大腸内視鏡検査の下剤〜種類・飲み方・楽にするコツ|辻仲つくば胃と大腸内視鏡・肛門外科クリニック|茨城県つくば市の大腸・肛門外科 消化器内科 内視鏡検査

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大腸内視鏡検査の下剤〜種類・飲み方・楽にするコツ

公開日:2025年12月19日 / 更新日:2025年12月15日

大腸内視鏡検査における下剤の重要性

大腸内視鏡検査を受ける際、多くの患者さんが不安を感じるのが「下剤の服用」です。

「あの量を本当に飲みきれるだろうか」「味が苦手で途中で気持ち悪くなったらどうしよう」といった声を、私は日々の診療で数多く耳にしてきました。実際に、2024年に行われた1.4万人規模のWEBアンケート調査では、大腸内視鏡検査を受けた人の中で、下剤の内服が最もつらいと答えた人は36.4%でした。

【参考】アンケート調査から見る大腸内視鏡検査の5つの不安

大腸内視鏡検査における下剤の服用は、検査の精度を左右する極めて重要なステップです。腸内に便が残っていると、小さなポリープや早期の大腸がんを見逃してしまう可能性があるからです。米国のガイドラインでも、このことが強調されています。

大腸内視鏡検査は、大腸がんの早期発見に必要不可欠な検査として位置付けられています。早期大腸がんを治療することで、大腸がんがない方と同等の寿命を享受できることが示されています。しかし、検査の精度は腸内がどれだけきれいになっているかに大きく依存します。下剤による前処置が不十分だと、病変の見逃し、検査時間の延長、再検査の必要性などにつながってしまいます。

当院では、患者さんの体質やご希望に合わせて選べる下剤を数種類ご用意しています。初めて検査を受ける方で下剤服用が不安な方、過去に内視鏡検査の下剤服用でつらい思いをされた方も、ぜひ安心してご相談ください。

下剤の種類と特徴〜自分に合った選択を

大腸内視鏡検査で使用される下剤には、いくつかの種類があります。

それぞれに特徴があり、患者さんの年齢、日々の排便状況、既往症をもとに最適な下剤を選択することが重要です。当院では主に以下の種類の下剤をご用意しており、患者さんと相談しながら最適なものを提案しています。

サルプレップ〜手軽さが魅力の新しい選択肢

サルプレップは2021年5月に発売された比較的新しい下剤です。当院ではこのさるプレップを第一選択として提案しています。

ペットボトル入りの製剤をそのまま飲むタイプで、薬剤を溶かす手間が不要な点が特徴です。薬液はレモン風味で、服用量が他の下剤と比べて比較的少ないことが魅力です。

また、内服量が少なくてすむ可能性があるのも魅力です。480mlを30分かけて飲み、その間に飲んだ薬の倍量の水分を摂取します。最大960mlまでの服用を行います。約半数の方はサルプレップ480mlと水分1000mlの時点で検査が可能になります。

当院ではAI便確認と合わせることで、便がきれいになったかどうかをご自身だけの判断でなく、スマホを用いてAIで判定することで、ご自宅で内服する場合であっても必要十分な量で内服を終えることができます。院内で内服する場合であっても、便を看護師に見せる必要がないので、恥ずかしさも軽減できます。

後味に苦味を感じることがあるため、個人によっては飲みにくいと感じる場合がありますが、無糖の紅茶などで味変しながら内服できるため、実際には特に問題なく内服される方がほとんどです。

モビプレップ〜バランスの良い標準的な選択肢

モビプレップは、当院で最も使用している下剤です。水に溶かして飲む粉末タイプで、梅ジュースに近い風味がついています。最大の特徴は「総合力の高さ」で、洗浄力の高さ、服用量の少なさ、味の良さのバランスが最も優れていると考えられます。

パックに水を入れて2000mlにし、1000mlを1時間かけて飲みます。その後、飲んだ薬の半分量の水分を取ります。飲み方の目安はコップ1杯(約180ml)を10分かけて飲むペースです。便秘がない方や排便コントロールが良好な方だと、1リットルの服用で十分に腸管がきれいになることが多いのです。

ただし、腎臓に疾患をお持ちの方は使用できない場合がありますので、事前にご相談ください。

ニフレック〜高齢者にも安心して使える選択肢

ニフレックは、モビプレップが発売されるまで多くの施設で使われていた下剤です。水に溶かして飲むタイプで、2000mlを約2時間かけて服用します。服用方法がシンプルで、腸管内の残渣が少なく正確な検査が期待できます。

最大の特徴は「汎用性の高さ」です。ニフレックは飲んでも体内にはほぼ吸収されないため、電解質への影響がほとんどありません。そのため、ご高齢の方や腎臓の機能が低下している方にも安心して使用できます。

レモン風味の特有の味があり、個人によっては飲みにくいと感じることがあります。最初の2〜3杯は15分以上かけてゆっくり飲むことがポイントです。

マグコロールP〜飲みやすさを重視する方に

マグコロールPは、スポーツドリンクのような味で比較的飲みやすいとされる下剤です。パックに水を入れて1800mlにし、約1時間30分かけて飲みます。飲み方の目安はコップ1杯(約200ml)を10分かけて飲むペースです。

甘みがあるため、個人によっては飲みにくいと感じることがあります。洗浄力はやや劣るため、便秘気味の方は事前準備が必要なケースがあります。腎臓に疾患をお持ちの方は使用できない場合があります。

ビジクリア〜錠剤タイプの特殊な選択肢

ビジクリアは、錠剤タイプの下剤です。最大の特徴は「錠剤と水の組み合わせで飲める」という点で、液体の下剤の味がどうしても苦手な方に適しています。

2000mlの水分と、錠剤50錠を2時間30分かけて飲みます。飲み方は錠剤5錠をコップ1杯の水分(約200ml)で15分かけて飲み、これを10回繰り返します。錠剤が大きく、個人によっては飲みにくいと感じることがあります。

心臓に疾患をお持ちの方、腎臓に疾患をお持ちの方、年齢が65歳以上の方、高血圧の治療を受けている方は使用できない場合があります。

一方で、なかなかきれいにならないことが多いため、当院のように洗腸ができるような施設で採用されることが多いようです。

飲みやすい用に見えるかもしれませんが、実際には、味のない水を2L飲むというのは他の選択肢より楽とは言えないことも多いです。

下剤を楽に飲むための実践的なコツ

下剤の服用は大腸内視鏡検査の成功に不可欠ですが、多くの方が苦手意識を持っています。

長年の臨床経験から、下剤をより飲みやすくするための実践的なコツをご紹介します。これらの工夫を実践することで、検査前の不安を軽減し、より快適に準備を進めることができます。

検査前日からの食事制限が成功の鍵

下剤の効果を高めるためには、検査前2〜3日から消化に良いものを食べることが重要です。腸内をしっかり観察するために、食べ物が残らない状態へと整えていく必要があります。

具体的には、うどん、そうめん、白米、おかゆ、パン類(雑穀、ライ麦、ドライフルーツが入っていないもの)、卵、豆腐、肉、魚などがおすすめです。逆に避けるべき食品は、そば、ラーメン、胚芽米、発芽玄米、雑穀米、野菜全般、果物全般、豆類、こんにゃく、キノコ類、海藻類、ネギなどの薬味類、ごま、ナッツ類、納豆、ふりかけ、ジャム、野菜ジュース、青汁、乳製品です。

前日には当院でお渡しする検査食を召し上がっていただきます。食事制限を適切に行うことで、検査当日の下剤の効果が高まり、飲む量を減らせる可能性があります。

便秘気味の方は数日前から準備を

便秘気味の方は、検査の数日前から準備を始めることをおすすめします。検査時間に合わせて、数日前から下剤を服用していただくこともあります。

刺激性下剤を検査前日や数日前から服用することで、腸管洗浄剤の効果を高めることができます。便秘の状態によって最適な準備方法が異なりますので、初回受診時に詳しくご説明いたします。

下剤を冷やして飲む工夫

下剤は冷蔵庫で軽く冷やすと、においや味のクセが軽減されて飲みやすくなります。特に夏場は冷やした方が飲みやすいと感じる方が多いです。冷やすことで独特の味やにおいが和らぎ、スムーズに飲めるようになります。

ただし、あまり冷やしすぎると腸の動きが鈍くなる可能性があるため、キンキンに冷やすのではなく軽く冷やす程度にしましょう。冬場や冷え性の方は身体への負担に注意が必要です。

少量ずつゆっくり飲むペース配分

下剤は一気に飲もうとせず、コップ1杯(約180ml)を10〜15分かけてゆっくり飲むのがコツです。急いで飲むと吐き気を催しやすくなります。

特に最初の1〜2杯は時間をかけて飲み、体を慣らしていくことが大切です。焦らず、マイペースで進めましょう。最初の2〜3杯は15分以上かけてゆっくり飲むことで、身体への負担を軽減できます。

飴やガムで口直しをする

味がどうしても苦手な場合は、下剤を飲む前後に無糖の飴やガムで口直しをするのも一つの方法です。飲みながら水やお茶(糖分の入っていないもの)で口をすすぐと、口に残る下剤の味が和らぎます。ただし、医師に確認のうえで実践しましょう。

院内下剤サービスの活用

当院では、プライバシーに配慮した下剤服用スペースを完備しています。自宅で下剤を服用するのが不安な方、仕事の都合で自宅での服用が難しい方は、院内で下剤を服用することができます。

院内で下剤を服用される方は、指定された時間に来院し、服用をお願いいたします。服用の仕方がわからなかったり、体調不良を感じたりした場合は、遠慮なく医師や看護師にお声がけください。下剤服用中に排便を促すために歩いていただくので、楽な服装、歩きやすい靴でご来院ください。

検査当日の流れと注意点

検査当日は、食事を控えていただきます。

起床後は水やお茶などの水分補給は可能です。検査当日の持ちものは、診察券、保険証、お薬手帳、着替え(汚れる場合がございます)をご用意ください。

前処置(下剤服用)の実際

検査の3〜5時間前から下剤をお飲みいただき、腸内をきれいにしていきます。自宅で前処置薬を服用される方は、事前の指示に従ってください。

大腸内視鏡検査は便が透明な状態になったら可能です。排便の状態を確認しながら、適切なタイミングで検査を開始します。下剤の効きが悪い場合には、追加の下剤を服用していただくこともあります。

鎮静剤を使った苦痛の少ない検査

当院では、検査時に患者さんへの負担や苦痛をできるだけ軽減できるよう、鎮静剤を使用しています。半分眠ったようなぼんやりとした状態で、リラックスしたまま検査を受けられます。

「内視鏡検査は怖い」というイメージから受診が遠のいていませんか?鎮静剤を使用することで、多くの患者さんが「思ったより楽だった」と感想を述べられます。

検査後のリカバリー

検査が終了した後は、専門のリカバリールームでしっかりと休んでからお帰りいただけます。体調や意識状態が問題ないことを確認できましたら、検査の結果や今後の治療についてご説明いたします。

ポリープを切除した場合は、検査結果説明のために再度ご来院いただく必要があります。検査終了後の飲食や注意点については、当院スタッフからご説明させていただきます。

検査後の運転制限について

鎮静剤を使用した場合、検査後は車の運転ができません。鎮静剤の効果が完全に切れるまでには時間がかかるため、安全のために公共交通機関やご家族の送迎をご利用ください。

大腸内視鏡検査で発見できる病気

大腸内視鏡検査では、様々な病気を発見することができます。

大腸ポリープ、潰瘍性大腸炎、大腸がん、クローン病、直腸がん、虚血性腸炎、直腸カルチノイド、過敏性腸症候群などの診断が可能です。特に大腸がんや大腸ポリープの早期発見・治療に必要不可欠な検査として位置付けられています。

大腸ポリープ切除による大腸がん予防

一般的に大腸内視鏡検査中に、ポリープが発見される確率は30%と言われています。当院では検査の利便性を上げるために、入院が不要な場合は日帰り大腸ポリープ切除に対応しています。

ポリープのない状態を作ることで、大腸がんを約86%予防することが可能とされています。検査時にポリープが見つかった場合は、その場で日帰りポリープ切除も可能です。お仕事などが忙しくて通院が難しい方や、負担の少ない検査をご希望の方はお気軽に当院までご相談ください。

最新のAIシステムによる高精度な観察

当院では、最新AIシステムを導入したことで、これまで見つけるのが難しかった微細な早期がんや炎症、その他の病変なども、より高い精度で発見できるようになりました。複数の高出力LED照明を使用し、血管や粘膜の表面を詳細に観察することで、病気の早期発見・早期治療へと繋げることができます。

光の波長を変えて腸粘膜の表面や色調がはっきり見える「画像強調」を導入しています。また、腸を観察しやすくするために空気ではなく「自動送水」を実施し、腸への負担軽減に努めております。

当院の大腸内視鏡検査の特徴

当法人は年間25,093件の大腸内視鏡検査を実施してきた実績があります。一人ひとりに合わせた検査・治療をご提供いたします。検査から治療まで幅広く対応できる医師が担当にあたることで、状態に合わせた適切なアプローチへとつなげてまいります。

女性医師による内視鏡検査対応

女性の患者さんの中で、男性医師による内視鏡検査に対して抵抗感を持っている方は多くいらっしゃいます。当院には女性医師も在籍しており、恥ずかしさや怖さから内視鏡検査をためらっている女性の方も安心してご来院いただける診療体制を整えております。

男性医師による検査に抵抗感や恥ずかしさ・恐怖や不安をお持ちの方は、お気軽に当院までご相談ください。

無送気軸保持短縮法による負担軽減

当院では、患者さんの腸の形状や状態に合わせて、チューブが細い細径内視鏡や、腸粘膜を拡大観察できる拡大内視鏡などを使用し、検査しています。また、無送気軸保持短縮法と呼ばれる検査方法を採用し、腸粘膜への負担や痛みの軽減に努めております。

従来の大腸内視鏡検査では、曲がりくねった状態の大腸を正確に把握するために、空気を注入しながら検査チューブを挿入していました。しかし、この方法はお腹に空気が溜まるため、張りや痛みを感じやすく、腸粘膜に負担がかかります。無送気軸保持短縮法は、大腸の走行を邪魔することなくチューブが挿入できる検査方法であり、安全性が高く、患者さんの苦痛が少なく済みます。

胃内視鏡と大腸内視鏡の同日検査

患者さんのご希望や症状に合わせて、医師の診察により必要があれば同じ日に胃内視鏡と大腸内視鏡を受けることができます。2つの内視鏡検査を一緒に受けることで、通院回数の削減や下剤を飲むなどの身体的負担を抑えるメリットなどがあります。

検査費用について

大腸に症状や病変がみられた場合は保険証をお使いいただくことが可能です。

料金は3割負担の場合、大腸内視鏡検査が7,500円、内視鏡的大腸ポリープ切除術(2cm未満)が30,000円、病理組織検査が1臓器4,000円、2臓器7,500円、3臓器11,000円となっています。

お支払方法は、現金とクレジットカード(VISA、JCB、Mastercardなど)に対応しています。保険適用や料金に関するご質問は、事前に当院スタッフまでご相談ください。

アクセスと来院しやすい環境

当院は、つくば駅から徒歩5分という便利な立地です。

地元つくば市はもちろんのこと、つくばエクスプレス沿線の研究学園、万博記念公園、みどりの、みらい平、守谷、柏たなか、柏の葉キャンパスなど、また常磐線や関東鉄道常総線沿線にお住まいの方々にも多数ご利用いただいております。

つくば市をはじめ、土浦市、牛久市、つくばみらい市、常総市、石岡市、阿見町、守谷市、龍ケ崎市のみならず、茨城県全域の広い地域から多くの患者さまが来院されています。遠方からお越しの方でも安心して内視鏡検査を受けていただけるよう、院内にはプライバシーに配慮した下剤服用スペースを完備しており、内視鏡検査の開始時間も柔軟に対応しています。

まとめ〜安心して検査を受けていただくために

大腸内視鏡検査における下剤の服用は、多くの方が不安を感じる部分です。

しかし、適切な下剤の選択と飲み方の工夫により、その負担を大きく軽減することができます。当院では、患者さんの体質やご希望に合わせて選べる下剤を数種類ご用意し、一人ひとりに最適な方法をご提案しています。

検査前の食事制限、下剤を冷やす、少量ずつゆっくり飲む、ストローを使う、飴やガムで口直しをするなど、様々な工夫を組み合わせることで、より快適に準備を進めることができます。便秘気味の方は1週間前から準備を始めることで、当日の下剤の効果を高めることができます。

当院では、鎮静剤を用いた苦痛の少ない内視鏡検査を実施しており、検査後は専門のリカバリールームでゆっくり休むことができます。経験豊富な日本消化器内視鏡学会専門医が検査を担当し、最新のAIシステムを活用した高精度な観察を行っています。

大腸がんの早期発見・早期治療のために、定期的な大腸内視鏡検査をおすすめします。初めて検査を受ける方で下剤服用が不安な方、過去に内視鏡検査の下剤服用でつらい思いをされた方も、ぜひ安心してご相談ください。当院スタッフが丁寧にサポートいたします。

つくば駅から徒歩5分の「辻仲つくば胃と大腸内視鏡・肛門外科クリニック」で、安心の大腸内視鏡検査を受けてみませんか?

【作成・監修】
辻仲つくば胃と大腸内視鏡・肛門外科クリニック
院長 森田 洋平(日本消化器内視鏡学会 専門医、MPH(公衆衛生大学院))

MPHは予防医学、疫学、統計のスペシャリストの学位です。大腸がんの予防的なデータを実践するスペシャリストといえます。