慢性的な便秘は大腸カメラが必要?受診の目安と検査でわかることの基本から応用まで|辻仲つくば胃と大腸内視鏡・肛門外科クリニック|茨城県つくば市の大腸・肛門外科 消化器内科 内視鏡検査

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慢性的な便秘は大腸カメラが必要?受診の目安と検査でわかることの基本から応用まで

公開日:2025年12月21日 / 更新日:2025年12月15日

便秘と大腸カメラ検査の関係性

便秘は日常生活でよく経験する症状です。

しかし、その便秘が慢性化している場合、単なる生活習慣の問題として片付けてしまうことはできません。実は、便秘の背景には大腸がんをはじめとする重大な疾患が潜んでいる可能性があるのです。2022年(令和4年)の厚生労働省の調査によれば、便秘は有病率の高い疾患で女性の4.4%、男性の2.8%に見られる疾患です。若い女性に多く見られますが、加齢とともに男女とも患者数が増加し、高齢になると男女差が消失する傾向にあり、75歳を超えると男性の方が便秘の割合が増えます。     年齢階級別・男女別の便秘の有病率(人口1,000人当たり)。国民生活基礎調査(令和4年、e-Stat)データベースより著者作成

※ 年齢階級別・男女別の便秘の有病率(人口1,000人当たり)。国民生活基礎調査(令和4年、e-Stat)データベースより著者作成

 

便秘症は「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義されています。さらに、便秘の方は心疾患、脳卒中を起こしやすく、予後にも影響を及ぼすというデータも報告されています。

何よりも、大腸がんの初期症状の可能性があります。

大腸カメラ検査は、こうした便秘の背景にある疾患を早期に発見するための重要な検査手段です。

大腸カメラ検査が必要な便秘の目安

便秘の経過と症状の変化に注目する

すべての便秘に大腸カメラ検査が必要というわけではありません。しかし、いくつかの重要な目安があります。まず、便秘の経過に注目してください。以前は快便だったのに、最近になって急に便秘がちになった場合は注意が必要です。

慢性便秘症や過敏性腸症候群とすぐに決めつけず、便秘の経時的変化を観察することが大切です。特に、以下のような症状がある場合は、早めに専門医を受診し、大腸カメラ検査を検討すべきでしょう。

  • 便秘と下痢を繰り返す
  • 便に血が混じる「血便」がある
  • 便潜血検査で陽性反応が出た
  • 体重が急激に減少している
  • 腹痛や腹部膨満感が持続している
  • 便の形状や太さが以前と明らかに変わった
  • 40歳以上である

年齢による検査の推奨時期

40歳を過ぎたら、症状がなくても一度は大腸カメラ検査を受けることが推奨されます。

大腸がんの発症は40代から徐々に増え始め、50代では急増します。自治体が行う大腸がん検診は40歳から受けられますが、これは決して偶然ではありません。この年齢から発がんリスクが高まるという医学的根拠に基づいているのです。過去に一度も大腸カメラ検査を受けたことがない方は、40歳を目安に検査を検討してください。

慢性便秘症のガイドラインでは50歳以上がリスクとして記載してあるため、少なくとも便通異常が続く場合は、変化がなくとも50歳までには大腸内視鏡検査を行うことをおすすめします。

大腸カメラ検査でわかること

大腸がんとポリープの早期発見

大腸カメラ検査の最大の目的は、大腸がんの早期発見です。大腸がんは、基本的にポリープが時間とともに徐々に大きくなり、ある時点で「がん化」します。つまり、ポリープの段階で発見し摘除してしまえば、がん化を予防することができるのです。

検査中にポリープが見つかった場合、その場で日帰り切除が可能です。これにより、将来的な大腸がんの発症を防ぐことができます。別日で手術の予定を調整する必要もなく、当日の下剤内服や前日の食事制限も一度きりで済みます。

炎症性腸疾患や憩室の診断

大腸カメラ検査では、大腸がんやポリープ以外にも、さまざまな疾患を診断できます。潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性腸疾患、大腸憩室、大腸憩室炎なども検査で確認できます。

大腸憩室の多くは治療不要ですが、炎症を繰り返して狭窄している場合などもあります。

これらの疾患は、適切な治療を行わないと症状が悪化し、日常生活に大きな支障をきたす可能性があります。早期に診断し、適切な治療を開始することが重要です。

便秘の原因となる器質的疾患の特定

便秘の原因は、機能性便秘と器質性便秘に大きく分けられます。機能性便秘は、腸の動きや排便機能の問題によるものですが、器質性便秘は、大腸がんや腸閉塞など、腸そのものに病変がある場合です。

大腸カメラ検査により、こうした器質的疾患の有無を確認できます。器質的疾患が除外されれば、安心して機能性便秘の治療に専念できるのです。

大腸カメラ検査の実際の流れ

検査前の準備

大腸カメラ検査を受けるには、事前の準備が必要です。検査前日は、消化の良い食事を摂り、夕食後から絶食します。当日は、腸管洗浄液(下剤)を服用し、腸内をきれいにします。

特に、便秘の方は、この下剤で腸管をきれいにするという段階に難しさがあることがあります。できれば、下剤で腸管がきれいになりきらないときの対策として、腸管洗浄ができる施設で検査すると安心です。せっかく下剤を飲んだのに、検査が行えない、十分にきれいになっていないなどの状態で検査を行うのは非常に残念です。

この準備段階で何回もトイレに行く必要があるため、院内で下剤を内服できるかも重要な視点と言えます。

当院では8ヶ所のトイレと洗腸室を備えており、便秘でご不安な方に対しても対応できるように設備を整えています。

検査中の苦痛軽減

大腸カメラ検査は「痛い」「苦しい」というイメージがあるかもしれません。

しかし、現在では鎮静剤を使用することで、ウトウト眠ったような状態で検査を受けることが可能です。鎮静剤使用率は、専門クリニックでは90%以上に達しています。検査中の苦痛や痛みが最小限に抑えられるため、安心して検査を受けられます。

また、炭酸ガスを使用することで、検査後の腹部膨満感も軽減されます。炭酸ガスは空気よりもスピーディーに体内に吸収されるため、検査後の不快感が少なくなるのです。

検査時間と観察の重要性

大腸カメラ検査の所要時間は、スコープを入れる時間も含めて10~15分程度です。ただし、大腸粘膜を適切に観察するためには、少なくとも6分以上の観察時間が必要とされています。

観察時間が短すぎると、病変を見落とす可能性が高まります。小さな早期がんや平べったいポリープを見逃さないよう、必要十分な観察時間を確保することが重要です。専門性の高いクリニックでは、6分以上の観察時間を設けています。

辻仲つくば胃と大腸内視鏡・肛門外科クリニックの特徴

豊富な実績と専門性の高い診療

辻仲つくば胃と大腸内視鏡・肛門外科クリニックは、国内トップクラスの診療実績を持つ辻仲病院グループに所属しています。グループ全体の2023年度実績として、肛門手術件数2,856件、胃内視鏡検査数23,886件、大腸内視鏡検査数25,093件という豊富な経験があります。

「日本消化器内視鏡学会専門医」「日本大腸肛門病学会専門医」「日本消化器外科学会専門医」の資格を持つ医師が所属しています。専門性の高いチーム診療により、的確な診断と治療を提供しています。

痛みや負担に配慮した検査体制

当クリニックでは、内視鏡検査に伴う痛みや負担に配慮した診療に特に力を入れています。鎮静剤使用率は92%(2023年度実績)に達し、多くの患者さんが眠った状態で検査を終えています。

検査前に使用する下剤は、患者さんの体質やご希望に合わせて数種類用意しています。検査前後にゆっくりお過ごしいただけるよう、半個室スペースを完備しています。

最新設備と内視鏡AI技術の活用

各種内視鏡・AI・肛門診察機械などの専門設備を導入し、細部まで丁寧に検査を行っています。大腸内視鏡検査では、細径内視鏡や拡大内視鏡を使用し、無送気軸保持短縮法という検査方法を採用して腸粘膜への負担や痛みの軽減に努めています。

内視鏡AI(内視鏡画像診断支援システム)も使用し、ポリープやがんを鑑別し、的確な診断へとつなげています。この最新技術により、見逃しのリスクを最小限に抑えることができます。

女性医師による診察・検査対応

女性の患者さんでも不安なく診療を受けられるように、女性医師による検査・診察日を設けています。内視鏡検査への抵抗感やご不安がある方、女性医師へのご相談を希望される方は、お気軽にご相談ください。

ただし、女性医師希望の患者様が大変多いため、予約なしの受診の場合には女性医師の希望をお受けできないことがあります。女性医師の診察を強くご希望の場合は、お電話でご予約されることをおすすめします。

便秘治療と大腸カメラ検査後のフォローアップ

検査結果に基づいた適切な治療

大腸カメラ検査で器質的疾患が除外された場合、機能性便秘の治療を開始します。近年、便秘の新しい薬が次々と販売され、さまざまな機序で便秘治療が行われるようになりました。

市販薬でも便秘の薬は手に入りますが、刺激性下剤という種類が多く、連用することにより薬剤の耐性が出てきてしまいます。それにより効果が減弱し、十分な効果が得られなくなるケースも少なくありません。個々の便秘の病態を解析して、適した治療を選択することが必要です。

定期的な検査の重要性

大腸カメラ検査は一度受ければ終わりではありません。初回で異常がなければ3~5年に1回、ポリープが見つかった場合は1~2年に1回の検査が理想的です。

大腸ポリープは時間とともに成長し、やがてがん化する可能性があります。定期的な検査により、ポリープの段階で発見・摘除することで、がん化を予防できます。早期発見・早期治療のために、定期的なチェックを習慣化しましょう。

生活習慣の改善と食事療法

便秘治療には、薬物療法だけでなく、生活習慣や食習慣の改善も重要です。食物繊維の少ない方には食物繊維の摂取が大切で、ヨーグルトや乳酸菌食品も有効とされています。

朝食を摂らない方、排便時間が不規則な方には便秘が多いというデータもあります。規則正しい生活リズムを整えることで、便秘の改善につながる可能性があります。

まとめ:慢性便秘と大腸カメラ検査の重要性

慢性的な便秘は、単なる生活習慣の問題として軽視できません。便秘の背景には、大腸がんをはじめとする重大な疾患が潜んでいる可能性があるからです。便秘の治療において、まずは大腸がんではないことを確認することが重要です。特に、40歳を過ぎたら、症状がなくても一度は大腸カメラ検査を受けることが推奨されます。

大腸カメラ検査により、大腸がんやポリープを早期に発見し、その場で摘除することで、将来的ながん化を予防できます。また、炎症性腸疾患や憩室など、便秘の原因となる器質的疾患も診断できます。

現在では、鎮静剤を使用することで、苦痛を最小限に抑えた検査が可能です。専門性の高いクリニックでは、豊富な経験と最新設備により、安全で精度の高い検査を提供しています。

慢性的な便秘でお悩みの方、40歳を過ぎて一度も大腸カメラ検査を受けたことがない方は、ぜひ専門医にご相談ください。早期発見・早期治療が、あなたの健康を守る第一歩です。

辻仲つくば胃と大腸内視鏡・肛門外科クリニックでは、つくばおよび茨城県南の方が、胃腸の症状や肛門の症状について、気軽に受診できるクリニックづくりを目指しています。痛みに配慮した内視鏡検査と専門的な診療で、皆さんの健康をサポートいたします。

詳しい検査内容や予約方法については、辻仲つくば 胃と大腸内視鏡・肛門外科クリニックの公式サイトをご覧ください。24時間WEB予約やLINE予約にも対応しており、お忙しい方でも便利にご利用いただけます。

 

参考文献

厚生労働省 2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa22/dl/14.pdf

 

厚生労働省 2022(令和4)年 国民生活基礎調査/健康 のデータベースよりグラフ作成

https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450061&tstat=000001206248&cycle=7&tclass1=000001206254&stat_infid=000040071870&tclass2val=0&metadata=1&data=1

 

便通異常症診療ガイドライン2023―慢性便秘症 日本消化管学会

https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00812/

 

【作成・監修】
辻仲つくば胃と大腸内視鏡・肛門外科クリニック
院長 森田 洋平(日本消化器内視鏡学会 専門医、MPH(公衆衛生大学院))

MPHは予防医学、疫学、統計のスペシャリストの学位です。大腸がんの予防的なデータを実践するスペシャリストといえます。