お腹の張り・ガスが続くときの検査選び|内視鏡で分かる疾患の基本から応用まで|辻仲つくば胃と大腸内視鏡・肛門外科クリニック|茨城県つくば市の大腸・肛門外科 消化器内科 内視鏡検査

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お腹の張り・ガスが続くときの検査選び|内視鏡で分かる疾患の基本から応用まで

公開日:2025年12月24日 / 更新日:2025年12月22日

お腹の張りやガスが続くとき、どう対処すべきか

お腹が張る。ガスが溜まって苦しい。

こうした症状は日常的に経験するものですが、長く続く場合には注意が必要です。食後にすぐお腹が張って苦しくなる、げっぷやおならが頻繁に出る、慢性的に膨満感があるといった症状は「腹部膨満感」としてまとめられ、胃腸の機能低下や腸内ガスの異常、消化管運動の乱れなどが関係しています。多くは一時的なものですが、中には深刻な疾患が隠れている場合もあります。

私は消化器内視鏡専門医として、これまで数多くの患者さんの腹部膨満感の原因を内視鏡検査で明らかにしてきました。症状が続く場合、適切な検査を受けることで原因を特定し、早期に治療を開始することが可能になります。

腹部膨満感の主な原因と考えられる疾患

お腹の張りの原因は多岐にわたります。

最も多いのは、睡眠不足やストレス、食べ過ぎや飲み過ぎを契機として胃腸の動きが悪くなることです。早食い、脂肪分の高い食事による消化不足、夜遅い食事なども原因となります。しかし、こうした生活習慣の問題だけでなく、器質的な疾患が潜んでいることもあります。

機能性ディスペプシア

検査では異常がないのに、胃の不快感や張り感が続く疾患です。食後にお腹が張る、お腹が気持ち悪い、げっぷが出るという症状がある方は、胃酸過多や胃腸の動きが悪いこと(機能性ディスペプシア)が原因となっている可能性があります。

機能性ディスペプシアは様々な背景を原因として症状を引き起こしているため、単一の疾患とことなり、この治療で改善するとは言い難いのが特徴です。

日本人の有病率については、ガイドライン上は11-17%とされています。

(日本消化器病学会 機能性消化管疾患診療ガイドライン2021-機能性ディスペプシア 改定第2版)

過敏性腸症候群

ストレスなどが原因で腸のぜん動運動に異常が起こり、腹痛を伴い下痢や便秘を起こす疾患です。過敏性腸症候群の場合もお腹の膨満感を感じます。何週間も下痢が続き、その後便秘になるなどが繰り返されることが特徴です。

下痢が主体のタイプ、便秘が主体のタイプ、下痢と便秘を繰り返すタイプがあり、それぞれのタイプに適した薬があります。

便秘症

腸内に便が溜まることで腸が膨らみ、膨満感を引き起こします。便秘が続くと、たまったガスが腸にたまり腸が膨張し膨満感を感じます。運動不足や加齢により腸の運動が弱くなったり、便秘になったりします。

食物繊維の取りすぎや腸内環境の悪化による悪玉菌の増加で便秘になり、腸内のガスが増え膨満感を感じることもあります。

胃炎(急性胃炎・慢性胃炎)

急性胃炎は、アルコールをたくさん飲んだりウイルスやストレスで突然みぞおちがキリキリ痛んだりする場合に起こります。胃の粘膜がはがれ(びらん性胃炎)、胃液が直接粘膜にあたることで痛みを伴ったり充血したりします。

ピロリ菌を治療することで症状が改善することがあります。


がん(大腸がん、胃がん、膵臓がん、卵巣腫瘍など)

大腸がん、胃がん、膵臓がん、卵巣腫瘍などのがんにより腹部膨満感がおこることがあります。いずれも初期の場合は症状がないのでわかりにくく、膨満感やおなかの張りなどを感じて受診後発見されることがあります。

呑気症

空気を飲み込んでしまってお腹が張ってしまっていることがあります。呑気症であることを積極的に診断することはできません。ストレスが掛かっている場合など、緊張してつばを飲む回数が増え、一緒に空気を飲んでしまうことがあります。また、食事摂取のスピードが早い場合など、空気を一緒に食べてしまっていることがあります。

このように、胃腸の原因だけでなくお腹が張ってしまうことがあります。


内視鏡検査で分かる疾患とその重要性

お腹の張りが長く続く場合、内視鏡検査が非常に有効です。

内視鏡検査は、胃や大腸の病変の有無を直接観察できる検査方法です。胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)では食道、胃、十二指腸を、大腸カメラ(下部消化管内視鏡検査)では大腸全体を詳しく観察することができます。

胃内視鏡検査で分かる疾患

胃内視鏡検査では、逆流性食道炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がん、食道がんなどの疾患を発見できます。

当院では、患者さん一人ひとりの症状やお身体の状態に応じて、さまざまな内視鏡を使い分けながら検査・治療を行っています。各種先端設備を取り入れ、光の波長を変えた強調画像や内視鏡AI(内視鏡画像診断支援システム)も使用し、がんを鑑別し、的確な診断へとつなげています。

大腸内視鏡検査で分かる疾患

大腸内視鏡検査では、大腸がん、大腸ポリープ、潰瘍性大腸炎、クローン病などの疾患を発見できます。

当院では、検査時に患者さんへの負担や苦痛をできるだけ軽減できるよう、鎮静剤を使用しています。また患者さんの腸の形状や状態に合わせて、チューブが細い細径内視鏡や、腸粘膜を拡大観察できる拡大内視鏡などを使用し、検査しています。無送気軸保持短縮法と呼ばれる検査方法を採用し、腸粘膜への負担や痛みの軽減に努めております。

内視鏡検査中のポリープ切除

内視鏡検査中にポリープが見つかった場合は、内視鏡の先端に備わっているワイヤーや小さなメスを用いて、その場で摘出手術も行っております。

これにより、別の日に改めて手術を受ける必要がなく、患者さんの負担を大幅に軽減できます。

検査を受けるべきタイミングと症状のチェックリスト

以下のような症状が続く場合は、早めの受診をおすすめします。

特に慢性的な膨満感は、内視鏡検査などで原因を調べることが重要です。

  • 食後にお腹がすぐ張って苦しくなる
  • ガスが溜まってお腹が痛む
  • げっぷやおならが頻繁に出る
  • 便秘がちで、お腹が張っている
  • 慢性的に膨満感がある
  • 腹痛や吐き気を伴っている
  • 食欲がない、体重が減少している
  • 血便や下血がある


長期間続く症状は要注意

一時的なお腹の張りであれば、食生活の改善や生活習慣の見直しで改善することが多いです。しかし、長い間お腹が張って苦しい、いつも膨満感があり食欲がない、または腹痛や吐き気を伴っている場合は、まずは医療機関を受診しましょう。

インターネットで検索して、悪い病気をあれこれ考えて不安になるよりも早めの受診で解決する方が近道です。

当院の内視鏡検査の特徴と患者さんへの配慮

当院では、内視鏡検査に伴う痛みや負担に配慮した診療に特に力を入れています。

鎮静剤を使用した苦痛の少ない検査

検査中の苦痛をできるだけ抑えるために、鎮静剤を使用しており、痛みに敏感な方や恐怖感の大きい方でもリラックスした状態で検査に臨んでいただけます。辻仲病院グループ全体での鎮静剤使用率は92%(2023年度実績)と高く、多くの患者さんが眠った状態で検査を受けられています。

患者さんに合わせた下剤の選択

検査前に使用する下剤は患者さんの体質やご希望に合わせて数種類ご用意しています。下剤が苦手な方、飲みにくいと感じる方にも配慮した選択肢を提供しています。

快適な検査環境

検査前後にゆっくりお過ごしいただけるよう半個室スペースと個室休憩室をご用意しております。プライバシーに配慮した空間で、リラックスして検査を受けていただけます。

専門資格を持つ医師による診察

当院には「日本消化器内視鏡学会専門医」「日本大腸肛門病学会専門医」「日本消化器外科学会専門医」の専門資格を持つ医師が所属しており、専門性の高いチーム診療をご提供しております。一人ひとりの患者さんのお話しを丁寧にお伺いした上で、適切な検査を提供しております。

内視鏡AIを活用した精密診断

当院では、内視鏡AI(内視鏡画像診断支援システム)を使用し、ポリープやがんの鑑別と的確な診断を行っています。AIの支援により、小さな病変の見落としを防ぎ、より精度の高い診断が可能になっています。

同日検査の対応

患者さんの症状やご要望に応じて、胃内視鏡検査と大腸内視鏡検査を同じ日に受けることも可能です。忙しく、検査や治療のために時間を取りづらい方も、お気軽に当院までお越しください。

日常生活でできる腹部膨満感の改善方法

検査で器質的な疾患が見つからなかった場合、生活習慣の改善で症状が軽減することがあります。

食生活の見直し

暴飲暴食を避け、ゆっくり食事することを心がけましょう。何事も基本は「腹八分目」でよく噛むことが消化器を助ける役割にもなります。脂肪分の高い食事は消化に時間がかかるため、控えめにすることをおすすめします。

食物繊維の取りすぎにも注意が必要です。豆や根菜などを過剰に摂取することを控えましょう。米やパン、イモ類等も腸内にガスを発生させやすいため、膨満感を引き起こすことがありますので食べ過ぎに注意しましょう。

適度な運動

適度な運動とバランスのよい食生活を心がけ、便秘にならないよう注意することが大切です。運動不足は腸の運動を弱くし、便秘の原因となります。

ストレス管理

ストレスは胃腸の機能に大きな影響を与えます。十分な睡眠、リラックスできる時間の確保など、ストレス管理も重要です。

また、先述したように、呑気症などの、生活環境やストレスに起因するお腹の張りのこともあります。

腸内環境の改善

腸内環境の悪化による悪玉菌の増加は、便秘やガスの増加につながります。発酵食品や乳酸菌を含む食品を適度に摂取し、腸内環境を整えることも有効です。

まとめ:早期発見・早期治療のために

お腹の張りやガスが続く症状は、多くの場合、生活習慣の改善で軽減できます。

しかし、症状が長期間続く場合や、腹痛・吐き気・食欲不振・体重減少などを伴う場合は、器質的な疾患が隠れている可能性があります。内視鏡検査は、こうした疾患を早期に発見し、適切な治療につなげるための重要な検査です。

当院では、辻仲病院グループの豊富な実績と専門性を活かし、苦痛の少ない内視鏡検査を提供しています。鎮静剤の使用、患者さんに合わせた下剤の選択、快適な検査環境、専門資格を持つ医師による診察、内視鏡AIを活用した精密診断など、患者さんの負担を最小限に抑えながら、正確な診断を行うための体制を整えています。

お腹の張りやガスでお悩みの方は、一度専門医にご相談ください。早期発見・早期治療が、皆さんの健康を守る最善の方法です。

詳しい検査内容や予約方法については、辻仲つくば 胃と大腸内視鏡・肛門外科クリニックの公式サイトをご覧ください。24時間WEB予約やLINE予約にも対応しており、お気軽にご予約いただけます。


参考文献:

日本消化器病学会 機能性消化管疾患診療ガイドライン2021-機能性ディスペプシア 改定第2版

https://www.jsge.or.jp/committees/guideline/guideline/pdf/fd2021r_.pdf

【作成・監修】
辻仲つくば胃と大腸内視鏡・肛門外科クリニック
院長 森田 洋平(日本消化器内視鏡学会 専門医、MPH(公衆衛生大学院))

MPHは予防医学、疫学、統計のスペシャリストの学位です。大腸がんの予防的なデータを実践するスペシャリストといえます。