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便潜血検査で再検査の通知を受け取ったあなたへ
健康診断で便潜血検査の結果が陽性となり、再検査の通知を受け取った方もいらっしゃるでしょう。
「痔があるから大丈夫だろう」「たまたま硬い便が出た日だったから」と自己判断してしまう方も少なくありません。しかし、便潜血検査で陽性という結果が出た場合、それは大腸がんの可能性があるというサインです。
大腸がんは早期発見できれば治癒率が高い疾患ですが、進行してしまうと治療が困難になります。便潜血検査は、症状が出る前の早期段階で大腸がんを発見するための重要なスクリーニング検査なのです。
この記事では、消化器内視鏡専門医として多くの大腸内視鏡検査を行ってきた経験から、便潜血検査で再検査となった場合の適切な対応方法、検査の流れ、そして放置するリスクについて詳しく解説します。
便潜血検査とは何か〜検査の仕組みと意義
便潜血検査は、目に見えないほど微量の血液が便に混じっているかどうかを調べる検査です。
大腸にがんやポリープがあると、便が通過する際にこすれて出血することがあります。多くの場合、肉眼では確認できないほどの少量ですが、この微量の血液を検出するのが便潜血検査の役割です。
日本で主流となっている「免疫法」は、ヒトの赤血球に含まれるヘモグロビンというタンパク質に特異的に反応する試薬を用いて、便中の血液を検出します。この方法は食事制限が不要で、簡便かつ精度の高い検査として広く普及しています。

一般的に2日法が採用されており、2回の検査のうち1回でも陽性となれば精密検査が必要です。2日法を採用する理由は、大腸がんがあっても毎日出血するとは限らないためです。検査回数を増やすことで、がんの見逃しを減らすことができます。
便潜血検査を毎年受けることで、大腸がんによる死亡率を60%減らせるという研究結果も報告されています。40歳以上では年1回の受診が推奨されており、特に50歳以上の方には強く推奨されています。
このデータは世界的に共通するデータであり、米国の公衆衛生ガイドラインでは、便潜血検査と子宮頸がん検診のみ、Grade Aの最高ランクの検診として記載されており、世界的に最も重要な検査と言えます。
便潜血陽性となる確率と病気が見つかる割合
便潜血検査で陽性と判定されるのは、受診者全体の約5〜10%です。
では、陽性と判定された方のうち、実際に病気が見つかる確率はどのくらいでしょうか。便潜血陽性の方から大腸ポリープが見つかる確率は約50%、大腸がんが見つかる確率は2〜5%程度とされています。
2回の検査のうち1回だけ陽性だった場合、大腸がんが見つかる確率は約30人に1人です。一方、2回とも陽性だった場合は約20人に1人と、リスクが格段に高くなります。
「1回しか陽性にならなかったから大丈夫」と考えるのは危険です。
便潜血検査の精度は、2日法で進行がんの約80%、早期がんの約50%を発見できるとされています。つまり、進行がんでも約20%、早期がんでは約50%が見逃される可能性があるということです。
そもそも便潜血検査は、便潜血検査で指摘できるような病変があって、治療できなくなるまでに7年程度かかるうちのどこかで引っかかるとよいな、というレベルの感度です。その感度を上げるために2日法で行うという趣旨であり、内視鏡検査を行う人を減らすための趣旨ではありません。

また、大腸がんが見つからなかったとしても、検査が無駄になるわけではありません。40歳以上の成人では3人に1人で大腸ポリープが見つかります。大腸ポリープは将来的に大腸がんに進行する可能性がある前がん病変ですので、早期に発見して治療することで将来の大腸がんを予防できるのです。
「痔があるから」は危険な思い込み〜便潜血陽性の原因
便潜血検査で陽性となった方から、よくこんな声を聞きます。
「もともと痔があるから、そこから出血したんだろう」
しかし、これは大変危険な思い込みです。痔の出血は便の表面に付着することが多く、便潜血検査で陽性になる確率はそれほど高くありません。実際、痔の自覚症状がある方でも便潜血陽性となるのは約5%程度という研究結果があります。
痔だと自分で思っている目に見える出血が、実は大腸がんによる出血だったというケースも少なくありません。便潜血検査では、出血がどこから来ているのか、何の病気による出血なのかを特定することはできないのです。
便潜血陽性となる原因には、大腸がん以外にも大腸ポリープ、潰瘍性大腸炎、クローン病などの炎症性腸疾患が含まれます。特に若年者の場合、潰瘍性大腸炎やクローン病など若年者に多く発症する難病でも便潜血陽性となることがあります。
20代の方に大腸がんが見つかったケースもあります。年齢に関わらず、便潜血陽性と判定された場合は必ず精密検査を受けることが重要です。
再検査を受けずに放置するリスク
便潜血検査陽性の方のうち、精密検査を受ける割合は約70%程度にとどまっています。
残りの30%の方は、様々な理由で精密検査を受けていません。「自覚症状がないから大丈夫」「忙しくて時間がない」「検査が怖い」といった理由で先延ばしにしてしまう方が多いのです。

大腸がんの5年生存率は、ステージによって大きく異なります。早期のステージⅠで発見できれば5年生存率は90%以上ですが、ステージⅣまで進行すると20%以下まで低下します。早期発見、早期治療が生存率を大きく左右するのです。
また、早期に発見できれば治療による身体的負担も軽く、総合的な医療費も少なく済みます。進行してから発見された場合、手術や抗がん剤治療など、より侵襲的で長期にわたる治療が必要になる可能性があります。
「もう一度便潜血検査を受けて陰性なら大丈夫」と考える方もいらっしゃいますが、これも誤りです。100回便潜血検査を受けて99回陰性でも、1回でも陽性であれば「大腸がんの可能性あり」ということになります。大腸カメラ検査を受けて異常がないことを確認されるまでは、大腸がんの心配がなくなることはありません。
精密検査としての大腸内視鏡検査〜流れと準備
便潜血検査で陽性となった場合、精密検査として大腸内視鏡検査(大腸カメラ)が推奨されます。
大腸内視鏡検査は、5mm以下の小さなポリープを見つけることにおいて最も優れた検査です。カプセル内視鏡や大腸CT検査など他の検査方法もありますが、精度の点では大腸カメラに軍配が上がります。
また、大腸カメラは観察だけでなく、ポリープの切除や組織の採取も同時に行えるという大きな利点があります。検査中にポリープが見つかれば、その場で切除することで将来の大腸がんを予防できるのです。
大腸内視鏡検査の流れ
大腸内視鏡検査を受ける場合、一般的に以下のような流れになります。
- 事前診察の予約
まず消化器内科を受診し、医師による診察と問診を受けます。抗血栓薬(血をサラサラにするお薬)を服用している方は、必ず医師にお伝えください。検査についての説明を受け、検査日時を決定します。
- 検査前日の準備
消化に良くて大腸に残りにくい食事を心がけます。事前に処方された下剤を服用し、水やスポーツドリンクなどで十分な水分を摂取します。睡眠も十分に取ることが大切です。
- 検査当日の準備
腸管洗浄液を服用して、何度か排便を繰り返しながら腸内をきれいにしていきます。当院では院内で下剤を服用していただく体制を整えており、トイレは十分な数を準備し清潔に保っています。下剤を飲んでいる間は看護師が頻繁に確認を行い、患者さんのストレスを軽減する配慮をしています。

- 検査の実施
状態が整ったら検査用のパンツに着替え、検査室へご案内します。検査に不安がある方は、静脈麻酔を使用してほぼ眠っているような状態で検査を受けることも可能です。
- 検査後の説明
医師より検査所見について丁寧に説明いたします。ポリープ切除などの処置がなければ、検査後すぐに飲食が可能です。ポリープ切除をした場合は、安全のため1泊入院となる場合があります。
大腸内視鏡検査の長所と注意点
大腸内視鏡検査の長所は、5mm以下の小さなポリープを見つけやすいこと、病変の切除や組織の採取が可能なこと、粘膜面の色調や細かい模様を観察できることです。
一方、検査に必要な時間が長いこと、前処置が面倒なことが短所として挙げられます。しかし、これらの短所は、検査医師の能力や鎮静剤の使い方である程度克服可能です。
大腸カメラは上手な医師に、症例数の多い施設で、自分に合ったやり方(鎮静剤の使用など)で受けることが重要です。
つくば駅徒歩5分の辻仲つくばで安心の検査を
辻仲つくば胃と大腸内視鏡・肛門外科クリニックは、つくば駅から徒歩5分の便利な立地にあります。
辻仲病院グループに所属し、グループ内で培った知識や技術をもとに、専門性の高い診療を提供しています。外科専門医、消化器外科専門医、大腸肛門病専門医が在籍しており、安心して検査や治療を受けていただける体制を整えています。
当院では、検査自体の苦痛の少なさ、便利に検査や治療を受けられる体制、安心して検査や治療を受けていただくための情報提供を追求しています。入院が必要な治療・手術については、グループ病院の辻仲病院柏の葉と連携して治療にあたる体制も整えています。
大腸カメラ検査については事前診察が必須となっており、WEB予約またはLINE予約で事前診察と検査仮予約を取得できます。胃カメラと大腸カメラの同日検査も対応可能です。土曜診療も実施していますので、平日お忙しい方でも受診しやすい環境です。
便潜血検査で陽性となった方は、ぜひお早めにご相談ください。
まとめ〜便潜血陽性は放置せず精密検査を
便潜血検査で陽性となった場合、それは大腸がんの可能性があるというサインです。
「痔があるから」「1回しか陽性にならなかったから」といった自己判断は危険です。便潜血陽性の方の約50%から大腸ポリープが、約2〜5%から大腸がんが見つかります。放置すると、がんのステージが進行し、治療が困難になる可能性があります。
大腸がんは早期発見できれば治癒率が高い疾患です。便潜血検査で陽性となった方は、必ず精密検査として大腸内視鏡検査を受けましょう。
つくば駅徒歩5分の辻仲つくばでは、専門医による丁寧な検査と説明を提供しています。検査に不安がある方には鎮静剤を使用した検査も可能です。便潜血陽性の通知を受け取った方は、お早めにご相談ください。

【作成・監修】
辻仲つくば胃と大腸内視鏡・肛門外科クリニック
院長 森田 洋平(日本消化器内視鏡学会 専門医、MPH(公衆衛生大学院))
MPHは予防医学、疫学、統計のスペシャリストの学位です。大腸がんの予防的なデータを実践するスペシャリストといえます。