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内視鏡検査における前処置の意義
大腸内視鏡検査を受ける際、多くの患者さんが「下剤を飲むのが大変」と感じられます。実際にオリンパス社が2024年に行った1万人規模のWEBアンケートでも、大腸内視鏡検査において、下剤を飲むことの苦痛を訴える方が最も多かったです。しかし、この前処置こそが検査の精度を左右する最も重要な要素なのです。
前処置が不十分な場合、大腸内に便のカスが残ってしまい、小さな病変やポリープを見逃す可能性が高まります。当院では、患者さんの体質やご希望に合わせて選べる下剤を数種類ご用意しており、前処置の負担を軽減しながらも高精度な検査を実現しています。
当院での前処置の特徴です。
大腸内視鏡検査の前処置・下剤を楽にするための当院の工夫

前処置が検査精度に与える影響
腺腫性ポリープ発見率(ADR)との関係
前処置の質は、腺腫性ポリープ発見率(ADR)に直接影響します。ADRとは、がん化する可能性のある大腸ポリープの発見率を示す指標です。
米国の基準では、男性で40%以上、女性で30%以上が目標とされています。また、腺腫ではないが切除すべきポリープ(SSL)の発見率を6%以上にすることが定められており、約半数の方に大腸ポリープが見つかります。
前処置が不十分だと、大腸内の観察が正確に行えず、このADRが低下してしまいます。つまり、せっかく検査を受けても病変を見逃す可能性が高まるのです。実際、米国の2024年に改定されたガイドラインでも、前処置の重要性が記載されており、検査の質を決める重要な因子といえます。
検査中止のリスク
下剤の効果が不十分で大腸内に便のカスが多く残っている場合、検査途中で中止せざるを得ないケースもあります。
内視鏡スコープの挿入自体は可能でも、大腸内の観察が不十分となるため、日を改めて再検査が必要になることがあります。患者さんにとっては、再度の前処置と検査という二重の負担となってしまいます。
この可能性を少しでも減らすために、洗腸室のある施設で検査を行うことをおすすめします。洗腸とは、通常よりも多い量の浣腸をすることで、腸管内を洗うことです。どうしても下剤できれいになりきらない場合、洗腸で補助して腸管内をきれいにすることで、質の良い検査を行う可能性を上げることができます。
当院では、洗腸室を用いることで、「途中まで頑張って内服したけれど、最後まできれいにならなくて検査ができなかった」という方を減らす努力をしています。

効果的な前処置を実現するための準備
検査前日までの食事管理
前処置をスムーズに行うためには、検査前の食事制限が重要です。
最近の研究では、便秘がない方の場合、食事制限を1日のみとしても3日間行った場合と腸管洗浄度に差がないことが証明されています。ただし、便秘傾向のある方は、より長めの食事制限や下剤の内服が推奨されます。
具体的には、根菜や葉物野菜、海藻などの残渣が残りやすい食品を避け、消化吸収に労力を要さない低残渣食を摂取していただきます。当院では検査前日に専用の検査食をお渡ししており、患者さんの負担を軽減しています。
医療スタッフによる丁寧な説明
前処置の成功には、患者さんへの適切な説明が欠かせません。
当院では、初回受診時に下剤の飲み方や検査前の準備について、スタッフが丁寧にご説明しています。わからないことがあれば、いつでもお声がけいただける体制を整えています。また、動画を用いることで、大腸内視鏡検査の流れについてもご自宅でもわかりやすく説明しています。
特に初めて検査を受ける方や、過去に下剤服用でつらい思いをされた方には、より詳しくサポートさせていただきます。
院内での下剤服用サポート
自宅での下剤服用に不安がある方のために、当院ではプライバシーに配慮した半個室スペースを完備しています。
院内で下剤を服用される場合、医師や看護師が常にサポートできる環境にあるため、体調不良を感じた際も安心です。下剤内服中は排便を促すために歩いていただくため、楽な服装と歩きやすい靴でご来院ください。

選べる下剤の種類と特徴
無水硫酸ナトリウム・硫酸カリウム・硫酸マグネシウム水和物液
サルプレップという名前で知られる下剤です。当院では第一選択として使用しています。最も内服量が少なくてすむ点が大きなメリットです。一方で、まだ便がきれいになっていないのに自己判断で中止してしまう方がいることがデメリットでした。
当院ではAI便確認を用いることで、便がきれいになったことをスマホで判定しています。これにより、サルプレップのような少ない量で調整できるような下剤を効果的に使用することができます。
また、ペットボトルタイプであるため、下剤を作る必要がありません(下記のPEG製剤などはご自身で下剤を溶いて作る必要があります)。
ポリエチレングリコール(PEG)製剤
最も一般的に使用されるのがPEG製剤です。日本では「ニフレック」が頻繁に用いられています。
浸透圧効果により内服した溶液が体に吸収されることなく、そのまま腸管を洗浄する仕組みです。シンプルに服用するだけで良好な腸管洗浄能が得られます。
ただし、約2リットルという量を飲む必要があるため、味や量の面で苦手な方もいらっしゃいます。
改良型PEG製剤
従来のPEG製剤が苦手な方のために、当院では改良型の製剤もご用意しています。
アスコルビン酸を添加した「モビプレップ」や、刺激性下剤を含有させた「ピコプレップ」などがあり、内服量が少なく味も異なるため、患者さんの好みに合わせて選択できます。
前回の検査で服用が辛かった方や、内服に不安がある方は、ぜひご相談ください。
その他の洗浄液製剤
PEG製剤以外にも、クエン酸マグネシウム液製剤やナトリウム・カリウム配合剤液、リン酸ナトリウム塩のタブレット製剤など、複数の選択肢があります。
それぞれに特徴があり、患者さんの体質や既往症に合わせて最適なものを選択することで、前処置の負担を大幅に軽減できます。

当院の前処置サポート体制
患者さん一人ひとりに合わせた対応
当院では、経験豊富な日本消化器内視鏡学会専門医が、患者さんの体質や既往症を考慮して最適な前処置方法をご提案します。
法人全体で年間検査実績25,093件の経験を活かし、一人ひとりに合わせた検査・治療をご提供しています。女性医師も在籍しており、男性医師による検査に抵抗感を持つ女性患者さんも安心してご来院いただけます。
最新技術による高精度検査
前処置を適切に行った上で、当院では最新のAIシステムを導入した高精度な検査を実施しています。
光の波長を変えて腸粘膜の表面や色調がはっきり見える「画像強調」や、腸への負担を軽減する「自動送水」を採用しています。これにより、微細な早期がんや炎症なども高い精度で発見できるようになりました。
日帰りポリープ切除への対応
検査中にポリープが見つかった場合、その場で日帰りポリープ切除も可能です。
一般的に大腸内視鏡検査中にポリープが発見される確率は30%とされており、当院では入院が不要な場合は検査と同時に切除を行っています。ポリープのない状態を作ることで、大腸がんを約86%予防することが可能とされています。
検査当日の流れと注意点
検査当日の準備
検査当日は起床後から検査終了まで食事を控えていただきます。水やお茶などの水分補給は可能です。
検査の3~5時間前から下剤を服用し、腸内をきれいにしていきます。自宅で前処置薬を内服される方は事前の指示に従い、院内で服用される方は指定された時間にご来院ください。
便が透明な状態になったら検査可能となります。先述のようにAIで確認できるので、本当にきれいになったかどうかの判断については。ご自宅で検査する場合もご心配いりません。
鎮静剤を使用した苦痛の少ない検査
当院では、患者さんの負担を軽減するために鎮静剤を使用した検査を行っています。
半分眠ったようなぼんやりとした状態で、リラックスしたまま検査を受けられます。検査後は専門のリカバリールームでしっかりと休んでからお帰りいただけます。
検査後のケア
検査終了後は、別室でお休みいただき、体調の変化がないか確認させていただきます。
体調や意識状態が問題ないことを確認できましたら、検査結果や今後の治療についてご説明いたします。ポリープを切除した場合は、検査結果説明のために再度ご来院いただく必要があります。
まとめ〜前処置の重要性を理解して質の高い検査を
大腸内視鏡検査における前処置は、単なる準備段階ではなく、検査の精度を左右する最も重要な要素です。
適切な前処置により、腺腫性ポリープ発見率が向上し、早期がんや微細な病変の発見につながります。当院では、患者さんの体質やご希望に合わせて選べる下剤をご用意し、院内での下剤服用サポートも行っています。
つくば駅から徒歩5分という便利な立地で、つくばエクスプレス沿線や茨城県全域から多くの患者さんにご来院いただいています。プライバシーに配慮した半個室スペースとリカバリールーム完備で、安心して検査を受けていただける環境を整えています。
大腸がんは早期発見・早期治療が可能な疾患です。前処置の重要性を理解し、質の高い検査を受けることで、大腸がんを約86%予防できるとされています。便潜血検査で陽性だった方、40歳以上の方、家族に大腸がんやポリープの方がいる場合は、ぜひ当院での検査をご検討ください。
辻仲つくば胃と大腸内視鏡・肛門外科では、経験豊富な日本消化器内視鏡学会専門医が、最新のAIシステムと高精度の技術を用いて、一人ひとりに合わせた検査・治療をご提供しています。内視鏡検査が初めての方も、過去に辛い経験をされた方も、お気軽にご相談ください。
