内視鏡検査と持病の関係〜安全に受けるための33の注意点|辻仲つくば胃と大腸内視鏡・肛門外科クリニック|茨城県つくば市の大腸・肛門外科 消化器内科 内視鏡検査

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内視鏡検査と持病の関係〜安全に受けるための33の注意点

1.内視鏡検査を受ける前に知っておきたい基本知識

内視鏡検査は消化器疾患の診断に欠かせない重要な検査です。
胃カメラや大腸カメラと呼ばれることもありますが、これらは食道・胃・十二指腸や大腸の内部を直接観察できる非常に有用な検査方法です。

検査に不安を感じる方は少なくありません。特に「痛いのではないか」「苦しいのではないか」という心配をされる方が多いようです。

内視鏡検査は、細いチューブの先端にライトとカメラが付いた機器を使用します。
このチューブを口や肛門から挿入し、消化管内部を観察するのです。検査中に病変が見つかれば、その場で組織を採取したり、ポリープを切除したりすることも可能です。


近年の内視鏡技術は飛躍的に進歩しています。細径内視鏡や拡大内視鏡など、患者さんの負担を軽減しながら精度の高い検査ができるようになりました。

また、検査時の苦痛を軽減するために、多くの医療機関では鎮静剤を使用しています。
辻仲つくば胃と大腸内視鏡・肛門外科クリニックでも、法人全体で92%という高い鎮静剤使用率を誇っています(2023年度実績)。

このように、苦痛の少ない検査の選択肢が増えた一方で、鎮静剤を含めて、どのように検査を行うかという点において、ご自身の体の状態は重要な情報となります。

内視鏡検査は比較的安全な検査ですが、持病のある方は事前に医師に相談することが重要です。持病の種類や服用中の薬によっては、検査方法や前処置を調整する必要があるからです。

2.持病がある方が内視鏡検査を受ける際の基本的な注意点

持病をお持ちの方が内視鏡検査を受ける際には、いくつかの重要な注意点があります。検査の安全性を高め、合併症のリスクを減らすためにも、これらを理解しておくことが大切です。

まず最も重要なのは、持病や服用中の薬について医師に正確に伝えることです。特に抗血栓薬(血液をサラサラにする薬)を服用している場合は必ず申告してください。

内視鏡検査では、組織採取やポリープ切除を行うことがあります。
このとき出血のリスクが高まるため、抗血栓薬の一時的な休薬が必要になることがあります。
ただし、自己判断で薬の服用を中止するのは危険です。必ず主治医と内視鏡検査を行う医師の両方に相談してください。

持病の状態によっては、検査前の絶食時間や下剤の種類・量を調整することもあります。
例えば、糖尿病患者さんの場合、長時間の絶食が低血糖を引き起こす可能性があるため、検査のスケジュールや食事制限について特別な配慮が必要になることがあります。

心臓病や呼吸器疾患、睡眠時無呼吸症候群の方は、検査中の血圧や呼吸状態の変化に注意が必要です。
鎮静剤の使用量を調整したり、バイタルサインをより慎重にモニタリングしたりすることで、安全に検査を受けることができます。

3.循環器系の持病と内視鏡検査

循環器系の持病をお持ちの方が内視鏡検査を受ける際には、特別な注意が必要です。
心臓病、高血圧、不整脈などの疾患がある場合、検査中の身体的ストレスや使用する薬剤によって、循環動態に影響が出ることがあります。

特に注意が必要なのは、抗血栓薬を服用している患者さんです。

心筋梗塞や脳梗塞の予防、心房細動の治療などで、アスピリンやクロピドグレル、ワルファリン、DOACと呼ばれる新しい経口抗凝固薬などを服用している方は多くいらっしゃいます。
これらの薬は血液の凝固を抑制する効果があるため、内視鏡処置時の出血リスクを高める可能性があります。

内視鏡検査の種類や、生検やポリープ切除などの処置を行うかどうかによって、抗血栓薬の休薬が必要かどうかが決まります。
ガイドラインでは、単なる観察のみの内視鏡検査であれば、抗血栓薬、抗凝固薬を継続したまま検査を受けることが推奨されています。

しかし、組織採取やポリープ切除などの処置を行う可能性がある場合は、手技の出血リスクを鑑みて休薬などを検討する必要があります。
ガイドラインを参考に考えれば、複数の抗血小板薬、抗凝固薬を内服している特殊な場合のみ、出血のリスクの高い処置(通電を伴うポリープ切除など)で休薬を検討することが記載されています。複数の抗血小板薬、抗凝固薬を内服している状況の多くは、心筋梗塞でステント挿入を行った直後であることが多く、通常は休薬は不要です。

休薬することによる脳梗塞、心筋梗塞などのリスクを高めるため、安易に休薬することは大変危険です。。

また、心臓ペースメーカーや植込み型除細動器(ICD)を装着している方も、事前に医師に伝えることが重要です。
内視鏡検査自体はこれらのデバイスに影響を与えることはほとんどありませんが、ポリープ切除などの際に、通電して切除する場合、配慮が必要なことがあります。
実際には、ペースメーカーの使用できる期限を考えれば、電気メスに関係するようなペースメーカーやICDが使われているケースはもはや存在しないとは思いますが、しっかりとスタッフにお伝え下さい。

重度の心不全や不安定狭心症、最近発症した心筋梗塞などがある場合は、緊急性がない限り、状態が安定するまで内視鏡検査を延期することもあります。

4.糖尿病患者が内視鏡検査を受ける際の注意点

糖尿病患者さんが内視鏡検査を受ける際には、血糖コントロールに関する特別な配慮が必要です。検査前の絶食や下剤による前処置が血糖値に影響を与える可能性があるためです。

特に大腸内視鏡検査では、前日からの食事制限や下剤服用が必要となります。このような状況では、通常の食事ができないため、インスリンや経口血糖降下薬の用量調整が必要になることがあります。

検査当日のインスリン注射や糖尿病薬の服用については、必ず事前に主治医に相談してください。
一般的には、検査当日の朝のインスリン量を減量したり、経口血糖降下薬の服用を中止 したりする場合が多いですが、個々の患者さんの状態によって対応は異なります。

糖尿病の合併症として自律神経障害がある方は、鎮静剤に対する反応が通常と異なる場合があります。
また、胃腸の運動機能が低下している可能性もあるため、内視鏡検査の準備や実施方法に特別な配慮が必要になることがあります。

糖尿病患者さんは傷の治りが遅れることがあるため、生検やポリープ切除などの処置後は、通常よりも慎重な経過観察が必要です。
処置後の出血や感染のリスクを減らすために、血糖コントロールを良好に保つことが重要です。

5.腎臓病患者の内視鏡検査における注意事項

腎臓病をお持ちの方が内視鏡検査を受ける際には、腎機能を保護するための特別な配慮が必要です。
特に中等度から重度の腎機能障害がある場合、検査前の準備や検査中の薬剤使用に注意が必要となります。

腎臓病患者さんにとって特に重要なのが、検査前の下剤選択です。

大腸内視鏡検査の前処置として使用される下剤の中には、電解質異常や脱水を引き起こす可能性があるものがあります。
腎機能が低下している患者さんでは、これらの問題がより深刻になる可能性があるため、腎臓に優しい下剤の選択や、下剤の量の調整が必要になることがあります。

透析を受けている患者さんの場合は、内視鏡検査のスケジュールを透析のスケジュールと調整することが重要です。一般的には、透析の翌日に検査を行うのが望ましいとされています。

腎臓病患者さんは、内視鏡検査後の回復にも特別な注意が必要です。検査後は十分な水分摂取を心がけ、脱水を防ぐことが重要です。
また、検査後に異常を感じた場合は、すぐに医師に相談してください。

一方で、鎮静剤の使用については、問題なく使用できます。腎臓病があるから鎮静剤を使うことができないということはありません。
ただし、薬の効果が遷延してしまうことがあると感じています。腎疾患がある場合もスタッフにお知らせください。

6.肝臓疾患と内視鏡検査の関係

肝臓疾患をお持ちの方が内視鏡検査を受ける際には、肝機能の状態に応じた特別な配慮が必要です。
特に肝硬変や進行した肝疾患がある場合は、出血リスクの増加や薬剤代謝の変化に注意が必要となります。

肝硬変患者さんでは、血小板減少や凝固因子の産生低下により、出血傾向が強まっていることがあります。

また、門脈圧亢進症による食道・胃静脈瘤がある患者さんでは、内視鏡検査自体が静脈瘤からの出血リスクを高める可能性があります。
このような場合は、より慎重な内視鏡操作が必要となり、時には予防的な処置が検討されることもあります。

肝性脳症の既往がある患者さんでは、鎮静剤の使用によって脳症が悪化する可能性があるため、鎮静の方法や薬剤選択に特別な注意が払われます。

肝臓疾患患者さんでは、内視鏡検査後の回復にも注意が必要です。特に鎮静剤を使用した場合は、その効果が通常よりも長く続く可能性があるため、十分な観察期間を設けることが重要です。

7.呼吸器疾患患者が内視鏡検査を受ける際の留意点

呼吸器疾患をお持ちの方が内視鏡検査を受ける際には、呼吸状態に配慮した特別な注意が必要です。
特に慢性閉塞性肺疾患(COPD)や重度の喘息、肺線維症などの患者さんでは、検査中の酸素飽和度低下や呼吸困難のリスクが高まる可能性があります。

上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)では、スコープが食道を通過する際に一時的に気道が圧迫され、呼吸に影響を与えることがあります。
また、鎮静剤の使用により呼吸抑制が起こる可能性もあります。

重度の呼吸器疾患がある患者さんでは、検査中の酸素投与が必要になることがあります。また、パルスオキシメーターを用いた酸素飽和度の継続的なモニタリングも重要です。

鎮静剤の選択と投与量にも注意が必要です。呼吸機能が低下している患者さんでは、呼吸抑制作用の少ない鎮静剤を選択したり、通常よりも少ない量から開始したりすることがあります。

睡眠時無呼吸症候群の患者さんは、鎮静剤に対してより敏感に反応することがあります。
睡眠時無呼吸症候群の方は、体の酸素が少ない状態に慣れてしまっており、鎮静剤で寝てしまうと、呼吸回数がかなり下がるリスクがあるからです。
このような患者さんでは、鎮静の深度を慎重に管理し、検査後も十分な観察を行うことが重要です。

8.内視鏡検査と薬の関係〜服用中の薬による注意点

内視鏡検査を受ける際には、普段服用している薬によって特別な注意が必要になることがあります。特に抗血栓薬、糖尿病薬、降圧薬などは、検査前後の服用方法に注意が必要です。

抗血栓薬(抗血小板薬・抗凝固薬)は、内視鏡検査、特に組織採取やポリープ切除などの処置を行う場合に出血リスクを高める可能性があります。

アスピリン、クロピドグレルなどの抗血小板薬や、ワルファリン、DOACと呼ばれる経口抗凝固薬を服用している場合は、検査の種類や予定される処置によって、一時的な休薬が必要になることがあります。
ただし、これらの薬は重要な疾患の治療や予防のために処方されているため、自己判断での中止は危険です。必ず主治医と内視鏡検査を行う医師に相談してください。通常は、休薬の必要はありません。

糖尿病薬(インスリンや経口血糖降下薬)は、検査前の絶食や食事制限に合わせて調整が必要です。
特に大腸内視鏡検査では前日からの食事制限があるため、低血糖を防ぐために薬の量を減らしたり、投与時間を変更したりすることがあります。

降圧薬や心臓の薬は、基本的に検査当日も通常通り服用することが多いです。

どうしても心配な方は、お気軽に辻仲つくば胃と大腸内視鏡・肛門外科クリニックにご相談ください。専門医が丁寧に対応いたします。

9.内視鏡検査を安全に受けるための33の具体的注意点

検査前の準備と注意点

  1. 持病や服用中の薬について、正確に医師に伝えましょう。特に抗血栓薬、糖尿病薬、降圧薬は重要です。
  2. 検査の数日前から、医師の指示に従って特定の薬の服用を調整することがあります。自己判断での中止は危険です。
  3. 大腸内視鏡検査の場合、前日からの食事制限と下剤服用が必要です。医師の指示に従って正確に行いましょう。
  4. 糖尿病患者さんは、検査前の絶食による低血糖に注意し、インスリンや経口血糖降下薬の調整について主治医に相談しましょう。
  5. 心臓ペースメーカーや植込み型除細動器を装着している方は、必ず事前に医師に伝えてください。
  6. 腎機能が低下している方は、大腸内視鏡検査の前処置で使用する下剤の種類や量について、医師に相談しましょう。
  7. 肝硬変など進行した肝疾患がある方は、出血傾向について事前に評価が必要です。
  8. 重度の呼吸器疾患がある方は、検査中の酸素投与や鎮静剤の調整が必要になることがあります。
  9. 検査当日は、貴重品や装飾品(指輪、ネックレスなど)は外しておきましょう。
  10. 上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)の場合、検査前は絶食が必要です。
  11. 大腸内視鏡検査の場合、前処置が不十分だと観察が難しくなります。下剤は指示通りに飲みましょう。

検査当日の注意点

  1. 検査当日は、楽な服装で来院しましょう。特にベルトや締め付けの強い衣類は避けてください。
  2. 鎮静剤を使用する場合は、検査後の自動車の運転制限があります。14. 検査前に不安がある場合は、遠慮なく医師や看護師に相談してください。リラックスして検査を受けることが大切です。
  3. 口が開きにくい方は、上部消化管内視鏡検査の前にお伝え下さい。マウスピースを専用のものに変える必要があります。
  4. 喘息やアレルギーがある方は、検査前に必ず医師に伝えてください。
  5. 妊娠中または妊娠の可能性がある方は、必ず事前に医師に相談してください。
  6. 検査中に苦しくなったり、痛みを感じたりした場合は、遠慮なく医師に伝えてください。
  7. 鎮静剤を使用する場合、効き目には個人差があります。
  8. 検査中は、医師の指示に従って呼吸や姿勢を調整してください。
  9. 大腸内視鏡検査中にガスを注入するため、おなかが張る感覚があります。これは正常な反応です。
  10. 上部消化管内視鏡検査中は、唾液が溜まることがあります。嚥下することでむせるため、飲み込まないで垂れ流すか、ためるようにしてください。

検査後の注意点

  1. 鎮静剤を使用した場合、検査後しばらくは眠気が残ることがあります。十分に覚醒するまで休憩しましょう。
  2. 検査後は、医師の指示があるまで飲食を控えてください。特に組織採取やポリープ切除を行った場合は重要です。
  3. 検査後に腹痛、出血、発熱などの異常を感じた場合は、すぐに医療機関に連絡してください。
  4. ポリープ切除や組織採取を行った場合、数日間は激しい運動や入浴(シャワーは可)を控えるよう指示されることがあります。
  5. 検査後に喉の違和感が残ることがありますが、通常は数時間で改善します。
  6. 大腸内視鏡検査後は、腸内にガスが残っているため、おなかが張ることがあります。ガスを出すことで徐々に改善します。二酸化炭素を用いた施設では、このお腹の張りが少ない傾向があります。
  7. 抗血栓薬を休薬した場合、検査後いつから再開するかについて、必ず医師の指示に従ってください。
  8. 糖尿病患者さんは、検査後の食事再開とともに、通常の薬の服用スケジュールに戻ります。低血糖症状に注意してください。
  9. 検査結果について不明な点があれば、遠慮なく医師に質問してください。
  10. 次回の検査予定や今後の治療方針について、医師の説明をよく聞いておきましょう。
  11. 定期的な検査が推奨される場合は、次回の予約を忘れないようにしましょう。

まとめ:持病があっても安心して内視鏡検査を受けるために

内視鏡検査は、消化器疾患の早期発見・早期治療に欠かせない重要な検査です。持病があっても、適切な準備と注意を払うことで、安全に検査を受けることができます。

最も重要なのは、持病や服用中の薬について医師に正確に伝えることです。特に抗血栓薬、糖尿病薬、降圧薬などは検査前後の調整が必要になることがあります。

循環器疾患、糖尿病、腎臓病、肝臓疾患、呼吸器疾患など、それぞれの持病に応じた特別な注意点があります。
主治医と内視鏡検査を行う医師が連携して、最適な検査計画を立てることが大切です。

検査前の準備、検査当日の注意点、検査後のケアについて、医師の指示に従うことで、合併症のリスクを最小限に抑えることができます。
不安なことがあれば、遠慮なく医療スタッフに相談してください。

辻仲つくば胃と大腸内視鏡・肛門外科クリニックでは、患者さん一人ひとりの状態に合わせた安全で快適な内視鏡検査を提供しています。
鎮静剤を使用した苦痛の少ない検査(法人全体での鎮静剤使用率92%、2023年度実績)や、専門医による高度な技術で、安心して検査を受けていただけます。

内視鏡検査に不安をお持ちの方、持病があり検査を躊躇されている方は、ぜひ一度ご相談ください。専門医が丁寧にお答えします。

詳細は辻仲つくば 胃と大腸内視鏡・肛門外科クリニックのホームページをご覧いただくか、お電話でお問い合わせください。

参考文献:
日本消化器内視鏡学会
抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドライン 直接経口抗凝固薬(DOAC)を含めた抗凝固薬に関する追補2017
https://www.jstage.jst.go.jp/article/gee/59/7/59_1547/_pdf/-char/ja

日本消化器内視鏡学会
抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドライン
https://www.jstage.jst.go.jp/article/gee/54/7/54_2075/_pdf


【作成・監修】
辻仲つくば胃と大腸内視鏡・肛門外科クリニック
院長 森田 洋平(日本消化器内視鏡学会 専門医、MPH(公衆衛生大学院))

MPHは予防医学、疫学、統計のスペシャリストの学位です。大腸がんの予防的なデータを実践するスペシャリストといえます。


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