大腸がんの初期症状〜見逃してはいけないサインと検査|辻仲つくば胃と大腸内視鏡・肛門外科クリニック|茨城県つくば市の大腸・肛門外科 消化器内科 内視鏡検査

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大腸がんの初期症状〜見逃してはいけないサインと検査

公開日:2025年12月20日 / 更新日:2025年12月15日

大腸がんとは・・・早期発見が命を救う

大腸がんは、日本人が最も多く罹患するがんです。年間15万人以上が診断され、がん罹患全体の15.6%を占めています。また、年間5万3千人以上が大腸がんで亡くなっており、肺がんに次いで2番目に多い死因となっています。

大腸がんの最大の特徴は、早期には症状がほとんど出ないことです。多くの方が「自分は大丈夫」と思いがちですが、自覚症状のない時にこそ検診を受けることが重要です。早期に発見できれば、5年生存率は93%と非常に高く、治癒の可能性が大きく広がります。実際には、大腸がん以外の原因でなくなる方もいるため、早期大腸がんの治療後の平均余命は大腸がんがない方と同等されており、早期大腸がんの状態で見つかった場合は、大腸がんが寿命に関係ある可能性は低いです。

大腸は、小腸と肛門をつなぐ長さ約1.5~2mの臓器で、消化や排泄に重要な役割を担っています。大腸がんは、この大腸の粘膜から発生する悪性腫瘍であり、良性のポリープががん化するものと、正常な粘膜の細胞が直接がん細胞に変化して発生するものがあります。

見逃してはいけない初期症状のサイン

血便・・・最も重要な警告サイン

大腸がんの症状の中で最もよく見られるのが「血便」です。しかし、多くの方が「痔によるもの」と考えて放置してしまうケースが少なくありません。便に血が混じっている、トイレットペーパーや下着に血がついている場合は、必ず医療機関を受診しましょう。便通異常診療ガイドライン2023年版(慢性便秘、慢性下痢症)では、血便が大腸内視鏡検査を考慮すべき因子として記載されています。

悪性腫瘍が大腸の腸管粘膜の内部に形成されると、がん組織は栄養分を身体から奪い取るために新たな血管を作ります。この新生血管は通常の血管よりも脆弱であり、便が通過する際に損傷して出血してしまいます。

排便習慣の変化に注意する

便秘や下痢が繰り返される、便が細くなった、便が少なくなった、排便後にも便が残る感じがするなど、排便習慣の変化も重要なサインです。

特に、硬便でも通りやすい下行結腸やS状結腸、直腸部位では、がんによって便の通りが悪くなることで腹痛や腹痛にともなう嘔吐症状が引き起こされやすくなります。若年発症型大腸がんでは直腸に発生する傾向があり、45.7%が直腸がんであるというデータもあります。

イギリスでは、若年者の大腸がん増加が話題となっており、このような排便障害が進んでしまい救急受診を契機に発見される大腸がんの割合が、50歳以下では25%にのぼることが報告されています。救急受診にまで至る場合、致命的なリスクとなりうることはもちろん、手術自体が成功しても人工肛門が必要なリスクが増えること、治療の根治性が下がります。排便習慣の変化がある場合は早めに受診しましょう。

貧血・体重減少という全身症状

大腸がんでは、病変部からゆっくりと時間をかけて出血するケースが多く、気づかないうちに貧血となる場合があります。立ちくらみやめまい、顔色が青白い、疲れやすさ、息切れがあるなどの症状が見られたら要注意です。

また、がん病巣部が大きくなろうとするために、たんぱく質や脂肪成分を分解されるため、普段と変わらない生活をしていても体重が減少していきます。体重が減少する要因がないにも関わらず、1ヶ月で3~4kg前後の体重減少がみられた場合には、早急に医療機関を受診する必要があります。

おならの変化も見逃さない

おならの様子がいつもと違うと感じたら、それは大腸がんの初期症状のひとつかもしれません。具体的には、おならの頻度が増えたり、臭いが強くなったり、腹痛を伴うおならが出たりすることがあります。

特に、臭いが普段より異常に強い場合は注意が必要です。大腸内の微生物環境が変化したり、がん細胞の代謝による物質が生成されたりしている可能性が考えられます。また、大腸がんが進行して腫瘍が大きくなると、便の通過が妨げられ、腸内ガスが増えることもあります。

腸内の環境や腫瘍の影響により腸の動きが変わり、おならが出やすくなることもあるため、普段と違うおならの変化を感じたら、早めに専門医に相談することをおすすめします。

大腸がんのリスク要因を知る

生活習慣とがんの関係

大腸がんの発症には、高齢化や食生活の変化が深く関わっています。日本は世界一の長寿国であるため、がん患者が増えるのはある意味必然ですが、それだけでなく、食事や生活習慣の影響が大きいことがわかっています。

大腸がんのリスク要因として最も関わりが深いのは飲酒です。そのほか、肥満や運動不足、喫煙、糖尿病、加工肉や赤肉の過剰摂取もリスク要因とされています。喫煙と飲酒は「確実」なリスク因子です。肥満については、若い頃からの軽度肥満(BMI 23-27)であっても、大腸がんのリスクを上げることが知られており注意が必要です。

生活習慣の改善により、結腸がんの約31%、直腸がんの約25%が予防可能だったと推計されています。たばこを吸わない、飲酒をしない、適度な体重を保つ、運動するという基本的な生活習慣の見直しが重要です。

当院ではマンジャロを用いたメディカルダイエットの相談も承っています。マンジャロによる体重抑制効果については強いエビデンスがあり、肥満による大腸がんをご心配な方もご相談いただいています。

糖尿病患者に対してのマンジャロを含むGLP-1受容体作動薬による大腸がん抑制効果は観察研究では50%程度とする報告があります。

家族歴と遺伝的要因

家族にがんの症例があっても、遺伝による発症率は全体の約5%に過ぎません。ほとんどの場合、生活習慣や環境要因が主要な原因とされています。ただし、家族性大腸腺腫症やリンチ症候群の方がいらっしゃる場合、大腸がんを発症される方が多くみられます。

長年の食事やライフスタイルが遺伝子にダメージを与え、それが細胞のがん化につながると考えられています。また、ストレスも見逃せないポイントです。ストレスは免疫力を低下させるだけでなく、飲酒量や喫煙量、食事量の増加を招くことがあり、それがさらなるリスクを生み出します。

大腸がん検診の重要性

便潜血検査・・・最初のスクリーニング

大腸がんに気づくきっかけとして、最も多いのが健康診断の「便潜血検査」で陽性判定を受けることです。便潜血検査は、便を2日間ご自身で採取して、便の中に血液成分が混入していないかを分析する検査方法で、腫瘍由来の微小な出血も検出できます。

日本の対策型検診として、40歳以上を対象に年1回の便潜血検査免疫法2日法が用いられています(つくばみらい市では18歳以上が対象となっています)。若年発症群の41.3%で大腸がんが検出され、高齢発症群(26.7%)よりも有意に高いというデータもあり、FITスクリーニングの重要性が示されています。

ただし、「便潜血陽性=大腸がん」ではありません。便潜血検査が陽性を示すうちの約3%が大腸がんです。また、「便潜血が陰性=大腸がんではない」でもありません。すべての大腸がんがこの検査で陽性になるわけではないため、便潜血が陰性でも便秘や下痢が続く、便が細い、腹痛などがある場合は大腸内視鏡検査などの精密検査を実施したほうがよい場合もあります。

大腸内視鏡検査・・・確実な診断方法

検診で「便潜血陽性」といわれたら、受けるべき検査は「大腸内視鏡検査」です。大腸がんの検査として大腸の内視鏡検査がもっとも確実な方法です。

大腸内視鏡検査は、肛門から内視鏡を挿入し、大腸全体の粘膜をカメラで直接観察できる検査です。炎症や隆起など病変の有無や範囲、毛細血管の分布を確認できます。また、検査中に疑わしい部分の組織を採取し、病理組織検査をすることが可能です。

当法人では、経験豊富な日本消化器内視鏡学会専門医が検査を担当し、一人ひとりに合わせた検査・治療をご提供いたします。検査実績は25,093件に上り、鎮静剤を用いた苦痛の少ない内視鏡検査を実施しています。

辻仲つくば胃と大腸内視鏡・肛門外科の特徴

苦痛の少ない検査環境

「内視鏡検査は怖い」というイメージから、受診が遠のいていませんか?当院では、検査時に患者さんへの負担や苦痛をできるだけ軽減できるよう、鎮静剤を使用しています。半分眠ったようなぼんやりとした状態で、リラックスしたまま検査を受けられます。

検査後は専門のリカバリールームでしっかりと休んでからお帰りいただけます。また、プライバシーに配慮した半個室スペースも完備しており、安心して検査を受けていただける環境を整えています。

女性医師による検査対応

女性の患者さんの中で、男性医師による内視鏡検査に対して抵抗感を持っているかたは多くいらっしゃいます。当院には女性医師も在籍しており、恥ずかしさや怖さから内視鏡検査をためらっている女性のかたも安心してご来院いただける診療体制を整えております。

最新技術による高精度な検査

当院では、大腸内視鏡検査の精度を高めるために、光の波長を変えて腸粘膜の表面や色調がはっきり見える「画像強調」を導入しています。また、最新AIシステムを導入したことで、これまで見つけるのが難しかった微細な早期がんや炎症、その他の病変なども、より高い精度で発見できるようになりました。

検査時にポリープが見つかった場合は、その場で日帰りポリープ切除も可能です。ポリープのない状態を作ることで、大腸がんを約86%予防することが可能とされています。

検査の流れと料金について

検査の流れ

大腸内視鏡検査をご希望される場合は、WEBまたはお電話でご予約いただき、一度ご受診いただくようお願いいたします。初回受診の際は問診や医師による診察を通して、腹部の症状や状態を把握していきます。

検査前2~3日はなるべく消化に良いものを食べていただき、食べ物が残らない状態へと整えていきます。検査の3~5時間前から下剤をお飲みいただき、腸内をきれいにしていきます。当院では、患者さんの体質やご希望に合わせて数種類の下剤をご用意しております。

検査が終了した後は、別室でお休みいただき、体調の変化がないか確認させていただきます。体調や意識状態が問題ないことを確認できましたら、検査の結果や今後の治療についてご説明いたします。

料金について

3割負担の場合、大腸内視鏡検査が7,500円、内視鏡的大腸ポリープ切除術(2cm未満)が30,000円、病理組織検査が1臓器4,000円、2臓器7,500円、3臓器11,000円となっています。支払方法は現金とクレジットカード(VISA/JCB/Mastercardなど)に対応しています。

まとめ・・・早期発見が命を救う

大腸がんは、早期には症状がほとんど出ないため、自覚症状のない時にこそ検診を受けることが重要です。血便、排便習慣の変化、貧血、体重減少、おならの変化など、少しでも気になる症状があれば、早めに医療機関を受診しましょう。

40歳を越えたら、年に一度の大腸カメラ検査をおすすめします。大腸がんの罹患率は、40歳頃から上昇するため、定期的な検診が早期発見につながります。早期発見例(Stage Ⅰ)での5年生存率は93%と非常に高く、治癒の可能性が大きく広がります。

当院は、つくば駅から徒歩5分という便利な立地で、つくば市内だけでなく、つくばエクスプレス沿線や常磐線・関東鉄道常総線沿線、茨城県全域から多くの患者が来院しています。経験豊富な日本消化器内視鏡学会専門医による検査実績25,093件、鎮静剤を用いた苦痛の少ない内視鏡検査、女性医師による検査対応など、安心して検査を受けていただける体制を整えております。

「もっと早く検診を受けておけば…」とならないよう、自覚症状のない時にこそ検診を受けましょう。内視鏡検査を受けたいかたや不安があるかたは、一度お気軽に当院までご相談ください。


参考文献:

Never Too Young(イギリスにおける若年大腸がんの啓発キャンペーン)

https://bcuk.adidocdn.dev/Never_Too_Young_2020_Bowel_Cancer_UK.pdf?utm_source=chatgpt.com


Wang L, Wang W, Kaelber DC, Xu R, Berger NA.

GLP-1 Receptor Agonists and Colorectal Cancer Risk in Drug-Naive Patients With Type 2 Diabetes, With and Without Overweight/Obesity.(糖尿病患者に対する、マンジャロを含むGLP-1受容体作動薬全体での大腸がん抑制についての観察研究)

JAMA Oncology. 2023;10(2):256–258.

doi: 10.1001/jamaoncol.2023.5573

https://jamanetwork.com/journals/jamaoncology/fullarticle/2812769

【作成・監修】
辻仲つくば胃と大腸内視鏡・肛門外科クリニック
院長 森田 洋平(日本消化器内視鏡学会 専門医、MPH(公衆衛生大学院))

MPHは予防医学、疫学、統計のスペシャリストの学位です。大腸がんの予防的なデータを実践するスペシャリストといえます。