大腸カメラ前の下剤がつらい人へ|吐き気・腹痛を減らす準備と相談ポイント

目次
大腸カメラ検査前の下剤がつらいと感じる理由
大腸カメラ検査は、大腸がんやポリープの早期発見に欠かせない重要な検査です。しかし、多くの患者さんが検査そのものよりも「下剤の服用がつらい」と訴えます。
下剤がつらいと感じる理由は、主に4つあります。
まず、大量の液体を飲む必要があることです。通常の下剤とは異なり、大腸カメラ検査前には腸管洗浄液を飲まなければなりません。初めて検査を受ける方は、説明を聞いた時点で「こんなに飲めるわけがない」と不安になることも多いでしょう。
次に、味の問題があります。下剤の種類によって薄いスポーツドリンクのような味、梅キャンディーのような味、レモン風味など様々ですが、クエン酸マグネシウムや塩化ナトリウムなどの成分に苦味が含まれているため、飲みにくく感じる方が少なくありません。
さらに、何度もトイレへ行く必要があることも負担となります。下剤を約2時間かけて飲んだ後、1時間後くらいから徐々に排便が始まり、5〜10回程度トイレに通うことになります。自宅で下剤を飲んでクリニックへ行くまでにトイレに行きたくならないか不安になったり、何度もトイレへ行くこと自体をつらいと感じたりする可能性があります。
最後に、下剤によって腹痛や吐き気が起こることがあります。特に女性は比較的下剤による腹痛や吐き気、嘔吐などが起こりやすいといわれています。以前の検査でこれらの症状を経験した方は、今回もつらい思いをするのではないかと不安に感じてしまうかもしれません。
参考:大腸内視鏡検査前の下剤の工夫

なぜ大腸カメラ検査に下剤が必要なのか
大腸カメラ検査で下剤を飲む理由は、検査の精度を高めるためです。
大腸内視鏡検査は、肛門から小型のカメラがついたスコープを挿入して直接大腸内を観察します。もし腸内に便が残っていると、視界を妨げてしまい、小さな病変を見逃してしまう恐れがあります。
大腸がんの発見が遅れると、気づいたときには手遅れになってしまう可能性があります。また、ポリープなどを切除した場合、大腸内に残った便によって切除した部位に炎症が起こりやすくなるため、下剤を服用して大腸内をきれいにしてから精密な検査を実施することが重要です。
参考:アメリカ消化器病学会での大腸内視鏡検査のQuality indicatorについて
当院では、患者さんの体質やご希望に合わせて数種類の下剤をご用意しています。初めて検査を受ける方で下剤服用が不安な方、過去内視鏡検査の下剤服用でつらい思いをされた方もご安心ください。
大腸カメラで発見できる疾患
大腸カメラ検査では、大腸ポリープ、潰瘍性大腸炎、大腸がん、クローン病、直腸がん、虚血性腸炎、直腸カルチノイド、過敏性腸症候群などを診断できます。
早期大腸癌を治療することで、大腸癌がない方と同等の寿命を享受できることが示されています。また、ポリープを発見して切除し、ポリープのない状態を作ることで、大腸がんを約86%予防することが可能とされています。
参照:大腸ポリープ切除による大腸がん予防効果について
下剤の種類と特徴を知っておこう
大腸カメラ検査前に使用する下剤には、いくつかの種類があります。それぞれ特徴が異なるため、患者さんの状態や好みに合わせて選択することが重要です。

モビプレップ
モビプレップは現在最も広く使用されている下剤の一つです。水に溶かして飲む粉末タイプで、レモン風味がついています。
特徴としては、従来の下剤より飲む量が少なく済む点が挙げられます。具体的には、1リットルを飲んだ後に水やお茶などを500ml飲むという方法で使用します。便がほぼ透明になれば、残りを飲む必要はありません。
味はさっぱりとしていて比較的飲みやすいと感じる方が多いですが、個人差があります。腎臓に疾患をお持ちの方は使用できない場合がありますので、事前に医師に相談してください。
ニフレック
ニフレックも水に溶かして飲むタイプの下剤です。2リットルを約2時間かけて飲みます。服用方法がシンプルで、腸管内の残渣が少なくなるため正確な検査が期待できます。
レモン風味の特有の味があり、個人によっては飲みにくいと感じることがあります。最初の2〜3杯は15分以上かけてゆっくり飲むことがポイントです。
サルプレップ
サルプレップはペットボトル入りの製剤をそのまま飲むタイプの下剤です。薬液はレモン風味で、薬剤を溶かす手間が不要な点が特徴です。また、早く便がキレイになった場合は、一番内服量が少なくてすむことも大きな特徴です。
480mlを30分かけて飲み、その間に飲んだ薬の倍量の水分を摂取します。最大960mlまでの服用を行います。内服量が少なくてすむ可能性が高い薬剤であるため、当院ではサルプレップを第一選択としています。
その他の下剤
その他にも、マグコロールP、ビジクリア(錠剤タイプ)、ピコプレップなど様々な種類があります。当院では患者さんの年齢、日々の排便状況、既往症をもとに最適な下剤を提案しています。

下剤による吐き気や腹痛を減らす準備のコツ
下剤の服用は大腸カメラ検査の成功に不可欠ですが、多くの方が苦手意識を持っています。ここでは、下剤をより飲みやすくするための準備のコツをご紹介します。
検査前日の食事を工夫する
検査前日の食事は、消化の良いものを選びましょう。具体的には、うどん、そうめん、白米、おかゆ、パン類(雑穀、ライ麦、ドライフルーツが入っていないもの)、卵、豆腐、肉、魚などがおすすめです。
逆に避けるべき食品は、そば、ラーメン、胚芽米、発芽玄米、雑穀米、野菜全般、果物全般、豆類、こんにゃく、キノコ類、海藻類、ネギなどの薬味類、ごま、ナッツ類、納豆、ふりかけ、ジャム、野菜ジュース、青汁、乳製品です。これらは消化に時間がかかり、腸内をきれいにする妨げになります。
食事制限を適切に行うことで、検査当日の下剤の効果が高まり、飲む量を減らせる可能性があります。
下剤を冷やして飲む
下剤は冷蔵庫で軽く冷やすと、においや味のクセが軽減されて飲みやすくなります。特に夏場は冷やした方が飲みやすいと感じる方が多いです。
ただし、あまり冷やしすぎると腸の動きが鈍くなる可能性があるため、キンキンに冷やすのではなく、軽く冷やす程度にしましょう。
少量ずつゆっくり飲む
下剤は一気に飲もうとせず、コップ1杯(約180ml)を10〜15分かけてゆっくり飲むのがコツです。急いで飲むと吐き気を催しやすくなります。
特に最初の1〜2杯は時間をかけて飲み、体を慣らしていくことが大切です。焦らず、マイペースで進めましょう。
飲みながら水やお茶で口をすすぐ
下剤を飲んだ後、水やお茶(糖分の入っていないもの)で口をすすぐと、口に残る下剤の味が軽減されます。これにより次の一杯が飲みやすくなります。
十分な睡眠をとる
検査当日は早起きして下剤を飲むため、前日はしっかりと睡眠をとりましょう。体調が良い状態で検査に臨むことで、下剤による不快感も軽減される可能性があります。
水分補給を怠らない
下剤服用中は脱水になりやすいため、指示された水分以外にも、適宜水分を補給しましょう。水分が不足すると薬の効果が不十分になることがあります。特に、大量に薬を使用する場合、脱水症状を防ぐために水分補給は不可欠です。

下剤服用時の腹痛や吐き気への対処法
下剤を服用すると、下剤で便を出すことによる脱水症状やそのときの体調などによって、稀に腹痛や吐き気、頭痛などの症状が現れることがあります。
吐き気が起こる理由
大量の液体を短時間で飲むことや、下剤の味や成分が胃を刺激することで吐き気が起こることがあります。特に女性は比較的下剤による腹痛や吐き気、嘔吐などが起こりやすいといわれています。
症状が現れたときの対処法
軽い腹痛や吐き気であれば、一時的に下剤の服用を中断し、少し休憩を取ることで症状が落ち着くことがあります。深呼吸をしたり、楽な姿勢で横になったりすることも効果的です。
症状が重篤な場合はすぐに医師に相談するべきです。また、投薬により体内の水分が失われることがあるため、十分な水分補給が必要です。
事前に医師に相談すべきケース
以前大腸内視鏡検査を受けた際に腹痛や吐き気、嘔吐などの症状が現れたことがある方は、事前に医師に相談しておくと安心です。下剤の種類や服用方法などを工夫することで回避できる可能性があります。
また、腸閉塞やその他の重大な消化器系の問題がある場合、その使用は避けるべきです。他の薬を服用している場合は、相互作用が生じるかどうか確認することが必要です。
当院での大腸カメラ検査の特徴
当院では、患者さんの負担を軽減するために、鎮静剤を用いた検査を行っております。半分眠ったようなぼんやりとした状態で、リラックスしたまま検査を受けられます。
経験豊富な専門医による検査
当院では、一人ひとりに合わせた検査・治療をご提供いたします。検査から治療まで幅広く対応できる医師が担当にあたることで、状態に合わせた適切なアプローチへとつなげてまいります。
大腸内視鏡検査数は25,093件に上り、内視鏡検査が初めての方も、当院にお任せください。
女性医師による内視鏡検査対応
女性の患者さんの中で、男性医師による内視鏡検査に対して抵抗感を持っている方は多くいらっしゃいます。当院には女性医師も在籍しており、恥ずかしさや怖さから内視鏡検査をためらっている女性の方も安心してご来院いただける診療体制を整えております。
患者さんご自身で選べる下剤
当院では、検査前に使用する下剤は患者さんの体質やご希望に合わせて数種類ご用意しております。初めて検査を受ける方で下剤服用が不安な方、過去内視鏡検査の下剤服用でつらい思いをされた方もご安心ください。
苦痛の少ない検査方法
当院では、患者さんの腸の形状や状態に合わせて、チューブが細い細径内視鏡や、腸粘膜を拡大観察できる拡大内視鏡などを使用し、検査しています。また、無送気軸保持短縮法と呼ばれる検査方法を採用し、腸粘膜への負担や痛みの軽減に努めております。
無送気軸保持短縮法は、大腸の走行を邪魔することなくチューブが挿入できる検査方法であり、安全性が高く、患者さんの苦痛が少なく済みます。
検査後のリカバリールーム
検査後は専門のリカバリールームでしっかりと休んでからお帰りいただけます。プライバシーが守れる半個室スペースもご用意しており、安心して検査を受けていただけます。
検査当日の流れと注意点
大腸内視鏡検査の当日は、以下のような流れで進みます。
検査前の準備
検査を受けるまでは食事を控えていただきます。起床後は水やお茶などの水分補給は可能です。
検査当日の持ちものは、診察券、保険証、お薬手帳、着替え(汚れる場合がございます)です。
前処置(下剤服用)
検査の3〜5時間前から下剤をお飲みいただき、腸内をきれいにしていきます。
自宅で前処置薬を内服される方は、事前の指示に従ってください。院内で下剤を服用される方は、指定された時間に来院し、服用をお願いいたします。服用の仕方がわからなかったり、体調不良を感じたりした場合は、遠慮なく医師や看護師にお声がけください。
下剤内服中に、排便を促すために歩いていただくので、楽な服装、歩きやすい靴でご来院ください。なお、大腸内視鏡検査は便が透明な状態になったら可能です。
検査
検査は内視鏡治療専用の部屋または手術室で受けます。麻酔用の液体やスプレーなどで、喉に麻酔をかけます。麻酔がかかったら、医師が肛門から内視鏡を挿入し、モニターに映った画像を確認しながら大腸を観察していきます。
治療中は、不快感や不安を和らげるための鎮静剤や、痛みを和らげるための鎮痛剤を使います。
検査後
検査が終了した後は、別室でお休みいただき、体調の変化がないか確認させていただきます。体調や意識状態が問題ないことを確認できましたら、検査の結果や今後の治療についてご説明いたします。また、ポリープを切除した場合は、検査結果説明のために再度ご来院いただく必要があります。
当院ではオンラインでの結果説明にも対応しています。ぜひご利用ください。

帰宅
検査結果や今後の治療プランをお聞きいただいたあとは、体調に問題がなければご帰宅していただけます。検査終了後の飲食や注意点については、当院スタッフからご説明させていただきます。わからないことがございましたら、遠慮なくご相談ください。
検査翌日の体調と注意すべき症状
大腸カメラ検査の翌日は、多くの場合、普段通りの生活に戻れますが、体調には個人差があります。
翌日に感じる可能性のある症状
検査当日は、下剤による頻繁な排便や、検査そのものによる精神的な緊張、そして麻酔(鎮静剤)を使用した場合はその影響で、身体は想像以上に疲れています。そのため、翌日に軽い倦怠感や疲労感を感じることがあります。
検査中に大腸の中をよく観察するために、空気を注入してお腹を膨らませます。この空気が検査後も腸内に残り、お腹の張りやゴロゴロとした不快感を引き起こすことがあります。時間の経過とともに自然に排出されますが、翌日まで残ることもあります。ただし当院では吸収性の良い炭酸ガスを使用しておりますのでガスは残りにくいはずです。
また、徹底的に腸を洗浄したため、便意があってもなかなか排便がない、あるいは少量しか出ないといった残便感を訴える方もいます。これは腸の動きが一時的に鈍っているためで、数日かけて徐々に元の排便リズムに戻っていくことがほとんどです。
すぐに医療機関を受診すべきサイン
ほとんどの場合、大腸カメラ翌日の不調は一時的なもので心配ありません。しかし、まれに重篤な合併症の兆候である可能性もあります。以下の症状が見られた場合は、すぐに検査を受けた医療機関に連絡するか、救急外来を受診してください。
- 激しい腹痛や持続する腹痛
- 血便(特に鮮血や多量の血便)
- 高熱(38度以上)
- 吐き気や嘔吐が止まらない
- 冷や汗、意識の混濁、顔面蒼白など、全身状態の悪化
これらは、腸穿孔(腸に穴が開くこと)や、ポリープ切除後の出血などの合併症の可能性があります。極々まれなことではありますが、念のため症状を把握しておくことが重要です。
まとめ|安心して検査を受けるために
大腸カメラ検査前の下剤は、確かに多くの方にとって負担となる準備です。しかし、適切な準備と対処法を知ることで、その負担を大きく軽減することができます。
検査前日の食事制限を守り、下剤を冷やして少量ずつゆっくり飲むこと、水分補給を十分に行うことなど、基本的なコツを実践するだけでも、吐き気や腹痛のリスクを減らすことができます。
また、下剤の種類も複数あり、患者さんの体質や過去の経験に合わせて選択することが可能です。以前の検査でつらい思いをされた方は、遠慮なく医師に相談してください。当院では患者さんの状況に応じて最適な下剤を提案し、検査当日も体調の変化に細やかに対応いたします。
大腸カメラ検査は、大腸がんやポリープの早期発見に欠かせない重要な検査です。早期発見により、大腸がんを約86%予防できるとされています。下剤の準備は確かに大変ですが、その先にある健康と安心のために、ぜひ前向きに検査を受けていただきたいと思います。
当院は、つくば駅から徒歩5分という便利な立地で、つくば市内だけでなく、つくばエクスプレス沿線や茨城県全域から多くの患者さんが来院されています。プライバシーに配慮した下剤服用スペースを完備し、検査開始時間も柔軟に対応しています。
大腸カメラ検査に不安を感じている方、下剤の服用に心配がある方は、ぜひ一度当院までご相談ください。経験豊富な専門医とスタッフが、皆さまの健康をサポートいたします。

【作成・監修】
辻仲つくば胃と大腸内視鏡・肛門外科クリニック
院長 森田 洋平(日本消化器内視鏡学会 専門医、MPH(公衆衛生大学院))
MPHは予防医学、疫学、統計のスペシャリストの学位です。大腸がんの予防的なデータを実践するスペシャリストといえます。