痔の再発を防ぐ!専門医が教える根本的な対策法|辻仲つくば胃と大腸内視鏡・肛門外科クリニック|茨城県つくば市の大腸・肛門外科 消化器内科 内視鏡検査

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痔の再発を防ぐ!専門医が教える根本的な対策法

痔の再発に悩む方へ〜専門医からのメッセージ

痔の再発に悩む方へ〜専門医からのメッセージ

の治療を終えて「これでもう大丈夫」と安心したのに、しばらくするとまた症状が出てきた…。

このような経験をされた方は少なくありません。痔は適切な治療で症状が改善しても、生活習慣を見直さなければ再発するリスクが高い疾患なのです。実際、日常診療では「何度治療しても繰り返す」とお悩みの患者さんをよく拝見します。

痔の再発を防ぐためには、単に症状を抑えるだけでなく、根本的な原因に対処することが重要です。

痔の再発を防ぐためには、まず痔がなぜ起こるのかを理解することが大切です。そして、日々の生活の中で実践できる具体的な対策を知り、継続することが重要なのです。

痔の再発を招く3つの主要因子

痔の再発には、主に3つの要因が関わっています。これらを理解することが、効果的な再発防止の第一歩です。

まず第一に、便秘下痢などの排便トラブルが挙げられます。硬い便は肛門に大きな負担をかけ、切れ痔(裂肛)の原因となります。また、下痢は肛門周囲の皮膚を刺激し、炎症を引き起こします。

便秘と痔は悪循環の関係にあります。便秘により硬い便が出にくくなると、強くいきむことで肛門に負担がかかり痔を悪化させます。一方、痔があると排便時の痛みから便意を我慢してしまい、さらに便秘が悪化するのです。

2025年公開の映画はたらく細胞を子どもと見たときに、痔の部分があり、頑張って作り込んでいるなぁと感心しました。あんな感じで、排便をコントロールする部分と、出す部分のせめぎあいがあるわけですね。(見ていない方についてはすいません)

第二に、長時間の座位姿勢や立ち仕事など、同じ姿勢を続けることも痔の再発リスクを高めます。これにより肛門周囲の血流が悪くなり、うっ血を起こしやすくなるのです。

デスクワークが多い方や運転手の方は特に注意が必要です。血行不良は痔核(いぼ痔)の主な原因となります。

第三に、肛門周囲の皮膚の乾燥や過度な清潔志向も再発の原因になります。まず、前提として、肛門は排便する部分であり、もともとそこまで清潔することが求められている部位ではありません。したがって、過度にきれいにしようと強くこすったり、ウォシュレットを多様することで皮膚のバリア機能が低下し、痔の症状を悪化させることがあるのです。

これらの要因は単独で作用するだけでなく、相互に影響し合って痔の再発リスクを高めます。したがって、再発防止には複合的なアプローチが必要なのです。

痔のタイプ別・再発防止策

痔には主に「いぼ痔(痔核)」「切れ痔(裂肛)」「痔ろう(肛門周囲膿瘍)」の3種類があります。それぞれのタイプによって再発防止のポイントが異なります。

いぼ痔(痔核)の再発を防ぐには

いぼ痔は肛門周囲の静脈がうっ血して腫れた状態です。再発防止には血行改善が重要です。

まず、長時間の座位姿勢を避けましょう。デスクワークが多い方は、1時間に一度は立ち上がって軽く体を動かすことをお勧めします。これだけでも肛門周囲の血流が改善されます。

また、適度な運動も効果的です。特に有酸素運動は全身の血行を促進し、肛門部のうっ血を防ぎます。ウォーキングや水泳などの負荷の少ない運動から始めてみてはいかがでしょうか。

どうですか?少しの工夫で再発リスクを下げられることに気づかれましたか?

食生活の改善も重要です。食物繊維を多く含む食品を積極的に摂取し、水分補給を心がけましょう。これにより便通が改善され、いきむ必要のない快適な排便が可能になります。

 

切れ痔(裂肛)の再発防止策

切れ痔は肛門の粘膜が裂けた状態です。硬い便や下痢による刺激が主な原因となるため、便の性状改善が再発防止の鍵となります。

便秘対策として、規則正しい食生活と十分な水分摂取を心がけましょう。朝食をしっかり摂ることで自然な排便リズムが作られます。また、トイレを我慢しないことも重要です。便意を感じたらなるべく早くトイレに行きましょう。

切れ痔の方は特に、排便後の処理にも注意が必要です。トイレットペーパーで強くこすらず、押さえるように優しく拭きましょう。ウォシュレットを推奨はしませんが、どうしても気になる方は赤ちゃんのおしりふきのようなもので簡単に拭うようにしてください。

肛門周囲の保湿も大切です。乾燥すると皮膚が硬くなり、裂けやすくなります。医師に相談の上、適切な保湿剤を使用することをお勧めします。

痔ろう(肛門周囲膿瘍)の再発を防ぐために

痔ろうは肛門腺の感染が原因で起こる疾患です。一度発症すると自然治癒は難しく、適切な手術治療が必要になることが多いです。(子どもの場合は良くなることもあります。)

基本的には再発防止を自助努力で行うことはできません。一部、切れ痔から痔瘻になることもあるので、強いて言えば、切れ痔の対策を行うことが重要と言えるかもしれません。

日常生活で実践できる痔の再発防止7つのポイント

痔の再発を防ぐためには、日常生活での継続的な取り組みが欠かせません。ここでは、誰でも実践できる具体的な7つのポイントをご紹介します。

1. 排便習慣の改善

規則正しい排便習慣を身につけることが最も重要です。

特に朝は以下の反射が起きることから排便習慣をつけるに当たり重要です。

・起立直腸反射(起床することで排便を促す)

・胃結腸反射(朝食を取ることで大腸をを動かす)

・結腸直腸反射(胃結腸反射でおきた結腸の動きを直腸に伝えて排便を促す)

これらの反射が生理的に起きることから、朝の活動を行うことが重要になります。

排便時は無理にいきまないことも大切です。いきむと肛門に大きな圧力がかかり、痔の原因となります。リラックスして自然に出るのを待ちましょう。

また、トイレでのスマートフォン使用は避けましょう。長時間座ることで肛門部の血流が悪くなり、いぼ痔の原因となります。

2. 食生活の見直し

食物繊維を多く含む食品を意識的に摂取しましょう。野菜、果物、全粒穀物などが良い選択肢です。食物繊維は便のかさを増し、水分を保持することで排便を促進します。

辛い食べ物やアルコールの過剰摂取は控えめにしましょう。これらは腸を刺激し、下痢や便秘の原因となることがあります。

一日に1.5〜2リットルの水分摂取も心がけましょう。水分が不足すると便が硬くなり、排便時に肛門に負担がかかります。

特に、季節によって、水分摂取量が大きく変わるため、季節の変わり目に便秘になり、痔が悪くなる方も多いです。夏に汗が多くなる、冬で水分摂取が減るなど、水分バランスが崩れる時期は特に注意が必要です。

3. 適切な肛門ケア

排便後は強くこすらず、やさしく拭きましょう。過度にきれいにすることを目指すことは、逆効果です。

入浴時にお湯につかることも効果的です。温かいお湯は血行を促進し、肛門周囲の緊張をほぐします。

あなたは毎日どのようなケアをされていますか?少しの意識で大きく変わることもあります。

4. 姿勢と運動の工夫

長時間の座位姿勢は避け、定期的に立ち上がって軽く体を動かしましょう。特にデスクワークが多い方は意識的に休憩を取ることが大切です。

適度な有酸素運動は全身の血行を促進し、便通の改善にも役立ちます。ウォーキングや水泳など、無理なく続けられる運動を選びましょう。

腹筋を鍛えることも効果的です。腹筋が強くなると、排便時にいきむ力が少なくて済むようになります。

近年では腰痛に対して理解のある職場も増えており、長時間の座位の姿勢を回避するような活動、例えば会議は立位で行うとか、1時間毎にチャイムを鳴らして体を動かすようにするとか、そういった活動も散見されます。同様に、これらの活動は痔についてもよい影響がある可能性があります。

5. ストレス管理

ストレスは自律神経に影響を与え、便秘や下痢の原因となることがあります。

自分に合ったストレス解消法を見つけ、定期的に実践しましょう。深呼吸、軽い運動、趣味の時間など、リラックスできる方法は人それぞれです。

十分な睡眠も重要です。睡眠不足は免疫力の低下につながり、体全体の健康に影響します。

6. 体重管理

過度な肥満は腹圧を上昇させ、肛門部の静脈にも負担をかけます。適正体重の維持は痔の再発防止に役立ちます。

急激なダイエットは避け、バランスの良い食事と適度な運動で徐々に体重を調整していくことが大切です。

7. 定期的な医療機関の受診

痔の治療後も、定期的に医療機関を受診することをお勧めします。再発の兆候は早期に発見することで、軽度のうちに対処できます。

また、便の性状や排便習慣に変化があった場合も、早めに相談しましょう。痔と似た症状を示す他の疾患の可能性もあります。

一方で、漫然と処方のみを繰り返すことはおすすめしません。年に1度でもよいので肛門診察をしてもらい、状態の確認を行うことが重要です。

特に、御本人がいぼ痔だと思っていても、実際には肛門ポリープや肛門皮垂であったということは多いです。これらの疾患は、通常のいぼ痔と治療方針が全く異なるため、定期的に診察することが重要です。仮に専門家であっても、一度の診察で必ずしも正しく診断できないこともあります。

再発を繰り返す場合の専門的治療法

生活習慣の改善だけでは再発を繰り返す場合、より専門的な治療が必要になることがあります。当院では、患者さんの状態に合わせた最適な治療法をご提案しています。

内痔核に対する治療法

内痔核が再発を繰り返す場合、ジオン注射療法や結紮切除術などの治療法があります。特に当院では、鎮静剤を使用した痛みの少ない治療を提供しています。

排便のたびに脱出して指で戻している場合などは、手術をおすすめすることが多いです。

ジオン注射療法は、痔核に硬化剤を注射して萎縮させる治療法です。日帰りで行うことができ、術後の痛みも比較的少ないのが特徴です。

より進行した内痔核に対しては、結紮切除術が効果的です。痔核の根本を確実に処理することで、再発率を低減することができます。当院では年間151例(2023年実績)の痔の日帰り手術を行っており、豊富な経験を持つ医師が担当します。

切れ痔に対する専門治療

慢性化した切れ痔には、側方内括約筋切開術や皮膚弁移動術などの治療法があります。これらの手術は肛門の緊張を緩和し、裂傷の治癒を促進します。

痔ろうに対する治療アプローチ

痔ろうの再発防止には、原因となる感染巣を完全に除去することが重要です。当院では、痔ろうの種類や複雑さに応じた適切な手術法を選択しています。

複雑な痔ろうの場合は、グループ法人の関連病院と連携して対応しています。術後のフォローアップも丁寧に行い、再発防止に努めています。

まとめ:痔の再発ゼロを目指して

痔の再発を防ぐためには、単に症状を治療するだけでなく、根本的な原因に対処することが重要です。便秘や下痢の改善、適切な肛門ケア、生活習慣の見直しなど、日常生活での継続的な取り組みが再発防止の鍵となります。

特に重要なのは、排便習慣の改善と食生活の見直しです。規則正しい排便リズムを作り、食物繊維と水分を十分に摂取することで、多くの方が症状の改善を実感されています。

再発を繰り返す場合は、専門医による適切な治療も検討しましょう。当院では、患者さん一人ひとりの状態に合わせた治療法をご提案し、再発防止に向けたサポートを行っています。

痔の症状でお悩みの方は、早めに相談することをお勧めします。適切な治療と生活習慣の改善により、痔の再発ゼロを目指しましょう。

詳しい診断や治療についてのご相談は、ぜひ当院までお気軽にお問い合わせください。専門的な検査と治療で、あなたの痔の悩みを解決するお手伝いをいたします。

辻仲つくば 胃と大腸内視鏡・肛門外科クリニックでは、痛みや負担に配慮した検査と肛門診療を行っています。つくばエクスプレス「つくば駅」から徒歩5分の好立地で、お仕事帰りにも通院しやすい環境です。



【作成・監修】
辻仲つくば胃と大腸内視鏡・肛門外科クリニック
院長 森田 洋平(日本消化器内視鏡学会 専門医、MPH(公衆衛生大学院))

MPHは予防医学、疫学、統計のスペシャリストの学位です。大腸がんの予防的なデータを実践するスペシャリストといえます。


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