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下痢が続くのは「よくあること」ではありません
「下痢が続いているけど、そのうち治るだろう」と考えていませんか?
実は、2~3週間以上にわたって下痢症状が続く「慢性下痢症」には、放置すると命に関わるような重大な病気が隠れている可能性があります。特に注意が必要なのは、大腸がんです。大腸がんは現在、日本人のがん罹患数第1位となっており、初期症状がほとんどないため、進行してから血便や便秘、そして慢性的な下痢症状として現れることがあります。
慢性下痢症の背景には、細菌感染症、寄生虫感染、炎症性腸疾患、腫瘍など、様々な病気が潜んでいる可能性があります。これらの病気を早期に発見し、適切な治療を行うためには、大腸内視鏡検査が非常に重要な役割を果たします。
本記事では、消化器内視鏡の専門医として、繰り返す下痢症状と大腸内視鏡検査の必要性について、基本から応用まで詳しく解説していきます。
下痢症の種類と見分け方
下痢症は、症状が続く期間によって大きく2つに分けられます。
急性下痢症とは
急に症状が出る下痢症状は、吐き気・嘔吐・腹痛などの症状を伴うことが多く、その多くはウイルス性の胃腸炎です。その他には、細菌性胃腸炎、食中毒、お薬による副作用などの病気であることもあります。これらは通常、数日から1週間程度で自然に改善することが多いです。
慢性下痢症の定義と特徴
慢性下痢症とは、4週間以上続く下痢症状のことを指します。
ただし、2~3週間程度続く場合でも、慢性下痢症と考えた方が良いでしょう。個人的には、1週間以上続いてくるようであれば何か問題があると考えた方が良いと思います。慢性的に長く続く下痢症状は、急性下痢症とは区別して原因を考える必要があります。
慢性下痢症には、放置しておくと命に関わるような重大な病気が隠れている場合があります。そのため適切に検査を行い、適切な処置および治療を行うことが必要となることがあります。

慢性下痢症に隠れている病気
慢性下痢症には様々な病気の可能性があります。ここでは、特に注意が必要な病気について解説していきます。
細菌性腸炎~カンピロバクター腸炎に注意
若い方で意外と多いのは、カンピロバクター腸炎という細菌性の腸炎です。カンピロバクター腸炎では、慢性の下痢症状が続くことがあります。慢性下痢症状の他には、発熱、腹痛(右の下の方の痛み)、血便などの症状が出ることがあります。
カンピロバクター腸炎は、患者さんの話をよく聞くと1週間ほど前に居酒屋や焼き鳥屋などに行って鶏肉を食べてきたということが多いです。調理が不十分であったものや生の鶏肉などを食べることで感染することがあります。年間600万人以上の患者さんがかかる病気と言われています。
カンピロバクター腸炎の検査は便培養検査を行い菌の確認を行いますが、菌がなかなか確認できないこともあります。その場合には、診断を行うために大腸内視鏡検査を行うこともあります。検査を行うとほとんどの方が大腸の一番奥の盲腸にあるバウヒン弁という小腸と大腸の境目の臓器に炎症や潰瘍などがみられることが多いです。直接大腸を見ることで診断をすることができます。
重症化するとギランバレー症候群という神経の病気を引き起こす可能性があるため、早期の診断と治療が重要です。
炎症性腸疾患~潰瘍性大腸炎とクローン病
大腸や小腸の粘膜に慢性の炎症または潰瘍を引き起こす原因不明の病気をまとめて「炎症性腸疾患(IBD)」と呼びます。
潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜がおかされ、そこに浅い潰瘍やびらん(ただれ)が多発する病気です。初期の症状は腹痛とともにゼリー状の粘液が排便時に多くなり、下痢になります。しだいに粘液の量が増え、血液が混じるようになったり(粘血便)、血便が出るようになります。さらにひどくなると一日に10回以上も粘血便や血便が出るようになります。
これらの症状は、よくなったり(緩解)、悪くなったり(再燃)を繰り返すため、長期間にわたる治療が必要とされます。潰瘍性大腸炎が発症する原因は正確にはまだわかっていませんが、現在では、(1)遺伝的要素、(2)食べ物や腸内細菌、化学薬品などの環境因子、(3)免疫異常の3つが重なり合って発症する病気と考えられています。
過敏性腸症候群(IBS)
過敏性腸症候群(IBS)とは、特に消化器の疾患がないにも関わらず、腹痛と便秘、または下痢を慢性的に繰り返す病気です。
腸管の運動が異常に亢進し、刺激への反応が過敏になることで引き起こされると考えられています。主な原因は、ストレス、不安、抑うつ、恐怖などの心理的要因や自律神経の失調とされています。社会の複雑化やストレスの増加に伴い、症状に悩む人が増えている病気です。
過敏性腸症候群は、下痢型、便秘型、混合型、分類不能型の4つのタイプに分類されます。下痢型では、急に便意をもよおし、激しい下痢症状が出て、1日に何度もトイレに行くことがあります。水のような便、粘液のある便が特徴です。

大腸がん~最も警戒すべき病気
慢性下痢症の中でも一番気を付けなければならないのは、がん罹患数第1位となっている大腸がんです。
大腸がんは、初期の症状はほとんどないため進行してくると血便や便秘などの症状が出てきます。慢性的な下痢症状も大腸がんの存在を示すサインの一つです。特に、大腸がんで腸管が狭くなると、形のある便が通過せず、水様便のみが通過するため下痢症状として現れることがあります。
大腸がんの早期発見には、大腸内視鏡検査が最も有効な検査方法です。日本では40歳以上の方は大腸がん検診として、日にちを変えて2回便を提出する便潜血検査が行われています。どちらか一方または両方の便が潜血陽性になった場合は、必ず大腸内視鏡検査を受けることが勧められます。
大腸内視鏡検査が必要な理由
慢性下痢症の診断には、大腸内視鏡検査が必須と言えます。
直接観察できる唯一の検査
大腸内視鏡検査は、おしりから内視鏡を入れて、直腸から盲腸まで大腸全体の粘膜を直接観察する検査です。直接医師が画像を見ながら操作するので最も正確な検査と言われています。
検査中に異常が見つかった場合は、病変を一部採取して病理検査に出す生検や、ポリープがあった場合は同時にポリープを切除することも可能です。これは他の検査方法では実現できない大きな利点です。
早期発見・早期治療が可能
大腸内視鏡検査では、細径内視鏡や拡大内視鏡を使用し、無送気軸保持短縮法という検査方法を採用することで、腸粘膜への負担や痛みの軽減に努めています。
また、光の波長を変えた強調画像や、内視鏡AI(内視鏡画像診断支援システム)も使用し、ポリープやがんを鑑別し、的確な診断へとつなげています。内視鏡検査中にポリープが見つかった場合は、その場で摘出手術も行うことができるため、早期治療が可能です。

他の検査との違い
バリウムなどの造影剤と空気をおしりから注入する注腸造影検査や、大腸CT検査も病変の部位や形状を評価する検査として行われることがありますが、これらの検査では生検やポリープ切除はできません。また、潰瘍性大腸炎のように、内視鏡で確認しないと診断自体が困難な疾患もあります。
また、便培養検査や血液検査だけでは、カンピロバクター腸炎のように菌が確認できない場合もあります。そのような場合でも、大腸内視鏡検査で直接大腸を観察することで診断が可能になることがあります。
当院の大腸内視鏡検査の特徴
当院では、患者さんの負担を最小限に抑えた大腸内視鏡検査を提供しています。
苦痛の少ない検査への取り組み
検査時に患者さんへの負担や苦痛をできるだけ軽減できるよう、鎮静剤を使用しています。鎮静剤使用率は92%(2023年度実績)となっており、多くの患者さんが眠った状態で検査を受けられています。
また、患者さんの腸の形状や状態に合わせて、チューブが細い細径内視鏡や、腸粘膜を拡大観察できる拡大内視鏡などを使用し、検査しています。無送気軸保持短縮法と呼ばれる検査方法を採用し、腸粘膜への負担や痛みの軽減に努めております。
検査前後のサポート体制
検査前に使用する下剤は患者さんの体質やご希望に合わせて数種類ご用意しています。
検査前後にゆっくりお過ごしいただけるよう半個室スペースをご用意しております。検査中の苦痛をできるだけ抑えるために、鎮静剤も使用しており、痛みに敏感な方や恐怖感の大きい方でもリラックスした状態で検査に臨んでいただけます。
専門医による高度な診断
当院には「日本消化器内視鏡学会専門医」「日本大腸肛門病学会専門医」「日本消化器外科学会専門医」の専門資格を持つ医師が所属しており、専門性の高いチーム診療をご提供しております。
一人ひとりの患者さんのお話しを丁寧にお伺いした上で、適切な検査を提供しております。また、法人グループとして、日帰り治療、入院治療、緊急性の高い治療に対応しています。

検査を受けるべきタイミング
以下のような症状がある場合は、早めに大腸内視鏡検査を受けることをお勧めします。
こんな症状があれば要注意
便に血が混じった時、便秘や下痢が続く時、原因の分からない腹痛がある時などには、血液検査、便検査、CT検査、腹部超音波検査とともに大腸内視鏡検査を行います。
特に、2~3週間以上下痢が続いている場合、血便や粘血便が出る場合、腹痛を伴う下痢が繰り返される場合、体重減少や発熱を伴う場合などは、早急に検査を受ける必要があります。
便潜血検査が陽性だった方
近年最も多いがんは大腸がんです。日本では40歳以上の方は大腸がん検診として、日にちを変えて2回便を提出する便潜血検査が行われています。大腸がんは早期発見すれば治る疾患であるため、このような検診が行われています。
どちらか一方または両方の便が潜血陽性になった場合も大腸内視鏡検査が勧められます。便潜血検査が陽性だった方の中から、実際に大腸がんやポリープが見つかることは少なくありません。
定期的な検査の重要性
大腸がんは早期発見できれば、ほぼ100%治癒が可能な病気です。しかし、進行してから発見されると治療が困難になることもあります。
特に、家族に大腸がんの方がいる場合、炎症性腸疾患の既往がある場合、以前に大腸ポリープを切除したことがある場合などは、定期的な検査が推奨されます。
まとめ~早期発見が命を守る
繰り返す下痢症状は、単なる体調不良ではなく、重大な病気のサインかもしれません。
慢性下痢症の背景には、カンピロバクター腸炎、潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群、そして大腸がんなど、様々な病気が隠れている可能性があります。これらの病気を早期に発見し、適切な治療を行うためには、大腸内視鏡検査が非常に重要です。
当院では、辻仲病院グループの一員として、豊富な経験と最新の設備を活かした大腸内視鏡検査を提供しています。鎮静剤を使用した苦痛の少ない検査、専門資格を持つ医師による的確な診断、検査前後の充実したサポート体制など、患者さんが安心して検査を受けられる環境を整えています。
2~3週間以上下痢が続いている方、便潜血検査が陽性だった方、血便や腹痛などの症状がある方は、ぜひ早めに検査を受けることをお勧めします。早期発見が、あなたの命を守ることにつながります。
つくば駅から徒歩5分の好立地で、24時間WEB予約やLINE予約にも対応しています。つくばおよび茨城県南の方が、胃腸の症状や肛門の症状について、気軽に受診できるクリニックづくりを目指しています。
詳しい検査内容や予約方法については、辻仲つくば 胃と大腸内視鏡・肛門外科クリニックの公式サイトをご覧ください。
