痔になりやすい生活習慣とは?医師が教える対処法|辻仲つくば胃と大腸内視鏡・肛門外科クリニック|茨城県つくば市の大腸・肛門外科 消化器内科 内視鏡検査

〒305-0032 茨城県つくば市竹園1-4-1 南3パークビル2階
つくば駅から徒歩5分の大腸・肛門外科 消化器内科 内視鏡検査

トピックス TOPICS

診療時間
9:00~11:30
14:00~16:30

休診日:日曜、祝日
※予約がなくても外来診察をいたしますが、予約していただかない場合は、受付も含めて大幅にお待たせしてしまうことがあります。
※診察医師の希望がある場合は、担当医表をご確認のうえ電話でご予約ください。予約がない場合は、医師の希望をお受けできないことがあります。
※午前・午後とも初診を受け付けております。
※NEWSにて担当医表のご案内をしております。

痔になりやすい生活習慣とは?医師が教える対処法

1.痔になりやすい生活習慣とは?その原因と症状

痔は多くの方が一度は経験する肛門の疾患です。日本人の約24人に1人が痔の症状を抱えているといわれています。
痔は突然発症するものではなく、日々の生活習慣が大きく関わっています。

痔になりやすい方には、共通する生活習慣があるのをご存知でしょうか。

長時間のデスクワークや運転、便秘や下痢を繰り返す方、食生活が乱れている方などは特に注意が必要です。これらの習慣が肛門に負担をかけ、痔の原因となっているのです。

痔には主に「いぼ痔(内痔核)」「切れ痔(裂肛)」「痔ろう」の3種類があります。
いぼ痔は肛門の血管がうっ血して腫れた状態、切れ痔は肛門の粘膜が切れた状態、痔ろうは肛門腺という腺から細菌感染が起こり膿がたまる状態です。

それぞれ症状が異なりますが、共通する原因として「肛門への負担」があります。

また、実際には痔とは異なりますが、血栓性外痔核と呼ばれる、肛門の周りの皮膚に血豆ができてしまう状態もあります。

2.日常生活で肛門に負担をかける習慣とは

肛門に負担をかける生活習慣は、実は私たちの日常に多く潜んでいます。
特に現代社会では、デスクワークが増え、食生活も変化しており、痔になりやすい環境が整っているといえるでしょう。

具体的には、以下のような習慣が肛門に負担をかけています。

長時間の座位姿勢

デスクワークやドライバーなど、長時間座り続ける仕事に従事している方は要注意です。座ると肛門周辺に圧力がかかり、血流が悪くなります。

特に硬い椅子に長時間座ると、肛門周辺の血管が圧迫され、うっ血を起こしやすくなります。これがいぼ痔の主な原因となるのです。

私の外来でも、デスクワークの方やトラックドライバーの方など、長時間座り続ける職業の方からの痔の相談が非常に多いです。

排便習慣の乱れ

便秘や下痢は痔の大敵です。便秘の場合、硬い便が肛門を傷つけやすく、また排便時に強くいきむことで肛門に大きな圧力がかかります。

一方、下痢の場合は頻繁な排便で肛門が刺激され、また便に含まれる消化液が肛門を刺激して炎症を起こすことがあります。

また、排便を我慢する習慣も良くありません。便意を感じたら、なるべく早くトイレに行くようにしましょう。

不適切な食生活

食物繊維不足や水分摂取不足は便秘の原因となり、間接的に痔のリスクを高めます。また、辛い食べ物や刺激物、アルコールの過剰摂取は腸の動きを活発にし、下痢を引き起こすことがあります。

特に現代の食生活は加工食品が多く、食物繊維が不足しがちです。これが便秘を引き起こし、痔のリスクを高めている一因と考えられます。

3.痔の症状と早期発見の重要性

痔の症状は種類によって異なりますが、早期に発見して適切に対処することが重要です。放置すると症状が悪化し、日常生活に支障をきたすことがあります。

痔の主な症状には以下のようなものがあります。

いぼ痔の症状

内痔核は肛門の内側にできるいぼ痔で、主な症状は排便時の出血です。鮮やかな赤色の血が便器に落ちたり、トイレットペーパーに付着したりします。痛みはあまりないのが特徴です。

進行すると、排便時に肛門から飛び出してくることがあります。最初は自然に戻りますが、さらに進行すると手で押し戻す必要が出てきます。このように、外に出てしまって指で戻すような状態になった際は手術が必要なことが多いです。

切れ痔(裂肛)の症状

切れ痔は肛門の粘膜に裂け目ができた状態で、排便時に鋭い痛みを感じるのが特徴です。排便後も痛みが続くことがあり、出血を伴うこともあります。

進行すると肛門狭窄や肛門ポリープなど、肛門の変形を伴うようになります。それ自体が切れ痔の症状をわるくするため、こうなった場合は手術が必須となります。

硬い便や大きな便を排出する際に肛門に強い負担がかかり、粘膜が裂けることで発症します。便秘がちの方や、排便時に強くいきむ習慣のある方に多く見られます。

痔ろうの症状

痔ろうは肛門腺という腺から細菌感染が起こり、肛門と皮膚の間に膿の通り道(ろう管)ができた状態です。肛門周囲の腫れや痛み、膿の排出などの症状があります。

放置すると膿がたまって痛みが強くなり、発熱などの全身症状を伴うこともあります。痔ろうは自然治癒が難しく、多くの場合手術が必要になります。

4.痔を予防する生活習慣の改善法

痔の予防には、日常生活の習慣を見直すことが非常に重要です。特に肛門に負担をかけない生活を心がけることで、痔の発症リスクを大きく下げることができます。

特に、切れ痔やいぼ痔については、手術を行ったとしても、再発するリスクが一定あります。手術を検討していたとしても、術前から以下のような日常生活の見直しを行い、術後も継続することにより再発リスクを抑えることができます。生活習慣の見直しは難しい部分も多いとは思いますが、ご自身で行わなければならないことです。

ここでは、痔を予防するための具体的な生活習慣の改善法をご紹介します。

適切な排便習慣を身につける

排便時に強くいきまないことが重要です。いきむと肛門に大きな圧力がかかり、痔の原因となります。排便は3分程度を目安にし、出なければ一度諦めて時間をおいて再チャレンジしましょう。

また、便意を感じたらなるべく早くトイレに行くことも大切です。便意を我慢すると、直腸内で水分が吸収されて便が硬くなり、排便時に肛門を傷つけやすくなります。

食生活の改善

食物繊維を多く含む食品を積極的に摂取しましょう。食物繊維は便のかさを増し、腸の蠕動運動を促進して排便をスムーズにします。野菜、果物、全粒穀物などに多く含まれています。

特に水溶性食物繊維と不溶性食物繊維をバランスよく摂ることが重要です。水溶性食物繊維は便を柔らかくし、不溶性食物繊維は便のかさを増やします。

また、十分な水分摂取も欠かせません。1日に1.5〜2リットルの水分を摂ることで、便が硬くなるのを防ぎます。

座り方と運動の工夫

長時間座る必要がある場合は、クッションを使用したり、1時間に一度は立ち上がって軽く体を動かしたりするなど、肛門への圧力を分散させる工夫をしましょう。

また、適度な運動は血行を促進し、便秘の予防にも効果的です。特に有酸素運動は腸の動きを活発にし、自然な排便を促します。ウォーキングや水泳など、自分に合った運動を習慣にしましょう。

排便後の肛門の拭き方

肛門を拭きすぎないことも重要です。そもそも肛門周囲はそこまできれいな場所ではありません。きれいにしようと考えて、ウォシュレットなどで過度に洗浄したり、拭きすぎたりすることで肛門症状が悪くなることがあります。これらは習慣性が強く、改善には大きな苦痛を伴うかもしれません。

特にウォシュレットを完全に離脱することが大変な場合は、水圧を下げていく、赤ちゃんのおしりふきのようなもので優しく拭う程度にするなど段階的に離脱をする必要があるかもしれません。

5.痔の治療法と医療機関の選び方

痔の症状がある場合は、早めに専門医を受診することをお勧めします。適切な治療を受けることで、症状の改善や再発防止につながります。

痔の治療法は症状の程度によって異なりますが、一般的には以下のような方法があります。

保存的治療

軽度の痔であれば、生活習慣の改善と薬物療法で症状が改善することが多いです。坐薬や軟膏などの局所療法、内服薬による治療が行われます。

特に初期の内痔核や切れ痔では、便を柔らかくする薬(緩下剤)と局所の炎症を抑える薬を併用することで、症状が改善することが多いです。

手術療法

保存的治療で改善しない場合や、症状が重度の場合は手術が検討されます。現在では多くの痔の手術が日帰りで行えるようになっています。

いぼ痔(内痔核)に対しては、ジオン注射という切らずに治す方法や、輪ゴムを使って痔核を縛る方法(結紮療法)などがあります。外痔核と言われる皮膚の成分の変化も伴っている場合は切除する手術が必要になります。

切れ痔については、切れ痔の原因によって手術の方法が異なりますが、狭窄が強い場合には、皮膚をスライドさせるなど比較的大きな手術が必要になることもあります。

痔ろうに対しては、ろう管を切開して掻爬する手術が基本となります。症状や場所によって術式が異なるため、専門医と相談して最適な方法を選びましょう。

専門医の選び方

痔の治療を受ける際は、大腸肛門病専門医がいる医療機関を選ぶことをお勧めします。専門的な知識と経験を持った医師による診察で、適切な治療を受けることができます。

また、女性の方で女性医師を希望される場合は、事前に確認しておくとよいでしょう。肛門の診察は心理的負担が大きいため、安心して受診できる環境を選ぶことが大切です。また、生理中であっても診察に際しては全く問題ないため、その点は安心してください。

当院のような専門クリニックでは、痔の日帰り手術も多数行っています。2023年には151例の実績があり、専門性の高い検査機器を用いて的確な診断と治療を提供しています。

6.まとめ:痔の予防と早期治療の重要性

痔は日常生活の習慣が大きく関わる疾患です。長時間の座位姿勢、排便習慣の乱れ、不適切な食生活などが主な原因となります。

痔の予防には、適切な排便習慣を身につけること、食物繊維と水分を十分に摂取すること、長時間の座位を避けることなどが効果的です。

もし痔の症状がある場合は、早めに専門医を受診しましょう。早期の適切な治療により、症状の改善や再発防止につながります。

痔は恥ずかしい病気と思われがちですが、非常に一般的な疾患です。症状に気づいたら、恥ずかしがらずに専門医に相談することをお勧めします。

当院では、痛みや負担に配慮した検査と治療を心がけています。胃・大腸・肛門疾患で国内トップクラスの診療実績を持つ辻仲病院グループの一員として、専門性の高い治療を提供しています。

痔でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。

辻仲つくば 胃と大腸内視鏡・肛門外科クリニックでは、専門医による痔の診断・治療を行っております。お気軽にご相談ください。

【作成・監修】
辻仲つくば胃と大腸内視鏡・肛門外科クリニック
院長 森田 洋平(日本消化器内視鏡学会 専門医、MPH(公衆衛生大学院))

MPHは予防医学、疫学、統計のスペシャリストの学位です。大腸がんの予防的なデータを実践するスペシャリストといえます。