛門外科クリニック
院長 森田 洋平(日本消化器内視鏡学会 専門医、MPH(公衆衛生大学院))
MPHは予防医学、疫学、統計のスペシャリストの学位です。大腸がんの予防的なデータを実践するスペシャリストといえます。