知っておきたい痔の原因と対策|日常生活での予防術|辻仲つくば胃と大腸内視鏡・肛門外科クリニック|茨城県つくば市の大腸・肛門外科 消化器内科 内視鏡検査

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知っておきたい痔の原因と対策|日常生活での予防術

痔とは?基本的な理解から始めよう

1.痔とは?基本的な理解から始めよう

は多くの方が一度は経験する肛門部の疾患です。実は日本人の半数以上が痔の症状を経験しているといわれています。痔になると、排便時の痛みや出血、不快感など日常生活に支障をきたすことがあります。

痔は大きく分けて「いぼ痔(痔核)」「切れ痔(裂肛)」「穴痔(痔瘻)」の3種類に分類されます。それぞれ症状や原因が異なるため、適切な対策を講じるためには、まず自分がどのタイプの痔なのかを知ることが重要です。

いぼ痔は肛門内部や周囲の血管が腫れて膨らんだ状態で、出血や痛みを伴います。切れ痔は肛門の粘膜が切れて傷ができた状態で、排便時に鋭い痛みを感じます。穴痔は肛門腺という組織に細菌が感染して膿がたまり、肛門と皮膚の間に穴ができた状態です。

では、なぜ痔になるのでしょうか?

2.痔の主な原因とリスク要因

痔の最大の原因は、肛門周辺への過度な負担です。具体的には以下のような要因が関わっています。

便秘下痢は痔の大きな原因の一つです。便秘による硬い便は肛門を傷つけてしまいます。

長時間の座位姿勢も大きな要因です。デスクワークや長距離運転など、同じ姿勢で座り続けると肛門周辺の血行が悪くなり、うっ血を起こしやすくなります。特に柔らかすぎる椅子や冷たい場所に座ると、さらにリスクが高まります。

立ち仕事も油断できません。長時間立ち続けることで下半身の血液が滞り、肛門部の血管に負担がかかります。

トイレでの過度な力みも要注意です。

排便時に強くいきむと、肛門周辺の血管に大きな圧力がかかります。特にスマートフォンを見ながらなど、必要以上に長くトイレに座っている習慣は痔のリスクを高めます。

妊娠・出産も女性特有のリスク要因です。妊娠中はホルモンバランスの変化や子宮の圧迫により便秘になりやすく、また出産時の怒責(いきみ)によって痔を発症することがあります。

加齢も影響します。年齢とともに肛門周辺の組織が弱くなり、痔になりやすくなります。

あなたはどのリスク要因に当てはまりますか?

3.日常生活で実践できる痔の予防法

痔の最大の原因は肛門周辺への負担です。そのため、予防法は基本的に肛門への負担を最小限に抑えることが中心になります。具体的な予防法をご紹介します。

便通を整える習慣づくり

便秘や下痢は痔の大きな原因です。便通を整えるために、以下の点に注意しましょう。

水分と食物繊維を積極的に摂取することが重要です。成人は1日約2Lの水分を目標にしましょう。食物繊維は腸内環境を整え、便通を改善する効果があります。

腸内環境を整えるには、ヨーグルトや納豆などの発酵食品も効果的です。これらに含まれる善玉菌は、腸内の悪玉菌よりも善玉菌が多い環境を保つのに役立ちます。

辛い食べ物やアルコールは腸を刺激するため、控えめにすることも大切です。

とはいえ、生活習慣のみで改善しないことも多く、必要に応じて医療機関へ相談をすることも重要です。便秘や下痢に対しての薬剤選択はここ10年で飛躍的に増えました。

適切な排便習慣

トイレでの習慣も痔の予防に重要です。便意を感じたらすぐにトイレに行き、長時間座らないようにしましょう。排便時間は3分程度を目安とし、強くいきまないよう心がけます。

また、肛門の衛生を保つことも大切です。

排便後はやさしく拭き、清潔に保ちましょう。ただし、ゴシゴシこするのは逆効果です。紙を押し当てるように優しく拭きましょう。ウォシュレットを使用すると、皮膚が弱くなり、そう痒感がでることがあります。極力使わないことをおすすめしますが、どうしても使用する場合は、水圧を弱くしましょう。

座り方・立ち方の工夫

長時間同じ姿勢でいることは避けましょう。デスクワークなどで長時間座る場合は、1時間に1回程度は立ち上がって軽く体を動かすことをおすすめします。

座る際は硬すぎず柔らかすぎない椅子を選び、姿勢を正しく保つことも大切です。冷たい場所に直接座ることも避けましょう。

このような対策は腰痛対策にも通じる対策です。腰痛に対しては、企業で対策が進んでいる一方で、同様に職場環境とも関連し、国民の半数が経験する痔の対策が社会問題として認識されていません。ご自身で気をつけることが重要となる疾患ですので日常生活の中で意識することが重要です。

あなたの日常生活で、今すぐ改善できることはありませんか?

4.効果的な痔対策グッズと使い方

日常生活での予防に加えて、適切なグッズを活用することで痔の予防や症状緩和に役立てることができます。ここでは、効果的な痔対策グッズとその正しい使い方をご紹介します。

クッションの選び方と活用法

長時間座る必要がある方には、専用のクッションがおすすめです。中央に穴が開いたドーナツ型クッションは、肛門部への圧力を分散させる効果があります。

ただし、柔らかすぎるクッションは体が沈み込んでかえって圧迫感が増すことがあるため、適度な硬さのものを選びましょう。また、長時間同じ姿勢でいることは避け、定期的に立ち上がって血行を促進することが大切です。

 

温熱・冷却療法の活用

痔の症状緩和には温熱療法が効果的です。座浴(お尻だけをお湯に浸す方法)は、肛門周辺の血行を促進し、痛みや腫れを和らげる効果があります。38〜40度程度のぬるま湯に10分程度浸かるのが理想的です。

急性期の痛みや腫れがひどい場合は、冷却パッドなどで冷やすことも効果的です。ただし、長時間の冷却は避け、15分程度を目安にしましょう。

市販薬の適切な選び方と使用法

市販の痔用軟膏やクリームは、症状の緩和に役立ちます。炎症を抑える成分や、血行を促進する成分が含まれているものが多いです。

使用する際は、まず肛門部を清潔にしてから塗布します。説明書をよく読み、適切な量と頻度で使用することが大切です。症状が2週間以上続く場合や、大量の出血がある場合は自己判断せず、専門医を受診しましょう。

これらのグッズは対症療法として効果的ですが、根本的な生活習慣の改善と組み合わせることで、より高い効果が期待できます。

5.痔になってしまったときの対処法

予防に努めていても、痔になってしまうことはあります。そんなときの適切な対処法を、痔のタイプ別にご紹介します。

いぼ痔(痔核)の対処法

いぼ痔は「内痔核」と「外痔核」に分けられ、さらにいぼ痔が外に出てしまうかどうかによって対処法が異なります。

軽度のいぼ痔の場合、座浴や入浴で患部を温めることが効果的です。また、市販の痔疾患用軟膏を使用すると、腫れや痛み、出血の緩和に役立ちます。

便通を整えることも重要です。水分と食物繊維を積極的に摂取し、排便時に強くいきまないよう心がけましょう。

ただし、外に出てしまうようないぼ痔の場合は、自己対処だけでは改善が難しく、外科的治療が必要になることが多いです。また、出血が続く場合や痛みが強い場合も、早めに専門医を受診しましょう。出血の原因がいぼ痔ではなく、大腸がんなどの重要な疾患である可能性もあるからです。

実際には、「いぼ痔がある」としていらっしゃる方の多くがいぼ痔ではなくて、肛門皮垂、血栓性外痔核、見張りイボ(切れ痔に伴う)、肛門ポリープなどであることも多いです。根本的に対処方法が違うので、ご自身の判断でいぼ痔と安易に考えずにご相談されることをおすすめします。

多くの方が、「これはいぼ痔じゃなかったんだ!」と驚いてご帰宅されます。

切れ痔(裂肛)の対処法

切れ痔の原因の多くは便秘や下痢などの排便障害です。まずは便通の調節が重要になります。

便秘に対しては、水分と食物繊維を十分に摂取し、肉類の食べ過ぎに注意しましょう。

市販の痔疾患用軟膏も症状緩和に役立ちますが、痛みが強い場合や症状が長引く場合は、専門医の診察を受けることをおすすめします。特に、裂肛を繰り返して肛門が狭くなってしまった場合は、手術が必要になることもあります。

切れ痔の手術について知りたい方はこちらに説明動画があるのでご参照ください。

穴痔(痔瘻)の対処法

穴痔は自然治癒がまれで、基本的には手術が必要になります。ご自身でできる範囲は非常に限られています。

最初の症状として「肛門周囲膿瘍」があり、肛門周囲に膿がたまるという症状で発症します。まずは、切開して膿を出すことが重要になります。炎症が収まった状態で根治的な手術を行うことが重要です。特に、複雑痔瘻の場合は、癌の原因となるため、放置することはおすすめしません。

穴痔が疑われる場合は、自己判断せず早めに専門医を受診しましょう。適切な治療を受けることで、症状の悪化を防ぐことができます。

痔瘻の手術について知りたい方はこちらに説明動画があるのでご参照ください。

6.専門医を受診すべきタイミングと選び方

痔の症状があるとき、どのタイミングで病院を受診すべきか迷うことがあります。ここでは、専門医を受診すべきタイミングと、適切な医療機関の選び方についてご説明します。

受診を検討すべき症状と状況

以下のような症状がある場合は、専門医の受診を検討しましょう。

  • 排便時に鮮血が出る、または便に血が混じる
  • 強い痛みがあり、日常生活に支障がある
  • 肛門部の腫れや違和感が2週間以上続く
  • 市販薬を使用しても症状が改善しない
  • 肛門から組織が突出し、指で押し戻さないと収まらない
  • 発熱を伴う肛門部の痛みがある
特に、出血を伴う場合は大腸がんによる症状の可能性もあるため肛門科受診をおすすめします。先述したように痔を経験する方は半数以上いるため、痔と大腸がんの区別をつけることは基本的に不可能です。
適切な診療科と医療機関の選び方

痔の診療は、肛門科、肛門外科、または消化器外科で受けることができます。専門性の高い診療を受けるには、肛門科や肛門外科を標榜しているクリニックがおすすめです。

医療機関を選ぶ際のポイントとしては、以下の点が挙げられます。

  • 痔の手術実績が豊富である
  • 最新の治療設備が整っている
  • アクセスが良く、通院しやすい
  • 女性医師の診察を希望する場合は、女性医師が在籍している

例えば、茨城県つくば市の「辻仲つくば胃と大腸内視鏡・肛門外科クリニック」は、日本大腸肛門病学会認定施設であり、専門資格を持つ医師が所属しています。2023年には151例の痔の日帰り手術実績があり、デジタル肛門鏡や肛門エコーなどの専門性の高い検査機器を用いた診断を行っています。

また、血便緊急外来など、緊急性の高い状態にも対応しています。

受診時の心構えと準備

肛門科の受診は恥ずかしさを感じる方も多いですが、医師や医療スタッフは専門家として日常的に診察を行っていますので、安心して受診しましょう。

当院では事前にWEB問診など行っており、必要な情報を診療に活用しやすい状態を作っています。

女性の方で受診に抵抗がある場合は、女性医師の診察日を設けているクリニックもありますので、事前に確認してみるとよいでしょう。また、生理中であってもお尻の診察には全く問題ないので、気軽にご相談ください。

7.まとめ:痔のない快適な生活のために

痔は多くの方が経験する身近な疾患ですが、適切な予防と対策を行うことで、症状の発症や悪化を防ぐことができます。

予防の基本は、肛門への負担を減らすことです。便通を整え、長時間の座位や立位を避け、適切な排便習慣を身につけることが重要です。水分と食物繊維の摂取、適度な運動、ストレス管理なども効果的な予防法です。

痔になってしまった場合は、タイプに応じた適切な対処を行いましょう。症状が長引く場合や悪化する場合、血便を伴う場合は、自己判断せずに専門医を受診することが大切です。

痔は恥ずかしい疾患と思われがちですが、早期の適切な対応が症状の改善と再発防止につながります。この記事で紹介した予防法と対策を日常生活に取り入れ、痔のない快適な生活を送りましょう。

気になる症状がある場合は、辻仲つくば胃と大腸内視鏡・肛門外科クリニックなどの専門医療機関を受診することをおすすめします。専門的な診断と治療を受けることで、より早く確実に症状の改善を図ることができます。

辻仲つくば 胃と大腸内視鏡・肛門外科クリニックでは、日本大腸肛門病学会認定施設として、専門性の高い肛門診療を提供しています。痔でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。



【作成・監修】
辻仲つくば胃と大腸内視鏡・肛門外科クリニック
院長 森田 洋平(日本消化器内視鏡学会 専門医、MPH(公衆衛生大学院))

MPHは予防医学、疫学、統計のスペシャリストの学位です。大腸がんの予防的なデータを実践するスペシャリストといえます。


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