バレット食道とは

胃の入り口部分にある粘膜(バレット上皮)が、食道側へと連続的に伸びている状態です
バレット食道とは、胃の入り口部分にある粘膜(バレット上皮)が、食道側へと連続的に伸びている状態を指します。これは、逆流性食道炎の影響により食道の粘膜が長期間刺激を受けることで、通常とは異なる細胞(円柱上皮)に置き換わってしまうことが原因と考えられています。食道癌のリスクとなる場合もありますが、実際には多くのケースで治療の必要はなく、過剰な心配は不要です。バレット食道は、日本人の約15%程度に認められる比較的よくある内視鏡所見です。胃酸が食道へ逆流する「逆流性食道炎」を繰り返している方に多くみられます。特に、食道裂孔ヘルニアと呼ばれる状態を合併している方は、胃酸の逆流が起きやすく、バレット食道のリスクが高まるとされています。
動画での説明
バレット食道についての、院長が作成した動画です。 参考になれば幸いです。
食道癌のリスクについて
バレット食道は、その長さにより大きく2つに分類され、病態が全くことなります。

SSBE
SSBE(Short Segment Barrett's Esophagus):長さ3cm未満
LSBE
LSBE(Long Segment Barrett's Esophagus):長さ3cm以上
食道癌のリスクについて
LSBEは食道腺がんのリスクとされている一方で、SSBEは食道腺がんのリスクではないとされています。 食道腺がんは通常の食道癌とは異なる形態の癌でBarrett’s食道がんとも言われます。 ほとんどのバレット食道はSSBEに分類され、食道腺ガンのリスクであるLSBEは1%程度の頻度とされています。
バレット食道の検査

バレット食道を診断するためには胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)が必須になります。バレット食道を診断するだけでは不十分であり、SSBEなのかLSBEなのかを診断することが重要です。そのうえで、逆流性食道炎などを合併しているかどうかなどで治療方法が変わることになります。
治療について
SSBEの治療
SSBEは食道腺ガンのリスクではないため、内視鏡検査を定期的に行う対象とはされていません。

LSBEの治療
LSBEの食道腺ガンの発生率は年率1.2%程度とされているため、内視鏡検査を毎年行うことが推奨されています。 今後変わる可能性はありますが、食道がんの予防のための手術治療や薬物治療は、2024年5月の段階では推奨されていません。
逆流性食道炎との関連
逆流性食道炎を合併している場合は、治療の対象となることがあるため、程度が強かったり、胸焼けなどある場合はご相談ください。
バレット食道についてご不安な方はご相談ください

バレット食道は日本人の15%程度に見られる頻度の高い疾患です。一方で、検査後に十分な説明がなくご不安に思われることもあるかもしれません。診断には胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)が必要になるります。辛くない検査を受けることで、フォローアップが必要となった際の不安が大幅に改善されます。当院では無痛の胃カメラを提供しております。つくば市などでバレット食道についてご不安な方はご相談ください。
よくあるご質問
バレット食道はがんになるのですか?
多くのバレット食道(SSBE)はがんのリスクがほとんどありません。 ただし、LSBEと診断された場合のみ、定期的な内視鏡検査で経過をみていくことが推奨されます。
治療しないで大丈夫なの?
症状がなければ治療の必要はありません。 逆流性食道炎を合併している場合のみ、胃酸を抑える治療を行います。